自宅にピアノを設置するなら!適切な設置場所の選び方について
今回は、「子供にピアノを習わせたい!」などとお考えの方に向けて、適切なピアノの設置場所を選ぶためのポイントについて解説していきたいと思います。
ピアノは、お子様に習わせる楽器の代表と言えるほど人気なのですが、その他の楽器と比較すれば、非常に場所をとることになりますので、戸建て住宅だとしても専用のピアノ室を設けるというのはなかなか難しいものです。ただ、家族が集まるリビングなどにピアノを設置して練習させるのも難しいですし、何より何の防音対策も行わずにピアノを演奏させると近隣トラブルが発生してしまうリスクもあります。
したがって、子供にピアノを習わせたいと考えている親御さんの最初の悩みが「ピアノはどこに設置すれば良いのか?」という問題なのです。そこでこの記事では、自宅でピアノの設置場所を検討する場合に押さえておきたい適切な条件をご紹介していきます。ピアノは、「場所をとる!」以外にもさまざまな注意点がありますので、ぜひ参考にしてみてください。
ピアノの設置に適さない条件とは?
それではまず、ピアノを設置する際には「これは避けておくべき!」と言われる条件について解説しておきます。ピアノは、ぱっと見では非常に頑丈そうにできていますので、どこに設置しても劣化速度や音質は変わらないと考えてしまう方が多いです。しかし、ピアノは主に木材を使用してつくられていますので、環境によって音や劣化の進行度は確実に変わります。一般的には、以下のような条件はピアノに適さないと考えてください。
湿度が高い場所
まずは「湿度が高い!」という条件です。上述のように、ピアノは木材を使用してつくられていますので、湿気が非常に苦手な楽器です。
したがって、ピアノを設置する場合には、人が快適に過ごせると言われる湿度50~70%程度を目安にしてください。キッチンやお風呂場など、水回りの近くに設置すると、ピアノの劣化が早まる可能性があるの注意しましょう。
乾燥する場所
「湿度が高い場所がNG」と言われると、それなら乾燥している場所が良いと考えてしまいますよね。しかし、木材は乾燥しすぎる環境も得意ではありませんので、この条件もピアノの設置場所として適しているとは言えません。
木材は、乾燥しすぎてしまうと、割れや反りを引き起こしてしまうので、ピアノの音がくるってしまう原因になってしまいます。さまざまな家電製品が進化した現在、皆さんに注意してほしいのはエアコンの風が直接あたるような場所には置いてはいけないということです。
空間が狭い
ピアノは「何とか設置はできる…」といった狭い場所は適していません。広い空間ほど音が反響して広がり、美しい音色を奏でる楽器だからです。
新築などでピアノの設置場所を特別に設けるという場合、ピアノの設置場所に困らないように、『ニッチ※1』を設けるような方がいるのですが、ピアノの設置が日常生活の邪魔にならないというメリットはあるものの、音が反響しなくなる、調律などのメンテナンスが難しくなるなどのデメリットがあるのでオススメできません。
※1ニッチ・・・壁をくり抜いてへこんだ部分を飾り棚や収納スペースとして活用する空間のこと
直射日光が当たる場所
直射日光が当たる場所は、ピアノの設置場所に適していません。日の光を浴びながらピアノを演奏したい…などと考える方もいますが、直射日光でピアノが日焼けして劣化してしまいます。
また、窓際にピアノを設置して演奏すると、外に漏れていく音も大きくなるので、ご近所さんとの騒音トラブルのリスクが高くなってしまいます。やむを得ず「窓際にピアノを設置する…」と言う場合は、遮光カーテンなどで直射日光が当たらないようにしましょう。
床暖房が設置されている場所
近年では、建売住宅のリビングなどに床暖房が標準装備になっているというケースも増えています。昼間しかピアノを弾かないというケースでは、こういったリビングにピアノを設置しようと考える方も多いのですが、床暖房の上にピアノを設置するのはオススメできません。
ピアノは、室温15~25℃程度が最適な条件と言われているのですが、床暖房の上に直接設置してしまうと、ピアノが足元から暖められてしまい、過乾燥状態になってしまい、劣化が早まってしまう恐れがあります。ピアノが乾燥しすぎると、割れや反りで音がくるってしまう恐れがあるので、やむを得ず床暖房の上に設置する場合、断熱シートなどを敷いて、その上に置きましょう。
ピアノの設置に適した条件とは?
