家庭内騒音の原因は『ドア』にあるかも!知っておきたいドアの防音対策について
今回は、コロナ禍で在宅時間が長くなってきたことによる家庭内騒音問題を防ぐ為の対策をご紹介していきたいと思います。
新型コロナウイルスの拡大以降、外出自粛のお願いが政府などから行われたことで、人々の在宅時間が長くなっています。最近でこそ、飲食店の時短営業などは行われなくなっていますが、2年以上続いた自粛生活により、時短営業解消後も外食の習慣がなかなか戻ってこないという方が増えており、夜は自宅で過ごしているという方が多いのではないかと思います。また、昼間については、テレワークが広く受け入れられるようになったことで、コロナ問題に関係なく新しい働き方としてテレワークを継続する企業が増えていて、一日中家の中で活動するといった人も多くなっているそうです。
このような状況の中、今まではあまり注目されることが無かった、家族が出す音の問題が指摘されるようになっています。実際に、我々のような防音工事業者のもとには、家庭内騒音に関する対策の相談が急増しているのです。そこでこの記事では、家庭内騒音の原因となってしまいがちなドアの問題とその対策をご紹介します。
家庭内騒音はドアが原因かも
それではまず、ご家族間で発生する騒音問題の原因について考えてみたいと思います。外から侵入する騒音などについては、窓の遮音性能の低さなどが原因になってしまうケースが多いのですが、家庭内騒音に関しては、ドアの性能の低さが原因になっているケースがほとんどです。
ドアは、きちんと閉じている状態であれば、見た目上、音が侵入するような隙間があるようには見えませんよね。しかし、その考えが大きな間違いで、一般住宅に使用されている通常のドアであれば、隙間がたくさんあると考えてください。つまり、ドアを閉めていたとしても、音は簡単に侵入できるような状態なのです。ここではまず、家庭内騒音問題を考えた時、なぜドアが原因となってしまうのかについて簡単に解説しておきます。
隙間がたくさん生じるから
建築形態に関係なく、ドアを取り付ける時には、室内の換気などのことも考えて、ドアの下に1~2cm程度の隙間をつくらなければいけません。
ドアを閉めていれば、全く隙間が生じない…と言った構造にしてしまうと、室内の空気がどんどん澱んでいってしまいます。特に、新築住宅などであれば、建材などから化学物質が漏れ出てきますので、そういったものが室内に充満し、シックハウス症候群を引き起こしてしまう危険性があります。そのため、通常の室内ドアと言うものは、「ドアを閉めていてもあえて隙間が生じるように」と考えて取り付けられるようになっています。これにより、ドアを閉めていても、室内の空気が動くようになり、健康被害などを防止してくれるわけですね。
更に、一般的なドアと言うものは、ドアノブの横、ちょうつがいの取り付け部など、ドアをスムーズに開閉できるようにするため、適度な隙間が生じるように作られています。また、築年数が経過した建物であれば、ドアそのものに歪みが生じてしまい、隙間が生じやすくなります。
このように、室内ドアは、周囲に意外と隙間が多いので、大きな音でなくても簡単に通してしまうと考えてください。
そもそもそこまでの遮音性を持っていない
音は、空気もしくは壁などの固体を通して伝わるのですが、空気を通して伝わる音に関しては、ドアを閉めて音を遮るにしても、厚みが足りないと音が透過して漏れてしまうものなのです。
一般的に、鉄筋コンクリート造のマンションなどよりも木造のアパートの方が騒音に悩まされやすいと言われますが、これは外壁などの厚みが圧倒的に木造の方が薄くなってしまうのも要因です。そして、一般的な室内ドアに関しては、壁よりもさらに薄くなっていますので、音漏れしやすいと考えなければいけません。
つまり、そもそも建材として高い遮音性能を持っていないことから、音を防ぎきれないというのがドアの弱点なのです。
ドアの防音対策について
