騒音問題に注意!そもそも音はどこから漏れてしまうの?

昨今では、人々の生活空間が近くなっていることを要因に、ちょっとして生活音などが原因となる騒音トラブルが増加していると言われています。隣人同士の騒音問題は、深夜なのに大音量でTVを見る、防音対策が施されていないのに楽器を演奏する、大声で騒ぐなど、常識外れの行動で引き起こされるものと言うイメージが強いと思いますが、最近では普通に生活しているだけなのに隣人から音に対する苦情が出てしまう…なんてことが増えていると言われているのです。

例えば、マンション等など、集合住宅で生活する方が増えている中、部屋の中を普通に歩いているだけで「足音がうるさい!」という苦情が出たり、戸建てでも掃除機や洗濯機の稼働音、お風呂やトイレの排水音に対して苦情が出る…なんてことが増えていると言われるのです。こういった音は、生活音などと呼ばれ人が普通に生活していれば誰でも生じさせてしまう音と言えます。したがって、騒音の苦情を言われても音の問題を改善することが難しく、トラブルが収まらない…と悩んでしまう人が多いのです。

それでは、こういった生活音などを要因とする騒音問題について、いったい家のどの部分から音が漏れて行っているのでしょうか?音漏れしやすい場所を特定できれば、適切な対処を行うことができるようになるため、騒音問題を解消することができるかもしれません。そこでこの記事では、家の中で音漏れが発生しやすい主な場所をご紹介します。

家の中で音漏れしやすい場所とは?

それでは、家の中で音漏れ原因となりやすい場所について解説します。生活音レベルの音であれば、窓をきちんと閉めておけば隣人と騒音トラブルにまでは発展しないのではないか…と考える人が多いはずです。

しかし、一般的な住宅の場合、どうしても音漏れが発生してしまいやすい場所ができてしまうものなのです。ここでは、一般住宅で発生する騒音トラブルについて、どのような場所から音が漏れていきやすいのか、またどんな対策を施せば良いのかについて解説します。

音漏れしやすい場所その1 窓

住宅の中で、最も音漏れの可能性が高い場所となるのが窓です。実際に、家の中にいて外からの騒音や喧騒などが最も聞こえる場所と聞かれると、皆さんも窓の近くと答えるのではないでしょうか?屋外で発生する騒音はもちろん、屋内で生じさせた音は、空気が振動することによって広範囲に広がっていき、時に人に不快感を与えてしまうとされます。そして、その音の拡散の影響を最も受けやすいのが窓とされているのです。

窓が防音上の弱点となりやすいのは、壁などと比較すると、非常に薄い素材で構成されているというのが大きな要因です。一般的な住宅の場合、壁は13cm程度あるのですが、窓に関しては特殊なガラスでない限り3mm~5mm程度しかないのです。そのため、素材的に音を遮る力がどうしても弱くなってしまいます。さらに、窓はそこに住む人が換気などを目的に開閉する設備となります。そのため、スムーズに開閉ができるようにと考えられ、サッシ部分に隙間が生じるような設計になっているのです。空気は、ほんの小さな隙間からでも出入りしますし、空気が出入りできるということは音も出入りできるという意味になるのです。

こういった窓の構造的な問題から、外部騒音が侵入して「うるさい!」と感じたり、その逆にあなたが出す音が隣家に伝わり騒音トラブルに発展してしまう可能性があるわけです。騒音の苦情を言われた時、自宅で楽器を演奏するなど特別大きな音を出しているわけではないというケースでは、まず窓の防音性の低さを疑うようにしましょう。そして、窓部分の対策としては、以下のような方法が有効です。

  • ・窓に隙間テープを設置する
  • ・窓ガラスを防音ガラスに交換する
  • ・内窓を設置して二重窓にする

音漏れしやすい場所その2 築年数が経過した建物の壁

先程ご紹介したように、壁は窓と比較するとしっかりと厚みがあるため、音を遮る力は高いです。実際に、近年新築された建物であれば、木造のアパートなどでも壁部分からの騒音の侵入や音漏れによるトラブルは少なくなっています。昨今の建築物は、高気密・高断熱がキーワードとなっていて、壁内部にしっかりと断熱材が施工されていて、これが吸音材としても働いてくれるため、音漏れがしにくくなっているのです。

しかし、築年数がある程度経過している住宅の場合、そもそも壁が薄く設計されている、断熱対策が不十分であるケースも多く、壁からの音の侵入や音漏れで騒音トラブルが発生する可能性があります。また、壁内部に断熱材が施されていたとしても、経年劣化により断熱材がダメになっていて、音を防ぎきれなくなってしまっている…なんてことも考えられます。

