戸建住宅でも騒音トラブルが増加している!?騒音トラブルを防ぐために知っておきたい新築時の防音知識
今回は、憧れのマイホーム購入を検討している方に向け、戸建て住宅新築時に知っておきたい防音の基礎知識をご紹介します。
近年では、日常生活を進めていく上で、致し方なく生じてしまう生活音による騒音トラブルが増えていると言われています。しかし、こういった騒音トラブルに関しては、マンションなどの集合住宅に住んでいる方が、上の階からの足音に悩む…だとか、隣の部屋から聞こえてくる声やTVの音が気になる…など、生活空間がつながっていることから起こっているものだと考えている方が多いと思います。もちろん、同じ建物の中に、生活習慣が異なるさまざまなご家庭が存在する集合住宅は、戸建住宅よりも騒音トラブルのリスクが高いことは間違いないと思います。しかし近年では、本来騒音トラブルとは無縁と考えられていた戸建住宅でも音の問題によるトラブルが増えているのです。
これは、都市部などで、土地面積の問題から、家同士の距離が非常に近くなっていることが大きな原因です。大阪市内などでも、家と家との距離が数十cmしかない…なんてことも珍しくなく、お隣の生活音に悩まされている…なんて方は少なく無いのです。
そこでこの記事では、家の購入後に悩まなくても良いよう、戸建て住宅で防音の基礎知識をご紹介します。戸建て住宅であれば、何か問題があってもなかなか引っ越すことなどできませんし、しっかりとした防音性能を持つ家を建てるのがオススメです!
戸建てでも防音対策って必要なの?
冒頭でご紹介したように、家が独立して建っている戸建てであれば、マンションのような防音対策なんて必要ないと考える方が多いです。もちろん、地方の戸建てのように、庭付き一戸建てであれば、隣家との距離もそれなりにとれますので、音の問題にそこまで神経質になる必要はないと思います。しかし、都市部の戸建て住宅は、家同士の距離が非常に近くなっていることから、家族の話し声が騒音と取られたり、場合によってはエアコンやエコキュートの室外機の音や洗濯機の使用音など、日常生活で生じてしまう生活音までが騒音トラブルの元になってしまう場合があるのです。
そもそも、音の問題の難しいところは、人によって感じ方が全く異なってしまうという点です。例えば、音楽を聴きたくて聞いている人からすれば、それが楽しみや癒しになるのでしょうが、聞きたいと思っていない人からすれば、単なる不快な騒音と取られてしまう可能性もあるのです。つまり、どのような音でも、他人にとっては『騒音』と感じてしまう可能性があるということを第一に考えておいた方が良いです。
なお、環境省が公表している環境基準によると、生活において望ましい音量は『住宅地の場合、昼間であれば55デシベル以下、夜間は45デシベル以下とすること』と推奨されています。
参考データ:環境省「騒音に係る環境基準について」
防音を考えるなら音の種類はおさえておこう!
住宅での防音対策を考える場合、騒音と呼ばれる音にも、大きく3つの種類が損存在するということは頭に入れておいた方が良いでしょう。以下の音の種類を頭に入れておきましょう!
