防音室付き賃貸物件に注意点!防音室付き賃貸なら自由に音を出せるという考えは危険!

今回は、防音室付き賃貸物件に潜む大きな落とし穴をご紹介します。近年では、動画配信を行うことで収益を得ようと考える個人の方が増えていることもあり、一昔前と比較すると防音対策が施された賃貸物件が増えています。実際に、我々のような防音工事業者に、物件の空室対策や資産価値向上を目的として、防音工事のご相談をしてくる物件オーナー様が増えています。

防音室付き物件は、一般的に音楽専門の大学付近に多いイメージで、プロの演奏家を目指す学生さんなどが借りるイメージが強いのではないでしょうか?ただ、先述の通り、ここ最近では、楽器の演奏以外でも、高い防音性能を必要とする方が増えていて、防音室付き賃貸の需要が高まっているようです。テレワークなどが広く普及していることも、一つの要因と言えるかもしれませんね。

そこでこの記事では、現在防音室付き賃貸物件を探している方に向け、物件探しの際に注意しなければならないポイントをご紹介します。実は、防音室付き物件を借りた人の中には、「こんなはずじゃなかった…」と後悔する方も少なくないようです。

防音室付き賃貸物件の注意点

それでは、防音室付き物件を探している方に向け、実際に賃貸契約を結ぶ前におさえておきたい防音室付き賃貸の注意点をご紹介します。

①防音室の性能を確認しなければいけない

防音室付き物件と聞くと、どのような音を出しても音漏れしないと考えてしまいがちですが、そうではありません。防音室物件に付属されている防音室は、当然、物件ごとに防音性能が異なります。したがって、あなたが考えている防音室の利用用途に満たない防音性能しかない物件を選ぶと、防音室がついていても音が響いてしまうという問題に発展するケースがあるのです。

賃貸物件の防音設備には、良し悪しがあり、単に「人目につきやすいように」と言った考えで作られた防音室の場合、コストを削減して低レベルの防音性能しか持っていなくて、あなたの利用用途に遮音性が足りないケースが考えられます。したがって、防音室付き物件を探す時には、きちんとその物件の遮音等級などのデータも見せてもらうようにしましょう。

ちなみに、高い防音性能をもたせている賃貸物件にも、「楽器演奏可」や「防音室付き」など、表現の仕方が異なるものがあります。本格的な楽器の演奏を検討しているのであれば、「楽器演奏可」ではなく、防音室付きと表現されている物件で、さらに遮音等級がD-70以上のものを選びましょう。なお、ドラムやトランペットなど、特に音圧が高い楽器の演奏を予定している場合、D-80以上の物件など、防音性能に特化した物を探すのがオススメです。
こういった防音性能に関しては、不動産会社に質問すれば必ず答えてくれます。

②楽器の演奏可能時間が決められているケースが多い

防音室付き物件でも、楽器の演奏時間が制限されているケースが多いので、事前に確認しておきましょう。もちろん「楽器可」物件と比較すれば、演奏可能な時間は長くなりますが、多くの場合夜の23時までとなっています。
さらに、物件の中には、使用可能な楽器も制限されている場合があります。例えば、ピアノやギターはOKだけど、ドラムやトランペットはNGなどと言った感じです。

こういったことから、防音室付きということに安心せず、あなたが演奏しようと考えている楽器が演奏可能なのか、また演奏時間の制限があるのかは事前に確認してください。

③騒音トラブルの心配がないわけではない

防音室付き賃貸物件と聞くと、24時間、好きなように音を出しても構わないと考えがちですが、これは間違いです。上述しているように、物件ごとに防音性能が異なりますので、性能以上の音を出せば当然騒音トラブルに発展します。

特に、「楽器可」レベルの賃貸物件であれば、楽器の演奏をしない人も住んでいる可能性があり、楽器の音や振動を不快に感じ、苦情を言われる可能性があるのです。この場合、音を出している側が何らかの対策をとらなければいけません。
つまり、防音室付き賃貸は、あくまでも「一般の物件よりも高い防音性能が備えられている」だけで、好きなだけ音を出せる環境ではない場合もあると認識しましょう。また、こういった物件は、「音を出せる」と考える方が集まる傾向にありますので、あなた自身が隣家の騒音に悩まされる可能性もあります。

④大型楽器が搬入出来ない場合がある

グランドピアノなど、大型楽器の設置を検討している場合、契約を結ぶ前に必ず現地の下見をしておかなければいけません。というのも、物件の構造などによっては、大型楽器を部屋におけるスペースがあったとしても、エントランスなどから搬入出来ないことがあるようです。そのことを知らずに契約すると、引っ越し後にピアノを搬入出来ない…、搬入するためには分解して組み立てる必要があり高額な費用がかかるなんてことになります。

防音室付き物件で、大型楽器の設置を予定している場合、搬入可能な経路があるのかをきちんと確認しておきましょう。不動産会社の方に、過去に同様の楽器が搬入できた事例があるのかを確認しておくのも良いでしょう。

