弦楽器の防音室について!使用する楽器によって防音室の注意点が変わる
今回は弦楽器を自宅で練習したいとお考えの方のため、弦楽器の防音室を依頼する際の注意点についてご紹介していきたいと思います。
まず、弦楽器の防音室が欲しいと考えた場合の注意点としては、弦楽器にもさまざまな種類のものがあり、「どの楽器を演奏するのか?」によって必要な防音性能が変わるということです。弦楽器と聞くと、バイオリンやギターをイメージする方が多く、これらの弦楽器であれば、比較的防音が容易と言われています。そのため、弦楽器の防音工事に関しては、特に業者の技術力など関係なく、安価の業者を選ぶ方が良いのかなと思ってしまう人が多いわけです。
しかし実は、弦楽器というものは、どの種類を使用するのかによって高音の対策が必要か、低音の対策が必要か、など、根本的な部分から変わってしまうのです。さらに、バイオリンなどになると、ピアノと一緒に演奏したいという場面も多く、弦楽器だけでなくその他の楽器との関係性も考慮しておく必要があるのです。
つまり、ピアノ用の防音室などと比較しても、楽器に対する深い知識が必要な防音工事になってしまうという特徴があり、その辺りまで理解している、経験豊富な業者に依頼しないと、後悔してしまう結果に繋がると考えてください。
この記事では、弦楽器の防音室を作る際におさておきたい基礎知識と、楽器ごとの防音室の特徴をご紹介します。
美しい音色のバイオリンでも騒音の原因になる
バイオリンなどは、クラシック好きにはたまらない美しい音色を楽しませてくれる楽器ですが、その音を聞きたいと思っている方以外にとっては、騒音以外の何物でもありません。実際に、誰もが寝静まっている深夜や、リビングなどでくつろいでいる時に、お隣からバイオリンの大きな音が聞こえてきた場合、誰でも「うるさいな…」と思ってしまうことでしょう。
それでは、バイオリンが生じさせる音の大きさとはどの程度の音量になるものなのでしょうか?音の大きさに関しては「dB(デシベル)」という単位で表されるのですが、夜間など周囲が静かな時に人に悪影響を与えないレベルの音量が「30dB」程度と言われており、40dBが悪影響が生じる下限のレベルだと言われています。つまり、これ以上の音が周囲から聞こえてきている場合、睡眠の邪魔になったりして騒音トラブルが発生してもおかしくないということです。
バイオリンが生じさせる音量については、約77dB程度と言われていて、前述した基準からすれば、何の対策もしないまま夜間に演奏すれば確実に騒音トラブルになると考えられるほど大きな音量になります。深夜などになると、人の話し声などで騒音トラブルになることもあるのですが、人の話し声は約60dB程度で、バイオリンの音は20dB近くも大きくなっているのです。音のエネルギーは、20dB大きくなると10倍近くに感じると言われていますし、人の話し声が騒音になるのであれば、バイオリンの音も当然騒音の原因になると考えなければいけません。
ちなみに、バイオリンなどの楽器に関しては、周囲に配慮しながら演奏の練習ができるように、消音器と呼ばれるものが用意されています。バイオリンにも消音器があるのですが、これを使用したとしても60~68dB程度の音量になると言われているので、マンションなどで夜間も練習するとなると、少し心もとないと考えるべきでしょう。こういった事から、プロの演奏家や音楽関係の学生などは、自宅に防音工事を施したり、カラオケボックスなどで練習したりするようです。
弦楽器の防音室について
それでは、使用する弦楽器の種類ごとの、防音室の注意点についてご紹介していきましょう。冒頭でご紹介したように、弦楽器にもいくつかの種類が存在しており、使用する楽器によってその音色がかなり違ってくるのです。
ここでは、3種類の弦楽器に分けてご紹介しておきます。
バイオリンやヴィオラ
バイオリンやヴィオラは、弦楽器の中でも高い音域をもつものですので、比較的防音しやすい種類になります。また、防音室の中の響きに関しては、よく響くようにするのが好まれる傾向にあります。
ただし、バイオリンの場合、ピアノと一緒に防音室を使用するケースが多く、その場合は注意が必要です。というのも、ピアノに関しては、あまり響かない方が良いとされていて、音響部分がバイオリンとは相反する好みとなってしまうのです。なお、バイオリンとピアノの演奏を想定している場合は、バイオリン寄りの響かせ方の方が良い傾向にあると言われますので、その辺りは業者としっかりと打ち合わせしておきましょう。
チェロやコントラバス
弦楽器の防音室でも、チェロやコントラバスは注意が必要です。弦楽器の中では、特に低音が出る楽器ですので、高い遮音性能が必要で、防音対策も難しくなる楽器です。
さらに、バイオリンなどと比較すると、かなり大きな楽器になりますので、部屋の広さや高さには十分に注意しておきましょう。防音室を検討する時には、ユニット型防音室の方が安価で魅力的に映るかもしれませんが、性能や防音室内での演奏のしやすさなどを考慮すると、あまりオススメできないのが実情です。
なお、チェロやコントラバスは、楽器のエンドピンから振動が床に伝わりますので、エンドピンを刺す部分には分厚い防振ゴムを設置しておくなど、振動に対する工夫が必要と考えてください。
アコースティックギター
最後は、アコースティックギターです。なお、クラシックギターとフォークギターでは倍音の構成がかなり違うので注意しましょう。
フォークギターは、中高音が出る楽器で、弦楽器の中でも比較的防音がしやすい楽器と言えます。しかし、クラシックギターに関しては、チェロとほぼ同じ低い音域の楽器になりますので、実は防音が比較的難しい部類に入るのです。
ギター用の防音室に関しては、多くの場合、同時にヴォーカルなどの練習をする方が多いです。したがって、防音室内は、音響にも重点を置いて計算してもらわないといけません。特に、録音も目的という場合には、天井や壁の吸音性を高める必要があります。ギターを弾くだけで考えれば、普通に音が響く防音室を好む方がいるのですが、用途によっては響きすぎにも注意が必要だと考えてください。
まとめ
今回は、弦楽器の防音室について簡単にご紹介してきました、弦楽器は、他の楽器と比較すれば、そこまで大きな音量を発しない楽器になりますので、自宅で演奏するにしても「防音工事までは必要ないのかな?」と考えてしまう方が多いです。しかし、この記事でご紹介したように、弦楽器も十分他人に迷惑をかけるぐらいの大きな音が生じてしまいますので、演奏する時間や部屋の配置などによっては近隣の方と騒音トラブルが生じてしまう…なんて可能性も考えられるのです。
なお、弦楽器の防音室に関しては、どの楽器になるのかによって防音の難しさが変わるということや、他の楽器も一緒に使用する予定があるのかなどで、防音室の構成がかなり変わってしまいます。この辺りの計算は、豊富な経験が非常に重要になるので、防音工事を依頼する前に、しっかりと業者を見極める必要があると考えてください。