工場の騒音対策について。クレームが来たときの対処も考えてみよう

今回は、さまざまな製品を製造する工場について、生産活動を進めるうえで、どうしても生じてしまう音の問題について解説していきたいと思います。

工場などでは、生産活動のために大型設備を稼働させることから、非常に大きな音や振動が生じてしまうケースも珍しくありません。例えば、金属の切削などの工程がある工場では、作業のために非常に大きな音が生じることになり、近隣住民と騒音トラブルが発生してしまうケースが多いと言われています。特に、工場側が納得できない…と言うケースは、後から工場の横に家を建てられたのに、「作業がうるさいので立ち退いてほしい!」などと言われてしまうケースまであると言われています。

それでは、生産活動を進めるうえで、どうしても発生してしまう音や振動に関して、近隣住民とトラブルに発展しないようにするためにはどうすれば良いのでしょうか?この記事では、工場などにおける騒音対策や、クレームが出た場合の対処法をご紹介していきます。

騒音には基準が設けられている

工場の中には、製造する製品の関係から、どうしても大きな音や振動を伴ってしまう…と言う場合があります。しかし、いくら製造のためとはいえ、好き放題騒音をまき散らして良いというわけではないのです。日本では、環境省などによって騒音の基準が設けられており、工場騒音などによるクレームがあった場合で、裁判にまで発展するケースでは、「騒音規制法」による規制基準を超えているかどうか争点になります。

騒音基準法は、工場や建設現場など、大きな音や振動の発生が考えられる場所における上限音量を定めたものです。なお、規制基準については、地方自治体ごとに微妙に異なりますので、工場所在地の基準はきちんと確認しておきましょう。なお、以下に大阪府が定めている用途地域ごとの騒音基準をご紹介しておきます。

区域の区分 朝(午前6時から午前8時)、夕(午後6時から午後9時) 昼間(午前8 時から午後6 時) 夜間(午後9時から翌日午前6時)
第1・2種低層住居専用地域・田園住居地域 45デシベル 50デシベル 40デシベル
第1・2種中高層住居専用地域、第1・2種住居地域、準住居地域、市街化調整区域など 50デシベル 55デシベル 45デシベル
近隣商業地域、商業地域、準工業地域 60デシベル 65デシベル 55デシベル
工業地域、工業専用地域の一部 65デシベル 70デシベル 60デシベル
工業地域、工業専用地域の一部で学校・病院等の周辺など 60デシベル 65デシベル 55デシベル

参考:大阪府公式サイトより

上記のように、工場など生産活動を行う時にどうしても生じてしまう騒音だとしても、きちんと基準が設けられており、基準以上の騒音は出してはいけないことになっています。当然、用途地域によって騒音の上限が異なり、住宅街や学校、病院の近くなどになると、より厳しい基準が定められています。事業者は、自治体が定めているこういった基準を守る義務がありますので、騒音のクレームなどが出る前に、どの程度の騒音が生じてしまっているのかは確認しておきましょう。

なお、大型設備を使用する工場や建設現場などであれば、騒音だけでなく振動の基準も設けられています。工場などから出る振動に関しても、クレームの原因になりますので、合わせて基準を確認しておきましょう。

> 大阪府の騒音や振動に関する規制基準について

工場の騒音対策について

それでは、工場のおける騒音対策について、いくつか具体的な対策をご紹介していきましょう。

①音源となっている機械に防音・防振対策を施す

まずは、音や振動の発生源となっている製造設備に対して、音漏れや振動を防ぐ為の防音・防振対策を施すというものです。例えば、金属を切削加工するような工場であれば、作業中に非常に大きな音が生じてしまうことでしょう。もちろん、工場の外に音が漏れにくいような建物を作っているかもしれませんが、経年劣化により音漏れを防ぐことができなくなっている可能性もあるでしょう。

このような大きな音が生じる設備に関しては、建物の防音性能だけに頼るのではなく、機械の周りを囲むように防音ボックスの設置をするのがオススメです。そうすることで、二重の防音効果が得られるので、音漏れを防ぎやすくなります。なお、機械によっては、地面に振動が伝わり、建物から外に振動が伝わってしまう…ケースがあるでしょう。このような振動も、騒音と同じく近隣トラブルを引き起こしてしまう可能性があるので、機械の下に防振マットなどを敷いて、振動を軽減するなどの対策がオススメです。

②建物そのものに防音対策を施す

生産設備に対する防音対策を進めたものの、音漏れが解消できないという場合、建物そのものに音漏れ対策を施すしかないでしょう。

工場の中には、簡易的な作りで、建物の遮音性や吸音性がそもそも低いというケースも少なくありません。そのため、設備周りの防音対策を行ったとしても、それだけでは不十分で、騒音や振動が近隣に迷惑を掛けてしまう…と言うケースも珍しくないのです。
このような場合、天井や壁、窓部分などの防音対策を行うと良いでしょう。天井や壁については、吸音材や遮音材を使用することで、音漏れを防ぎ、窓は防音性の高いものに交換するなどといった対策が有効です。なお、工場によっては、換気口やダクトなど、音漏れの原因が開口部にあるケースも多いので、そういった部分に、消音チャンバー・消音ダクトを導入するなどの対策が必要なケースもあります。

