ホームシアターの防音対策について!ホームシアター用防音室の注意点
自宅にいながら映画館のような大画面で映像や音を楽しむことができると人気のホームシアターですが、何も考えずにホームシアターセットをリビングに導入し、映像を楽しんでいれば、ほぼ確実に騒音トラブルになると考えておいた方が良いでしょう。迫力のある映像と臨場感がある音が魅力のホームシアターですが、家と家との距離が近づいてきた現在では、戸建て住宅でも騒音トラブルの原因となってしまうことが多いです。
現在、マイホームの購入を検討している方の中には、ホームシアターの設置を考えている方も多いと思うのですが、「どの価格帯のホームシアターセットを導入しようか?」ということばかりを気にするのではなく、「ホームシアターの音漏れの可能性は?」という視点も持っておいた方が良いですよ。実際に、防音工事の匠にも、ホームシアターを設置したのは良いものの、「使ってみると音漏れがすごくて…何とかなりませんか?」と言った問い合わせをいただくことが多いです。後から焦って防音工事をするぐらいであれば、防音工事のこともセットに考えて予算などを考えた方が後々の苦労もありませんし、この記事ではホームシアター用の防音工事について解説していきます。
ホームシアターの音の特徴を掴んでおこう!
まずは、ホームシアターの設置を予定している方に向け、ホームシアターから出る音の特徴をご紹介しておきます。一見すると、普通のテレビのように見えますが、しっかりとしたホームシアターセットは、音にも特徴が存在します。
サウンドシステムはサラウンド
ホームシアターシステムを導入する場合には、スクリーンやプロジェクターに加えて、スピーカーも設置することになります。そして、このスピーカーの設置方法などに特徴があります。
一般的なテレビの音声は、左右から同じ音を出すステレオという方式が採用されているのですが、ホームシアターは臨場感のある音を出すため、前後左右から音を出すサラウンドというシステムが採用されています。サラウンドとは、「囲む」という意味があるのですが、これは、前後左右にマルチスピーカーを設置することで、360度を音の包まれることで、より臨場感のある音を楽しめる工夫です。
ただし、上述のようなマルチスピーカーを設置するのが一般的なのですが、この方法はどうしても場所をとってしまう…という点がデメリットです。そこで近年のホームシアターでは、サウンドバーと呼ばれるもので、省スペースで臨場感のある音が楽しめるようになっています。
サウンドバーに関しては、テレビのスピーカーの代わりとして利用しているようなご家庭もあると言われています。これは、細長い横長のスピーカーで、3Dで音が出せる要は立体音響のサウンドバーなどが存在しています。サウンドバーを一つ設置しておけば、天井や後ろ側にもスピーカーがあるようなダイナミックを楽しむことが可能です。
ホームシアターではウーファーも当たり前
一般的なテレビの音は、どうしても薄っぺらく感じてしまうものですが、これは低音をしっかりと表すことができないからです。ホームシアターは、低音も楽しめるように、しっかりと再生できるサブウーファーを設置するのが普通で、これにより映画館のような音を楽しめるのです。
サブウーファーがあれば、ライブ映像やスポーツなどを見る場合でも、まるでその場にいるように臨場感のある音が楽しめると言われています。スペース的な問題でサウンドバーを設置するという方は、サブウーファーが内蔵されているタイプかしっかりと確認しておきましょう。
このように、ホームシアターというものは、単に映像を楽しむためだけのものではなく、音の臨場感まできちんと体感できるように、サウンド周りの工夫が凝らされているのです。逆に、こういった音の工夫をしないのであれば、大型テレビを購入すれば良いだけですので、ホームシアターなど導入する必要がありません。
つまり、ホームシアターは、音に工夫が凝らされていて、低音までしっかりと再生されることから、騒音問題などを引き起こしてしまう恐れがあるわけです。
防音対策をなしでホームシアターを利用したらどうなる?
