気密性と防音性能の関係について!高気密住宅のメリットとデメリットを押さえておこう!

なんらかの理由で、防音工事の必要性を感じ、ネット検索を行った場合、防音に関する知識の中に『気密性』と言う言葉を目にする機会が多いはずです。

気密性に関しては、近年の新築業界で重要とされているキーワードで、新築建売住宅のチラシなどを見ていると、『高気密・高断熱の家!』などと言うキャッチコピーを見かけることが非常に多くなっていると思います。そして、この高気密と言う条件は、防音性能を考えた時にも、非常に重要な条件になっており、防音室を作る際の打ち合わせ時にも頻繁に登場する言葉です。

ただ、住宅関係の仕事を生業にしている方であれば、気密性が何を指しているのか理解できていると思いますが、一般の方からすれば、気密性が何を意味しているのかよくわからない…と言うケースも多いようです。そこでこの記事では、気密性がどういった性能を表しているのかや、高気密な住宅になると、どのようなメリットが得られるのかをご紹介していきます。防音室にもつながる話ですので、ぜひ最後までご確認ください。

気密性とは

それではまず、気密性が何を意味しているのかをご紹介していきましょう。冒頭でご紹介したように、近年の新築業界では、高気密・高断熱が一つのキーワードとなっており、ハウスメーカーの営業マンなどからも、気密性や断熱性の高さをかなりアピールされるようになっています。それでは、住宅業界で注目されるようになっている気密性とは何を意味するのでしょうか?

機密性は、家の『密閉度合い』を表していて、簡単に言うと、家に隙間がたくさんあるのか、それとも隙間が少ないのかと言う意味と捉えておけばあながち間違いではありません。当然、隙間がたくさんある住宅と言うのは、外から風が入ってきたり、外気温の影響を受けやすくなるので、住宅内の室温などを維持しにくくなります。逆に、隙間が無い家は、外の影響を受けにくいので、室温を維持しやすくなるといった感じですね。

例えば、私たちが日常生活を進める時に着用する衣服のことを考えてみましょう。一般的に、着用していれば暖かいと言われるウールなどについては、確かに熱を持ちやすいのですが、強い風がふくと、衣服の中にまで風が入り込み寒さを感じてしまいますよね。逆に、ビニール製の衣服など、風が入らない構造をしているものは、衣服の下の暖かい空気が逃げにくいですし、風が入ってこないので、寒さを感じなくて済むわけです。

住宅もこれと同じような考えで、いくら断熱性が高い家を建てたとしても、隙間がたくさんあって風が入り込む構造であれば、室内の温度が簡単に変化してしまうことになり、快適な空間を作ることができないわけです。気密性の高い家と言うのは、こういった隙間を可能な限り無くして、外気の影響を受けにくくする住宅のことを指しています。

なお、防音性能との関係性に関しては、音は空気や物を振動して伝わっていくという特性があることに関係します。例えば、隙間がたくさんある部屋であれば、空気の振動を伝って、外に音漏れしやすくなるわけです。これが気密性の高い部屋を実現した場合、空気の振動を遮断できるようになることから、部屋の外には音漏れしにくくなりますし、逆に外から音が侵入することも防いでくれるようになるのです。こういった特徴があることから、防音工事でも、気密性と言う言葉が良く出てくると考えておきましょう。

気密性を高くするメリット

気密性がどのような意味で、また防音性能との関係がわかったところで、高気密な環境を作った場合に得られるメリットを見ていきましょう。新築業界で、高気密・高断熱の家がここまで注目されているからには、高気密を実現することで、得られるメリットが存在するからですよね。ここでは、高気密な環境を作ることで、どういった機能性が得られるのかをご紹介しておきます。

外部環境の影響を受けにくくなる

高気密と高断熱がセットになっているのは、どちらか一方の機能が無い場合、求めている機能性が得られなくなるからです。例えば、家の断熱性能を高めようと考えた場合、高品質な断熱材を壁などに使用すれば良いと考えてしまう方が多いのではないでしょうか?しかし、いくら高級な断熱材をふんだんに使用したとしても、隙間だらけで気密性が低い状況になると、十分な断熱効果を得ることができないのです。

上述しているように、気密性は、家がきちんと密閉されているかを指しており、要は隙間があるかないかを意味します。気密性が低いということは、家の各所に隙間が存在するということで、いくら壁に断熱材を充填したとしても、隙間から風が侵入してしまうことになるので、外部環境の影響をシャットアウトする事が出来なくなるのです。逆に、気密性を高めれば、外からの空気の侵入を防ぐことができるようになるので、外気温の影響などを受けず、室内の温度を保ちやすくなるのです。

こういったことから、高気密・高断熱の家にすると、室温を維持しやすくなるので、エアコンなどの空調機器に頼らなくて良くなり、光熱費削減まで実現できると言われています。

高い防音効果が期待できる

気密性の高さは、防音効果の高さをもたらせてくれます。このサイトの記事をそれなりに見てくれている方であれば理解できると思うのですが、音は空気を振動させて拡散していきますので、空気の通り道となる隙間があれば、音漏れが生じてしまいます。