⑤湿気がこもりやすい

高性能な防音室は、音が漏れないように、二重窓や二重扉などを導入していて、部屋の気密性が非常に高くなります。そのため、換気循環が悪く、湿気がこもりやすいという問題があるのです。
物件そのもの防音性を高めている賃貸の場合、室内に湿気がこもりやすくなるので、音の心配はないものの、衣服などがカビやすくなるという問題が出るようです。

こういったことから、防音性能だけに目を向けるのではなく、換気性能などについてもきちんとチェックしておきましょう。

⑥物件数が少なく家賃が高い

最近は、テレワークなどを目的に、高い防音性能の賃貸を探す人が増えたこともあり、空室対策を目的として防音工事を施すオーナー様が増えています。しかし、こういった物件は、あくまでも生活騒音を軽減できる程度の性能で、楽器の演奏や動画配信までになると、性能足らずで音漏れが発生する可能性が高いです。

そして、高性能な防音室付きの賃貸物件になると、その数はかなり少なくなります。楽器演奏可能なレベルの防音室を作る場合、やはり建築コストが高くなりますので、それが家賃に反映されてしまい、一般的な物件と比較すると3万円前後割高な家賃に設定されると考えておきましょう。

要は、楽器演奏可能なレベルの防音室付き物件は、見つけること自体が難しく、運良く見つかったとしても家賃負担がかなり大きいということを覚悟しなければいけません。

賃貸でも満足のいく防音環境を手に入れるには?

近年では、賃貸住宅に住む方でも高い防音環境を求める方が増えている傾向にあると言われています。そのため、賃貸物件側も、そういった消費者の要望に応えるため、空室対策の一つの手段として防音工事を施すケースが多くなっています。

ただ、空室対策を目的とした防音工事は、あくまでも生活騒音レベルを対象としているので、楽器の演奏や大声での動画配信となると、音漏れの心配が残ってしまいます。そして、高性能な防音室付き物件となると、需要に供給が全く追いついていない状況で、希望する居住エリアでそういった物件を見つけるのは奇跡のような確率になると言われています。

それでは、賃貸に住む方が、楽器の演奏などで音の問題を抱えないようにするにはどうすれば良いのでしょうか?ここではいくつかの対策もご紹介します。

①ユニット型防音室を設置させてもらう

一つ目の対策は、ユニット型防音室を購入し、賃貸物件内に設置させてもらうという方法です。ユニット型防音室を設置する場合、デッドスペースがかなり出るので、日常生活では手狭に感じるようになる恐れがありますが、部屋に大掛かりな手を加える必要が無く、高い防音性能が得られるので、非常に有効な方法になると思います。

なお、ユニット型防音室にもさまざまな種類がありますが、楽器の演奏に耐えられるような高性能なものは、設置工事も含めると100万円以上のコストがかかります。また、非常に重量がありますので、1階部分でしか設置を許可してもらえない可能性があると考えてください。

どちらにせよ、ユニット型防音室を設置する場合、管理会社もしくは物件オーナー様に許可をとらなければいけません。

②DIY物件を借りる

DIY物件は、そこを借りた人がある程度、自由に部屋の改装をしても良いとされている物件です。DIY可能な範囲は物件によって異なりますが、中には防音工事など、本格的な工事も認められている物件があるので、居住エリア内にそういった物件が無いか探してみると良いでしょう。

もちろん、防音工事にコストをかけなければいけないですが、自分の利用用途に最も適した防音室を作ることができるので、音の心配がなくなるというメリットがあります。

③防音工事可能な物件を探してもらう

これは、対策とまで言えない方法ですが、不動産会社に物件を探してもらう際、「防音工事の許可をしてくれる物件を探してほしい」と依頼する方法です。「これは無理なんじゃ…」と考えるかもしれませんが、空室が多く出ているような物件であれば、こういった入居希望者の要望に応えてくれるオーナー様も多いようです。

なお、入居後に大掛かりなリフォームを認めてもらう前提で契約する場合、退去時の現状復旧についての取り決めもあらかじめ決めておきましょう。退去する時に、防音工事を施した部屋を元に戻さなければならない場合、想像以上のコストがかかります。可能であれば、防音室部分は現状復旧しないという契約にするのがオススメです。

まとめ

今回は、賃貸物件の中でも、防音室付き賃貸について、実際に借りる時の注意点などをご紹介しました。この記事でご紹介したように、一口に防音室付き物件と言っても、防音性能は物件ごとにかなり異なりますので、あなたが考えている利用用途に耐えうる性能をもっているのかはきちんと確認しておかなければいけません。

なお、記事の後半でご紹介したように、賃貸物件の中には、借主がDIYでリフォームすることを想定している物件や、大掛かりなリフォームを認めてくれる物件を探すという方法もあります。この方法であれば、あなたが必要とする防音室を一から作る事が出来ますので、賃貸住宅でも音の問題を抱えなくて済むと思いますよ。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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