防音ドアを設置するなら『引き戸』と『開き戸』どっちが良い?

楽器の演奏などを目的として防音室を作る場合は当然として、近年では、そこまで大掛かりにはならないプチ防音リフォームを行う方が増えています。これは、昨年から続く、新型コロナウイルス問題の影響で、テレワークが導入されることになり、自宅の空き部屋で仕事をするという方が増えているからですね。しかし、日本の住宅というものは、もともと「家で仕事する」ということを想定して建てられていないため、自宅で仕事を始めてみると、家族が出す音が気になって集中できない…、また自分のweb会議のせいで家族に行動制限をお願いしなくてはならずストレスになっている…など、さまざまな問題が指摘されるようになっているのです。

そのため、昨年の終わりごろより窓やドアなどの防音工事に踏み切るという方が増えているのですが、防音ドアの工事を行う前には「引き戸と開き戸」で迷ってしまう方が多いです。ドアの開け閉めやスペース的なことを考えると、引き戸の方がよさそうだけど、防音性能の面から考えた場合、「どっちが良いのですか?」という質問が非常に多くあります。そこでこの記事では、テレワークやリモート学習を目的に、自宅の防音リフォームを検討している方のため、ドアの防音を検討した場合、『引き戸』と『開き戸』どっちがおすすめなのかについて簡単にご紹介していきたいと思います。

防音ドアの種類について

それでは、ドアの防音工事を検討している方で、「引き戸と開き戸ならどっち?」と迷っている方に向け、それぞれの特徴について解説していきたいと思います。
ちなみに、結論から言っておきますが、『防音性能』を重視したいと考えている方であれば、引き戸よりも開き戸の方がオススメです。

防音タイプの引き戸について

まずは、引き戸です。引き戸は、ふすまなどのように、戸を左右にスライドさせて開閉する扉です。このタイプのドアは、開き戸のようにドアを開閉するためのスペースが必要なく、狭いスペースでも広く扉を開けることができるという点がメリットです。また、床との段差をつける必要もありませんし、ドアノブを操作せず、力もそこまでかけなくても開閉できますので、小さなお子様や高齢者、障害のある方でも使用しやすいというのが大きな特徴です。

ただし、ドアを力を入れずにスムーズにスライドするようにしなければならないため、ドアの下部や上部に隙間を確保する必要があります。つまり、扉を閉めていても、完全に密閉できないことから、防音性能自体はあまり高くない…という点がデメリットです。ちなみに、開閉のための前後のスペースは必要ないのですが、戸を引き込むためのスペースが必要で、戸がスライドする位置にはコンセントなども設置できないため、設置できるスペースは限られています。

上記のように、通常の引き戸は、隙間が多くできてしまうことから、防音性能はそこまで高くありません。そもそも構造的に、開き戸よりも隙間を埋めにくい構造ですし、本来は防音ドアにはあまり向いているとは言えないと思います。ただし、現在では引き戸タイプの防音ドアも登場しており、生活音レベルの防音対策としてはそれなりに効果が見込めると言われています。ただし、本格的な防音室として利用する場合のドアとしてはオススメできません。

防音タイプの開き戸について

次は、開き戸です。開き戸は、ドアと言われて皆さんがイメージする扉だと思います。要は、ドアノブを回し、前後に開閉するタイプの扉が開き戸と言われます。開き戸の場合、引き戸よりも隙間が圧倒的に少なくなりますので、音漏れ対策としては非常に有効なドアになります。

防音タイプの開き戸は、ドア枠にパッキンが貼り付けられており、扉を閉めてパッキンを潰すことで隙間を無くし、音漏れを防ぐという構造になっています。引き戸の構造を考えてみるとわかりやすいのですが、引き戸ではパッキンを潰すほどの圧力をかけることなどできませんよね。開き戸は、パッキンを潰すような構造にすることなど簡単ですし、扉をより重くすれば、隙間だけでなく扉自体の遮音性も高くなるなど、防音性能の面では圧倒的に高くなると言えるのです。