気密性を高くするということは、こういった音漏れの原因である隙間を潰すという意味ですので、気密性が高ければ高いほど、防音効果が高くなると期待できるのです。我々のような防音工事業者が作る防音室は、非常に高い気密性を実現することを目指して施工しています。

気密性を高くするデメリット

近年では、高気密・高断熱のがキーワードのようになっていることから、この部分のメリット面ばかりが押し出されているように感じます。上述したように、高気密な環境を作ることは、家そのものの機能性が高くなるという意味でもあるので、非常に大きなメリットと捉えることができるでしょう。

ただ、何のデメリットも存在しないのかと言うとそういうわけではないので、高気密を実現した場合のデメリットもきちんと押さえておきましょう。

湿気がこもりやすくカビやすい

気密性を高めるということは、住宅(部屋)に隙間が少ないということですので、外気などが入ってこないので、自然のままであれば室内の空気は循環しなくなります。

この状況は、防音効果や断熱効果が得られるというメリットがある一方、空気が停滞することから、湿気などがこもりやすくなってしまうというデメリットが存在します。当然、湿気がこもってしまうと、カビの発生を誘引してしまいますので、最悪の場合、住人の健康被害などの問題に発展してしまう恐れがあります。

したがって、こういった問題点を解消するため、24時間換気システムの導入や、小まめな換気を心がけるなどと言った対策が必要とされています。後付けの防音室などになると、24時間換気システムの設置を行わないケースが多く、気付かないうちに壁の中の断熱材が数年でカビだらけになってしまう…などと言った問題がおきるケースが多いです。なお、弊社が行う防音工事では、壁内換気ができるシステムを開発していますので、安心してください。

建築コストが高くなる

これは、新築住宅を建てる時の価格を比較すればすぐにわかります。同じような間取りの住宅を建てる時でも、高気密・高断熱モデルの住宅と、一般の木造住宅を建てるのでは、前者の方が圧倒的に建築コストが高くなってしまいます。これは、高気密を実現するため、窓やドアなどに採用する建材も、一般の住宅と比較すればかなりグレードが高くなってしまうからです。
なお、防音工事の施工費が、他の一般住宅リフォームと比較すると、高額に見えるのも、高い気密性を実現しなければならないからです。例えば、防音室の壁にはグラスウールなどの断熱材が、吸音目的で充填されるのですが、少しでも隙間が生じてしまうと、そこが音漏れの原因となってしまうため、隙間なく断熱材が充填されます。防音目的ではない一般の居室であれば、配管周りなどに関しては、隙間などが普通に生じているのですが、防音室はこのような施工方法では意味がないのです。つまり、壁一枚とっても、通常の居室よりも材料費がかかってしまう訳です。他にも、隙間なくしっかり施工するには、技術も時間も必要になることから、総合的に防音工事の方が高くなってしまう訳ですね。

部屋の使い勝手が悪くなるかも

気密性の高い住宅では、ドアや窓の開閉時に、通常の住宅よりも重く感じてしまうケースがあると言われています。

これは、室内と室外について、気圧差が大きくなってしまうのが原因です。例えば、室内側の気圧が低くなると、窓やドアが外側から押し付けられる力が働きますので、通常よりも重く感じてしまい、開けづらくなってしまいます。

高気密・高断熱の家を建てた際、このような状況に陥った場合、室内外の気圧のバランスを整えてあげると、ドアや窓も普通に開け閉めできるようになるはずです。例えば、給気口を取り付けておき、気圧差を感じた時には給気口を開けてあげるとか、換気扇やレンジフードを弱めるなどで気圧差を調節してみましょう。

まとめ

今回は、近年住宅業界でよく耳にするようになってきた、気密性の基礎知識について解説してきました。気密性と言うのは、簡単に言うと、住宅が隙間なく密閉されているかどうかを指しており、気密性が高ければ高いほど、隙間がなくなると考えておけば良いです。

一般の方からすれば、気密性など考えなくても、家は壁や窓、ドアで仕切られているのだから「十分密閉されている」と考えてしまっているかもしれませんね。しかし実は、高温多湿な気候である日本の住宅と言うのも、もともと隙間が生じるように家が作られているという特徴があり、気密性は決して高くないのです。現代を生きる人からすると信じられないかもしれませんが、もともと日本の住宅と言うのは、窓すら取り付けられておらず、気密性など全く気にされていなかったという歴史もあるのです。これは、気候的に雨が多く、湿気が非常に高いことから、自然の風通しによってカビなどの繁殖を防いでいたというのが要因でしょう。

これが近年では、空調設備が進化してきたということもあり、気密性や断熱性の高さが求められるようになったのです。ちなみに、防音室と言うのは、小さな隙間が音漏れの原因となってしまうことから、可能な限り隙間を無くすように作られます。そして、断熱材を吸音目的に使用しますので、完成後の防音室も高気密・高断熱を高いレベルで実現しています。
なお、この記事でご紹介しているように、高気密には多くのメリットがある一方、決して見落とすことができないデメリットも存在するので、その点はきちんと押さえておきましょう。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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