身近にある騒音問題ってどんなの?環境省の資料を簡潔にまとめてご紹介します!
今回は、2019年に環境省が作成した「生活騒音パンフレット」の中身を簡単に解説していきたいと思います。
環境省がこのようなパンフレットを作製した背景には、当時から各家庭が生じさせる生活音による騒音トラブルが増えている…という認識があったからだと思います。というのも、少子高齢化や人口減少が社会問題となっている日本ですが、東京や大阪などの都市部などでは、「人口減少など本当なの?」といった具合で、都会に人が集まって生活しているような状況になっています。そして、こういった都市部などでは、土地の問題などもあり、広い敷地面積を持った戸建て住宅などではなく、マンションやアパートなどの集合住宅で生活する人が非常に多いのです。
集合住宅は、同じ建物内に、さまざまなライフスタイルを持ったご家族が一緒に生活するということですから、活動する時間帯などの違いで「掃除機の音がうるさい…」「こんな時間に洗濯機を回すなんて常識ないの?」などと言ったトラブルが発生してしまっているのです。
特に、昨年からは新型コロナウイルスの影響もあり、人々の在宅時間がどんどん長くなっています。そのため、コロナ問題以前よりも、さらに騒音トラブルの危険性が高まってきていますので、各家庭がご近所さんに配慮した生活を進めていくことがとても重要と言われるようになっているのです。
この環境省のパンフレットには、日常生活の中で注意しておきたいいくつかのポイントも紹介されていますので、その辺りもご紹介しておきます。
参考資料:環境省「生活騒音パンフレット」
日常に潜む騒音問題とは?
それではまず、私たちの日常生活の中に潜んでいる『騒音』とはどのようなものなのかについて考えていきましょう。一口に『騒音』と言っても、さまざまな音の問題が考えられます。そもそも『音の問題』の難しさは、同じ音でも、それをうるさいと感じる人もいれば、何も感じないという人もいるという点です。もちろん、自宅の真横が工事現場で、昼夜問わず工事をしている…なんて状況であれば、ほぼ100%の人が苦情を入れてしまうのでしょうが、ここまで明確に『あそこが騒音源だ!』と特定しにくいというのも騒音トラブルの難しさなのです。まずは、騒音に関する苦情について、どのようなものがあるのかをご紹介しておきます。
こういった騒音問題に関して、建設現場や工場が発する音というのは理解できるのですが、実は、第4位に家庭から生じている生活音が騒音苦情の原因となっているのです。もちろん、騒音全体の苦情件数からすれば、そこまで多くないかもしれませんが、都市部においては、非常に深刻な問題となっており、今や騒音問題は日常生活の在り方と切り離すことができないとまで言われています。
生活騒音の発生源は?
それでは、騒音問題の中でも、一般家庭が生じさせる生活騒音の種類についても見ていきましょう。冒頭でご紹介したように、マンションやアパートでの生活は、各家庭の居住スペースを壁1枚、床1枚で隔てているだけですし、構造的にはつながっているということから、騒音トラブルが起きやすい環境と言えるわけです。実際に、マンションなどに一度でも住んだことがあれば、上階に住む人の足音は意外に響いてしまうものだな…と感じた経験があると思います。環境省の資料では、生活騒音の内訳は以下のようになっています。
左図からも分かるように、生活音による騒音トラブルは、掃除機や洗濯機などの家電製品を使用する時の音が最も多いという結果になっています。アイドリング音は無視するにして、その他には、足音や話し声、楽器演奏の音などが近隣に迷惑をかけているようですね。ちなみに、このグラフに関しては、平成28年度に行った調査のものですし、コロナ禍では、生活音に関するトラブルがさらに増えていると言われています。
生活騒音に関する法的な規制などはありませんし、誰もが生じさせてしまうものですが、「なるべく迷惑をかけないようにする」という配慮は必要だと考えるべきだと思いますよ。
生活を進めていく上での配慮とは?