ここまでの説明で分かるように、ホームシアターはサラウンド形式で360度音が包み込んでくれる上、低音までしっかりと再現してくれるサウンドシステムになっています。こういった音の工夫から、まるで自分が現場にいる時のように臨場感のある音を楽しめるわけですね。しかし、ホームシアターのこういった音作りは、数多くのスピーカーを設置したり、壁に近づけて設置したりすることが必要になる事から、何の防音対策もしないまま導入してしまうと、音漏れの可能性が非常に高くなってしまいます。
特に近年では、マンションなどの集合住宅で暮らす方が増えていますし、戸建てでも隣家との距離が数十cmしかないというような状況になってしまいます。そのような状況で、大音量のホームシアターを楽しんでいると、そのまま隣家に音漏れが生じてしまい、かなりの確率で騒音トラブルに発展してしまうと考えられます。
つまり、いくらお金をかけてホームシアターを導入したとしても、それ相応の環境を作らなければ、トラブルのことが心配でまともに音を出せなくなり、ホームシアターの良さが全く生かせなくなってしまう恐れがあるのです。「防音工事まですると予算が…」と考えるかもしれませんが、防音工事をしなければ、ホームシアターにかけるコストも全て無駄になるかもしれないと考えましょう。要は、現在の日本の住環境を考えた場合、ホームシアターは防音工事とセットで考えておくべきだと言えます。
ホームシアターでの防音工事について
防音対策にはさまざまな手法が存在しており、基本的に空気音が生じるホームシアターなどは防音カーテンや二重窓などの簡易的な防音対策でもそれなりの効果が期待できると考えられています。しかし、持ち家にホームシアターを設置するのであれば、何も気にせず音を楽しめるようになる防音室をしっかりと作るのがオススメです。
防音工事は、部屋のサイズや形に合わせて最適な防音対策を施すことができます。窓や床などの対策だけでなく、壁の防音対策などもしっかりと行いますので、音漏れの心配もなく、24時間いつでもホームシアターを楽しむことができるようになるはずです。なお、ホームシアター用の防音室としては、以下のようなポイントに注目すると良いでしょう。
外への音漏れや振動がないこと
ホームシアターの防音工事を行う主目的は、外への音漏れや振動を、遮音工事という方法によって防ぐことです。遮音がどれぐらいできるのかについては、D値というDと数字の組み合わせによる等級で示すことができ、数字が大きくなるほど遮音性能が高くなります。
なお、どの程度の遮音性能が必要になるのかは、隣接する家や部屋の状況によって変わってくるのですが、一般的に、周囲への騒音問題を気にすることなくホームシアターが楽しめるレベルの防音は『D-65』ぐらいを目指します。この辺りは建物構造や立地なども関係してきますので、現地調査をしてもらう時に専門家に尋ねると良いでしょう。
外からの騒音が少ないこと
ホームシアターを楽しむときには、その映像の世界観に没頭したいと考えていると思いますし、外からの騒音が入ってくることを嫌うのは当然ですよね。せっかく映画を楽しんでいるのに、現実の音が聞こえてしまうと、興ざめしてしまう…という方も多いのではないでしょうか?防音工事は、壁や窓の対策を行うことで、外からの音の侵入も防ぐことが可能です。
音は小さな隙間から侵入するほか、壁などが振動して伝わってしまうものですので、二重窓に変えたり、遮音シート・吸音材を壁内に設置したりすることで防ぐことが可能です。なお、部屋に換気口などがある場合は、そういった部分が音の侵入口になるのでしっかりと対策する必要があります。
音質を損なわないこと
いくら外へ音漏れしないようにしたり、外からの音が侵入しないようにしたいとしても、防音工事によって音響が乱れてしまい、音質が損なわれては意味がありません。何も考えずに防音性能を求めるだけでは、完璧なホームシアタールームは出来上がらないのです。例えば、遮音性能を高めすぎてしまうと、音が響きすぎて耳がキンキンする…なんてことになりますし、逆に響かなすぎると音質に影響が出てしまいます。
楽器防音でも同じですが、プロの防音工事は、音の残響時間を考えるなど適切な工事が必要になります。部屋のサイズや形によって最適な防音対策は変わるのですが、一般的に平均吸音率が0.3~0.4くらいだと音質を損なわないと言われています。最近では、防音の知識など一切持っていない通常のリフォーム業者などが防音工事を請け負ったりしていますので、本当に知識を持った業者なのかを確かめるためには、防音性能だけでなくこういった音質部分についても確認しておきましょう。
くつろげる空間であること
防音工事は、音の環境を整える目的で行われるものです。しかし、音漏れや音の侵入を完璧になくした防音室ができても、部屋としてくつろげない空間になってしまえば何の意味もありません。防音室を作り上げる工事は、くつろげる空間を両立してこそ意味があると考えてください。
したがって、防音工事を行う時は、内装のイメージや機械の配置、ソファーなどの家具の配置など、自分の理想をしっかりと業者に伝えるようにしましょう。
まとめ
今回は、自宅にホームシアターを設置しようと考えている方に向け、防音対策が必要になる理由や、実際に防音工事を行う時に注意点についてご紹介してきました。
この記事でご紹介したように、ホームシアターは映像だけでなく、臨場感のある音を楽しむため、サウンド面にもさまざまな工夫が施されています。そのため、何の防音対策もせずにホームシアターを楽しんでいると、ほぼ間違いなく近隣住民との騒音トラブルを抱えてしまうことになると思います。
ホームシアターを設置する場合には、「防音工事もセット」という意識を持っておいた方が良いかもしれませんよ!