開き戸タイプのデメリットに関しては、このタイプは戸が前後に弧を描くように開閉しますので、その分のスペースが必要になる…が一つです。要は、引き戸よりも必要とするスペースが大きくなってしまうということです。また、防音性能を高めようと思えば、ドアノブ部分を特殊な構造にしたり、扉を厚く、重くしたりする必要があり、ドアとしての使い勝手が悪くなってしまう点です。本格的な楽器演奏用の防音室の場合、それなりに重量のあるドアになるので、高齢者や小さなお子様は開閉に苦労してしまう可能性があります。なお、テレワーク用で、生活音を防げれば良い…という程度であれば、普通のドアに毛の生えた程度ですので、そこまで気にする必要はないと思いますよ。

引き戸と開き戸の防音性の違いについて

ここまでで、引き戸と開き戸の根本的な構造の違いから、同じ防音ドアとして設置した場合でも、その効果が大きく異なるということは理解できたと思います。要は、引き戸の場合、隙間を埋めるためのパッキンなどをしっかりと潰すということが難しい構造ですので、防音性能自体もそこまで高い効果を見込めないものなのです。

なお、一般的な防音用の引き戸に関しては、その遮音効果は最低でも「30dB(デシベル)」程度だと言われています。例えば、テレビや日常会話による騒音値は50~60dBと言われていますので、一般的な引き戸でも30dB程度までは音を軽減することが可能です。人が静かに生活できる音量が40~50dBと言われていますので、日常生活だけを考えると十分な効果があるとも考えられます。

しかし、これが楽器の演奏やホームシアターになると、100dB以上の音が生じてしまうことになりますので、これらを静かに生活できるレベルまで減音するには、50dB以上減音しなければならず、引き戸タイプでは全く足りないわけです。さらに、引き戸タイプは最大の防音効果を発揮できる期間が短いと言われており、防音用のパッキンなどがズレてしまうことで、すぐに隙間が生じてしまい、音漏れが始まるとも言われています。

これが開き戸になると、簡易的なもので30dB程度の減音、プロ仕様の物になると60dB近くまで減音可能だと言われています。つまり、大きな音を防ぐ、防音効果を長持ちさせたいという希望があるのであれば、開き戸タイプの防音ドアの方が確実だと言えるのです。
なお、防音ドアに関しては、非常に豊富な種類が存在しており、用途や予算に合わせて適切なドアを選ぶことも可能です。テレワーク部屋用に…というのであれば、本格的なプロ仕様のものまで入らないと思いますので、簡易の防音ドアを検討すれば良いでしょう。

まとめ

今回は、コロナ禍に普及したテレワークの影響により、一気に増えている防音ドアの導入について、引き戸と開き戸ならどっちが防音性に優れているのかについてご紹介してきました。

単純なドアと考えれば引き戸でも開き戸でもどっちでも良いような気がしますが、防音性など、ドアの機能性に注目する場合、その構造まできちんと考えておく必要があります。例えば、引き戸は、力が弱い、荷物を持っているなどと言った人でも簡単に開閉できるような構造が特徴で、この特徴があることから病院などでも良く採用されているわけです。しかし、力を入れずに開けられるようにするためには、適度な隙間が必要になるため、防音の面からすれば弱点になるわけです。要は、引き戸というものは、そもそも防音ドアにするということ自体が向いていない構造ですので、どうしても防音性は低くなってしまう訳です。

自宅の防音対策を進める時には、こういった点もきちんと考慮しておきましょう。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

[trustindex no-registration=google]

古民家再生ショールーム防音工事の匠はショールームがあります

ピアノ防音室

実際に防音工事の匠が施工した防音室で防音性能を体験することで、当社の防音室の機能・音響などを体感していただけます。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建物にショールームがある会社さんが多い中、特に施工後にショールームと性能や音の反響がちがうといったトラブルが戸建てのお客様に多い業界ですが、町家再生事業として難易度の高い防音室を防音性能が最も出にくいとされる木造町家のショールームをご用意いたしました。

このページの先頭へ