上述したように、人が生活していく上では、誰でも完全な無音で過ごすなんてことはできません。マンションなどであれば、普通に部屋の中を歩いているだけでも、階下には足音が騒音として伝わってしまう…なんてことも考えられるのです。また、自分にとって癒しになる音楽だとしても、お隣にとっては不快な音として伝わってしまう…なんて可能性もあるでしょう。
それでは、致し方なく生じてしまうこういった音に関して、どのようにして騒音トラブルを防止すれば良いのでしょうか?ここでは、隣人とできるだけ良好な関係を維持していくため、日常生活の中で配慮しておきたいポイントをご紹介していきます。
家庭で使用する家電製品の音
現在の私たちの生活は、さまざまな家電製品に支えられています。家の中に、何一つ家電製品が無い…なんて方は本当に稀な存在だと思います。ほとんどの方が使用する家電製品ですが、使い方や使う時間帯によっては、騒音問題の原因になってしまうことがあるということは頭に入れておきましょう。誰もが使用するアイテムですので、「お互い様」な部分もありますが、以下のような点は注意しておきましょ。
- 洗濯機や冷蔵庫は振動がありますので、設置時に防振や消音マットを使用する
- 洗濯機や掃除機など、大きな音が生じる家電は、使用する時間に配慮する
- エアコンの室外機は向きに注意して設置する
- 主に深夜帯に稼働せるエコキュートは、設置場所に配慮し、防振・消音対策を施す
住まいの設備や構造からの音
生活騒音の中には、設備や構造、使う人の使用方法が問題となっている場合も多く、自分の行動が騒音トラブルの原因になるかも…という意識は持っておいた方が良いです。以下のような点に注意しましょう。
- 玄関ドア・室内ドアともに、乱暴に閉めないようにする
- 築年数が経過して扉を閉めると大きな音が生じる…と言った場合、隙間テープなどを貼り消音する
- お風呂などの給排水音は騒音トラブルの元です。深夜や早朝などの入浴はできるだけ避けましょう
- 椅子を引くなど、家具の移動音は階下に伝わります。マットなどを敷く、椅子の足にキャップをつけるなどの対策を
音響機器が原因となる騒音
テレビやステレオ、楽器演奏などは、自分は好ましい音と感じてしまうため、それが騒音になっていると気付かない人も多いです。しかし、「自分が聞きたいと思っている音ではない」場合、その音は総じて騒音と考えられてしまうと思っておいた方が良いですよ。
- テレビやステレオは適正な音量に設定し、深夜などはヘッドホンを使用しましょう
- 目覚ましなどは、周囲に配慮して設置しましょう
- ピアノ、ギター、ドラムなど、自宅で楽器の演奏を行う場合、本格的な防音室を用意しましょう
その他の騒音
一般家庭での騒音トラブルは他にもたくさんの原因が存在します。以下のような点も注意しておきましょう。
- ペットは小さい時からしつけをしておくことが大切です
- 窓を開けたまま大きな声で話さないようにする
- 歩き方に注意する(そこが分厚いスリッパは足音対策に有効です。)
- 子供が室内を走り回らないようにしつける
- 子供の遊び場には防音マットなどを敷く
まとめ
今回は、環境省が作成した騒音パンフレットの内容を簡潔にご紹介してきました。このパンフレットは、2019年に配布されたもので、当時はマンションなどの集合住宅で生活する方が増えてきたことから、騒音によるご近所トラブルが多くなったことで作られたのだと考えられます。
そして、コロナ禍の現在では、マンション暮らしの方は特に減少していないうえ、人々の在宅時間が長くなってきているというダブルパンチ状態になっているのです。そのため、昨年末ごろより、大手マスコミなどでも新型コロナ問題による騒音トラブルを取り上げる機会が増えているように思えます。
なお、新型コロナウイルスにより一気に普及したテレワークはコロナ後も続くと言われていますので、騒音への配慮は、今後ますます大事になると思いますよ!