- 空気音(空気伝播音)
空気中を伝わる音の事を指しています。例えば、外から聞こえてくる子供の話し声や犬の鳴き声、救急車のサイレンなどがこれに当たります。 - 固体音(固体伝播音)
地面や床、壁などの物体を伝わる音の事です。足音や水回りの音、隣のドラムの音など、物を振動させて伝わってくる音です。 - 混合音(空気音と固体音が合わさった音)
上記の要素が両方ある音です。例えば、工事現場の音や大型車が通る音など、直接的に耳に届くうえ、壁や床も音が伝わってくるものです。
このように、音にもさまざまな種類が存在しており、さらに家の窓や壁、出入り口などの構造によっても伝わり方が異なります。
新築時に考えておきたい防音対策について
それでは、憧れのマイホームを建てる際、実際に生活する時に困らなくても良いよう、考えておきたい防音対策をご紹介します。防音工事などは、リフォームとして行うものだと考えている方が多いのですが、新築時にしっかりと防音性能の事を考えて対策を施すことで、後から防音工事が必要になる…なんてことを防ぐことができます。
高気密・高断熱を目指す
一般的に高気密・高断熱の住宅は、外から侵入する音を高い機密性のある外壁で遮り、さらに跳ね返しきれなかった音を壁の中の断熱材が吸収するようになるため、遮音性が高い住宅ができると言われています。したがって、「住んでから騒音に悩みたくない…」とお考えの方は、高気密・高断熱の家を目指すのがオススメです。
特に、敷地面積の関係などで、隣の家との距離が近くなってしまう…という場合、お隣からの音に悩まされる・自分が騒音の原因になる…、両方の心配があるため、騒音の影響を減らすためにも気密性と断熱性を高めた住まいづくりを検討するのがオススメです。
建築構造を考える
住宅の防音性能は、どの建築構造なのかによっても変わります。日本国内では、木造の住宅が多いのですが、木造は防音性能の面ではRC造やSRC造に劣ります。RC造やSRC造などの鉄筋コンクリートは、鉄の骨組みにコンクリートを流し込んでいるため、密度が高くなり、防音性が高い家になると言われています。
木造住宅を建てる場合には、カーペットや防音ゴムを使用して音の響きを防止する、音の出る家具・家電を隣家のある壁側に置かないなど、室内の工夫で防音対策をする必要があると考えましょう。
間取りを検討する
生活音などから発生する騒音に関しては、間取りを考える段階で対策をする必要があります。例えば、家族間での音の問題を考えた場合、長い時間を過ごすリビングの真上に子供部屋を配置すると、リビングでくつろいでいるのに足音がうるさい…なんてことになってしまいます。したがって、リビングの上には子供部屋は配置しないようにしましょう。
また、トイレや浴室、洗濯機置き場などは、騒音が発生しやすい場所となるため、リビングや寝室からは離れた位置に配置するのがオススメです。また、隣の家とも、近すぎない位置に配置するようにすれば、家族間だけでなく隣家との騒音トラブル防止にもなるでしょう。
後は、隣家からの音に悩まされないようにするには、自宅の寝室や書斎などのプライベート空間は、お隣の家のトイレやお風呂から離れた位置にするなどの対策がオススメです。
騒音が伝わる部分の対策を強化する
住宅の防音性能を高めるためには、騒音が伝わる原因である部分にしっかりと対策をとっていくことが効果的です。基本的に、床や壁、天井は、室内外の音が響きやすく、伝わりやすい部分ですので、この部分を重点的に対策を行うことで、屋内で生じる音の問題を防ぐことができるようになります。
また、外から侵入する音に関しては、窓が原因となる場合がほとんどです。したがって、窓ガラスに防音性能の高いものを採用する、遮音性が高い樹脂サッシを採用するなど、防音性の高い材料を使用するとか、二重窓にするなどの対策を行うと良いでしょう。
まとめ
今回は、戸建て住宅の新築時に考えておきたい防音対策についてご紹介してきました。この記事でもご紹介したように、都市部では戸建てごとの距離が近くなっていることから、日常生活で普通に生じてしまう生活音による騒音トラブルが増加していると言われています。実際に、エコキュートを設置したことで、お隣とトラブルになり、裁判沙汰にまで発展した…なんて話もあるなど、「戸建ては騒音問題とは無縁」とは言えない状況になっているのです。
この記事では、新築時に考えておきたい基本的な防音対策の考え方をご紹介していますので、家を建てる時にはしっかりと頭に入れておきましょう。なお、上では触れていませんが、日本の伝統である『畳』は、非常に高い吸音性を持っていると言われていますので、防音対策の一環として和室を作るのもオススメです。