ここまでの説明で分かるように、ピアノはきちんと設置場所を選ばなければ、ピアノそのものの劣化を進行させ、せっかくの美しい音色を損ねてしまう、非常に繊細な楽器なのです。それでは、ピアノの設置場所に適した条件とはどのようなものなのでしょうか?ここでは、ピアノを設置する際に押さえておきたい適切な条件をご紹介しておきます。
吹き抜け
ピアノのコンサートなどに行ったことがある人は会場の条件が「天井が高い場所だな」と思ったことはありませんか?実は、ピアノの置き場所として「広くて天井高がある空間」が非常に適しているのです。
したがって、戸建て住宅であれば吹き抜けがある空間が最もピアノの設置場所に適していると考えられるでしょう。吹き抜けがある空間は、温度や湿度も適切に管理しやすいですし、音が美しく広がる空間でもあります。これから新築を建てるという方で、自宅にピアノを設置したいと考えているのであれば、ピアノの設置場所として吹き抜け空間を検討するのも良いかもしれません。ただ、防音工事は非常に困難になりますので、夜間までピアノの練習を予定している方にはあまりオススメではありません。
ピアノの後方に空間を設ける
ピアノ初心者の方が理解していないポイントとして、ピアノの音は「背の部分から出る」と言うものがあります。この特徴から、ピアノは壁に背面をくっつけて設置するのではなく、後方にそれなりの空間をあけておくように設置するのがオススメです。それだけで、ピアノ本来の音が広がって良く聞こえるようになります。
注意が必要なのは、ピアノの背を、ベランダや庭に向けてしまうと、外部への音漏れが大きくなるので、騒音トラブルのリスクが高くなります。庭やベランダに向けるということは、窓が音を遮断する役割を担うのですが、窓は壁と比較すれば、音漏れの可能性が高くなってしまうからです。
調律スペースを確保できる場所
ピアノの美しい音色を保つには、調律が必要不可欠です。ピアノは設置すればその後動かすようなことはありませんし、メンテナンスなどしなくても音が狂う訳ない…と考える方もいるのですが、大間違いですよ。上述しているように、木材で作られているピアノは、湿気や乾燥によって音がくるってしまうものなのです。したがって、正確な音を出すためには、年に1回程度の頻度で調律師さんに調律してもらうのが望ましいです。
そして、ピアノの調律作業では専用機械を使うことになるので、「作業ができるスペース」を確保しておかなければいけないのです。「ギリギリピアノが設置できる」程度の場所になると、調律ができなくなりますので、以下のスペースを確保できるか確認しておきましょう。
■アップライトピアノ・・・上:約40cm、右側:約50cm
■グランドピアノ・・・上:約40cm、右側:約50cm、手前:約100cm
まとめ
今回は、自宅にピアノを設置しようと考えている方に向け、ピアノの設置場所に適した条件がどのようなものなのか、またその逆にピアノの設置場所としてはふさわしくない条件について解説してきました。
ピアノは、楽器の中でも非常に大きなものですので、設置する場所に関しては「広さが確保できるのか?」と言う点にばかり着目してしまう方が多いです。しかし、木材で作られているピアノは、高湿状態や乾燥状態に非常に弱く、そういった条件を考えなければせっかくの美しい音色が台無しになってしまう恐れがあるのです。
ピアノは、お子様の習い事としても人気ですので、新築購入時にはピアノを設置したいという方は現在でも非常に多いです。実際にピアノを設置する際には、この記事でご紹介したポイントはしっかりと押さえて、家の中でどこに設置すれば良いのかを考えましょう。なお、最近では、戸建て住宅でも家と家の距離が非常に近くなっていることもあり、夜間にピアノの練習などをしていると、ご近所さんから苦情を入れられてしまう…などと言うことが多くなっています。したがって、自宅でも自由に楽器の練習をさせたいと考えるのであれば、防音室を設けるなどの対策が必要不可欠だと考えておきましょう。
防音工事の匠では、ご近所さんに迷惑をかけない防音室の設計はもちろん、ピアノの設置に適した場所の選定からアドバイスさせていただきますので是非お気軽にお問い合わせください。「防音室ってどんなものなの?」と言うお客様がいれば、大阪市中央区に防音体験ルームを用意していますので、こちらもぜひ足を運んでみてください。