③工場のルールを徹底する

上記のように、建物や設備に防音対策を施すという方法は非常に効果的です。ただ、工場の稼働ルールを見直さなければ、いくら防音対策を施しても同じになってしまうケースがあります。

例えば、24時間稼働している工場などにおいて、深夜や早朝に大きな音が生じる作業を行うと、周囲が静かな分、工場からの音が余計に目立ってしまいクレームに繋がるなんて可能性があります。他には、せっかく、防音性能の高い窓を導入したのに、日中作業を行う時には、換気目的などで窓を開けて作業するなんて工場も存在します。正直、どういうつもりなのか不思議なのですが、防音窓を導入しても、開けていれば何の意味もありませんので、音が生じる作業を進める時には、きちんと窓を閉めて作業するというルールを徹底させましょう。

騒音のクレームが来たときの対処法とは?

それでは、何らかの対策を行ったものの、工場の稼働音などに対するクレームが出た場合、どのような対処を行えば良いのでしょうか?製造する製品によっては、音を完全に防ぐことなどで来ませんし、上述したような対策を行ったとしても、近隣住民から騒音のクレームが出てしまうこともあるのです。
ここでは、工場に対する騒音の苦情が出た場合の対処を簡単に解説しておきます。

自治体の騒音調査に協力する

工場に対する騒音のクレームは、直接事務所などに怒鳴りこまれる…などと言ったケースが少なく、ほとんどの場合、自治体などにクレームが届けられるというパターンになります。

クレームを受けた自治体は、本当に工場から騒音が生じているのかを調査するため、工場内外での騒音調査の実施を持ちかけてくるでしょう。調査によって、上述した規制基準がきちんと守られているのかを確認するわけです。
当然、自治体の調査が行われる場合、業務に支障が出てしまう可能性があるため、断りたいというのが心情だと思います。しかし、感情的な対応をしてしまうと、余計に調査が長引いてしまう可能性がありますので、積極的に協力し、早く終わらせる方が良いと思います。なお、調査の結果、工場側に法律上問題が認められる場合、改善勧告・改善命令などが出されると思いますので、速やかに対応するようにしましょう。逆に、基準の範囲内と言う結果が出た場合、法律的には問題がありませんので、そのまま工場を稼働させることができます。ただし、既にクレームが出ているわけですので、何か改善できる部分が無いかはもう一度確認してみるのがオススメです。法律を盾に、何の対処もしないという対応では、近隣住民との関係が悪化してしまう可能性があります。

クレームの原因をきちんと調査する

近隣の方から騒音のクレームがあった場合、きちんと原因を究明しなければいけません。工場における騒音と聞くと、誰もが生産設備を稼働させる際の音と考えてしまいますが、これが原因でない場合、いくら対策を行ったとしても、苦情が止まることはないのです。
例えば、工場に出入りするトラックに対する騒音だったり、従業員が休憩中に外で大声で話していて、その声に対する苦情などと言う場合、設備周りの防音対策をいくら進めても意味がありませんよね。したがって、工場に対する騒音のクレームがあった場合には、その原因をきちんと突き止め、改善するようにしましょう。

誠意を持って対処する

最後は、近隣住民に対しては、常に誠意をもって対処するという対策です。と言うのも、工場の運営は、近隣住民の理解が必要不可欠ですので、テキトーに無視するなどといった対応をしてしまうと、問題を余計に大きくしてしまう可能性があるからです。
工場運営者からすると、「工場は音が出るもの」と考えてしまうかもしれませんが、騒音や振動に悩まされる側からすると、溜まったものではありません。もし近隣の方から騒音に関する相談などがあったとしても、それを無視するといったテキトーな対応をした場合、工場の運営に対して反対運動を起こされたりする可能性があります。また、工場の評判が悪くなれば、採用活動などにも悪影響が生じてしまうでしょうし、最悪の場合、自社だけでなくクライアントなどにまで苦情が広がってしまう恐れがあるのです。

クレーム対応は、一歩間違うと、多額の慰謝料を支払う羽目になったり、クライアントに取引停止などの対応をされてしまう恐れがありますので、速やかに問題を改善できるように誠意をもって行動しましょう。

まとめ

今回は、工場における騒音トラブル防止のために押さえておきたい知識と、実際にクレームが発生した時の対処法について解説してきました。この記事でご紹介したように、工場は、製造する製品によっては、非常に大きな音が生じてしまうケースがあり、近隣住民から騒音に関するクレームが届けられることも多いのです。

工場の騒音は、そもそも建物そのものについて、防音性能が高くなるような作りになっていないケースが意外に多いです。例えば、一昔前の工場などであれば、波型スレートが壁として採用されているだけ…と言った工場などもあり、このような建物であれば、正直音漏れするのが当然だと考えなければいけません。

工場は、「音が出るのは仕方ない!」と考えてしまう経営者さまも多いのですが、日本にはきちんと騒音に関する法律が作られており、上限が設けられています。まずは、その基準を超えるような音が工場から漏れていないのか、きちんと騒音の調査を行うことからスタートしてみてはいかがでしょうか?

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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