それでは、家庭内騒音などに悩んでいる方が、音の問題を解消するためにできるドアの防音対策についていくつかの方法をご紹介していきましょう。最近では、ネット通販などで防音グッズが簡単に手に入るようになっていますので、ご自身で何らかの対策を行うこともそこまで難しい事ではありません。
ここでは、一般の方でも可能な防音対策と、専門業者に依頼すべき対策をいくつかご紹介しておきます。
隙間テープで隙間を埋める
ドアの音漏れ原因は、ドアを閉めていても隙間がどうしても生じてしまうのが大きな原因と紹介しましたね。逆に言えば、この隙間を塞いでしまうことができれば、ドア部分の音漏れもしくは音の侵入を防ぐことができるようになります。
近年では、ネット通販などでドア用の隙間テープが販売されていますので、そういったものを購入し、可能な限り隙間を埋めてみましょう。なお、隙間テープの中には、単に隙間を埋めるだけでなく防音性能を兼ねた商品などもありますので、少し高くなりますが高い効果を期待したい方はそちらがオススメです。
注意が必要なのは、ドアに生じる隙間と言うものは、「部屋の空気が澱まないように換気をする」ことを目的としている点です。つまり、隙間テープで隙間を埋めてしまうと、換気機能が低下してしまいますので、この手法による対策を行う場合、長時間ドアを閉めっ放しにするのではなく、適度に換気してあげるようにしましょう。
ドア部分に防音カーテンを設置する
ドアの利便性は少し下がってしまいますが、ドアを覆うように防音カーテンを設置するのも効果的です。ドアの隙間などを抜けてきた音を、カーテンが防いでくれるようになるので、それなりに高い効果を期待できます。
吸音シートや遮音シートを貼る
ホームセンターやネット通販などでは、個人の方でも簡単に取り扱うことができる防音グッズが販売されています。そして、その中には貼り付けるだけで吸音効果や遮音効果をもたらせてくれるアイテムがあり、そういったものを購入し、ドアに貼ることで、ドア本体からの音漏れを防止することができるようになります。
ただ、吸音シートor遮音シート単体での対策はあまり効果が無いので、可能であれば、両方の機能を持った防音ボードのようなものを購入し貼り付けると良いでしょう。
防音ドアに交換する
最後は、通常のドアを防音ドアに交換するという方法です。上述している対策は、あくまでも簡易的な対策ですので、悩んでいる騒音が大きな音であれば防ぐことができないと思います。
例えば、受験を控えた子供がいるのだけれど、楽器の演奏が生業だから家の中で演奏をせざるを得ない…と言う場合、上述ような簡易対策では音を防ぐことはできません。このような場合は、専門業者に依頼して、ドアごと交換してもらうという対策がオススメです。
まとめ
今回は、家庭内騒音問題を抱えている方に向け、おさえておきたいドアの弱点と防音対策についてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、コロナ禍で在宅時間が伸びている現在、ご家族同士が出す音で悩んでしまっている方が増加していると言われています。
例えば、マンションなどで生活している場合、テレワークが開始されたものの、自宅に仕事専用のスペースが無いことから、リビングの一角で仕事をするという方が非常に多いと言われています。しかしこの場合、WEB会議などの音が他の家族に迷惑をかけてしまうことになり、ご家族間の関係がギスギスしてしまう…なんてことになる可能性があります。
こういった家庭内騒音トラブルに関しては、通常の室内ドアは扉を閉じていても隙間などから音が筒抜けになってしまう…と言う構造をしているのが大きな要因です。実は、通常のドアに関しては、きちんと閉じていても完璧に密閉するような構造にはなっておらず、その逆に換気のために隙間が生じるように作られているのです。そのため、web会議の話し声などはドアをきちんと閉めていても普通に漏れて行ってしまうと考えてください。
こういった家庭内騒音トラブルを防止するためには、テレワーク専用部屋などを設けるのが最も効果的ですが、なかなかそこまでのコストはかけられない…と言う方も多い事でしょう。そういった場合、この記事でご紹介したドアの防音対策を試してみてはいかがでしょう。