つまり、築年数が経過した建物の場合、集合住宅なら隣人の生活音が聞こえてくる、戸建てでも掃除機や洗濯機、排水音など、比較的響きやすい音が壁を突き抜けて聞こえてしまう…なんてことでトラブルに発展しやすいのです。住宅内からの音漏れに関しては、「壁がしっかりと音を遮断してくれる」と考えられがちですが、築年数が経過するとその能力が落ちてしまう…と言うことは認識しておきましょう。なお、建物構造も音漏れのしやすさに関係し、原則として、鉄筋コンクリート構造の建物のほうが、木造物件よりも騒音を通しにくいです。日本の戸建て住宅は、そのほとんどが木造なので、そこまで音を遮る能力が高くないと考えておいた方が良いです。

こういった壁が原因となる音漏れについては、以下のような対策が有効です。

  • ・音漏れさせたくない側の壁に大型家具を設置する
  • ・音漏れさせたくない側の壁に防音パネルを設置する
  • ・壁を一度取り壊し内部に吸音材(断熱材)や遮音材を設置する

音漏れしやすい場所その3 天井

集合住宅での騒音問題については、天井の防音性について考慮しなければいけません。マンションやアパートなどで起こる騒音トラブルに関しては、隣り合う隣人同士が音の問題でトラブルになるよりも、上下階に住む人が足音などで問題を抱えるケースが多いとされています。

なお、天井の防音性能についても、壁の性能と同じく、木造よりも鉄筋コンクリート造の方が防音性に優れています。しっかりと厚みのあるコンクリート造の建物であれば、多少の足音であれば気にならないレベルにまで小さくなるでしょう。

ただ、天井の防音対策は、一般の方では非常に難しい部分です。また、上階の床の防音性の低さも関係するため、天井の対策が難しいことも相まって、音の悩みを防音対策で解消することがなかなか難しいのです。天井の防音については、騒音源となっている上の階の人と話し合いを行うなど、騒音が出ないようにしてもらうという対策が最も手っ取り早いです。

音漏れしやすい場所その4 床

集合住宅における騒音トラブルは、床からの音漏れが要因となるケースが最も多いと言えます。例えば、歩き方によっては室内を移動する際に階下にドンドンと言った音が伝わってしまい、うるさいと苦情を言われる可能性があります。他にも、イスを引く時のギィーと言った音や固いものを落としてしまった時に生じる衝撃音、掃除機や洗濯機などの稼働音が階下に伝わり、騒音トラブルに発展するケースがあるのです。

こういった床からの音漏れに関しては、室内で移動する際は音が生じにくいスリッパを着用する、音が響かないような歩き方にするといった、階下の人に配慮するということが非常に重要です。掃除機や洗濯機を使用する時間帯に関しても、早朝や深夜に稼働させると、振動音が伝わって迷惑をかける可能性がありますよね。日中に掃除機をかける時に生じる音であれば、お互い様と言えるため、この音に対してわざわざ苦情を言ってくるような人は少ないはずです。したがって、まずは自分の行動を振り返って、他人に迷惑をかけるような音を生じさせていないかを確認してみましょう。

また、小さなお子様がいて、注意しても足音の問題を完全に解消することが難しい…なんて場合、床の防音対策を検討すると良いです。床の防音対策は、生じさせる音の種類によって適切な対策が変わるので、以下を参考にしてください。

  • ・お子様の行動範囲に防音仕様のカーペットを敷く
  • ・ペットの足音対策なら、床材を遮音フローリングに交換する
  • ・子供が飛び跳ねた時の音など重量床衝撃音の対策は、床を一度解体し、内部に吸音材や遮音材を設置する

賃貸住宅に住んでいる場合は、専門業者による本格的な防音工事を施すことが難しいです。その場合は、防音仕様のカーペットを設置するといった簡易的な対策を施すと良いでしょう。

まとめ

今回は、隣人間の騒音トラブルがなぜ発生するのかを考えるため、住宅の中でどの部分の防音性が低いのかについて解説しました。

記事内でご紹介したように、一般的な住宅は、防音上の弱点と言うものがあり、人々の生活空間が近くなった昨今では、その部分からの音漏れにより隣人間の騒音トラブルが発生するようになっていると言われています。特に、築年数が経過した建物の場合、窓や壁についてそもそもの防音性能が非常に低いことから、ちょっとした生活音でも駄々洩れになってしまっている…なんてケースがあるのです。

隣人から騒音の苦情が出た時には「私は大きな音を出していない!」と意固地になるのではなく、先ほど紹介したような部分から生活音などが漏れていないかチェックすることから始めてみると良いでしょう。そして、音漏れ箇所がわかれば、その部分に対策を施すことで、騒音の苦情が無くなる可能性がありますし、あなたも静かで快適な住環境を満喫できるようになるはずです。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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