予算別!自宅でピアノの演奏を検討した場合の防音対策をご紹介します

今回は、自宅でピアノの演奏を考えている方に向け、ピアノの音で近隣住民とのトラブルに発展しないようにするための対策をご紹介していきたいと思います。

ピアノは、ヴァイオリンやフルートなど、他の楽器に比べても、自宅での演奏を考えた時には、防音室の必要性が高いと言われています。というのも、ピアノは、1人でオーケストラができると言われるほど、幅広い音域を持っており、迫力のある音を出すことができる楽器だからです。実際に、防音室などを用意せずに自宅でピアノの演奏をしていた場合、自分が考えている以上に大きな音が出ていて、ご近所さんから苦情を言われてしまうことが多いようです。

ただ、ピアノの演奏のためとはいえ、本格的な防音室を自宅に用意する場合、多額のコストがかかってしまうことになります。我々のような、防音工事の専門業者に防音室の工事を依頼する場合、やはり200万円以上の工事になることが多いですし、気軽に採用できる選択肢ではないのも事実です。

そこでこの記事では、自宅でピアノの演奏を検討している方に向け、予算別の音漏れ対策をご紹介します。

予算別!ピアノの音を軽減する方法について

それでは、自宅でピアノの演奏を考えている方に向け、音漏れでご近所さんとのトラブルを抱えないようにするための対策をご紹介していきます。ここでは、ある程度の予算ごとにピアノの防音対策をご紹介します。

サイレントピアにする【予算:15万円~】

ピアノの音でご近所さんとトラブルにならないようにするための方法として、最も確実なのはサイレントピアノにすることでしょう。サイレントピアノは、アップライトピアノやグランドピアノに、後付けで消音ユニットを取り付けることも可能です。ちなみに、これからピアノを購入するという場合、『サイレントピアノ』として販売されているタイプを購入するのも良いかもしれませんね。サイレントピアノは、「ハンマーの動きを弦を叩く直前で制止し、センサーによって読み取られたハンマーの動きに応じて、サンプリングされたピアノの音をヘッドホンから発音する。」という構造になっていますので、ピアノの音漏れを気にする必要がなくなります。

この方法のメリット

  • ・物理的に発生する音が打鍵音だけとなるため、家族にも音で迷惑を掛けない
  • ・ヘッドフォンで音を聞きながら練習できる

デメリット

  • ・タッチの感覚が変わるなど、弾き心地が悪くなることがある
  • ・消音機の設置に伴い、ピアノを削ったり穴をあけることがある
  • ・機械なので故障リスクがある

音を出さずにピアノの練習ができる方法ですが、弾き心地を変えたくない、ピアノに傷をつけたくないという方には、あまり向かない方法です。

> サイレントピアノの詳細

電子ピアノにする【予算:15万円~】

二つ目の方法は、アコースティックピアノではなく、電子ピアノを購入し設置するという方法です。一口にピアノと言っても、さまざまな種類が存在しています。一般的に、ピアノと聞くと、アップライトピアノやグランドピアノをイメージすると思うのですが、これらがアコースティックピアノとなります。そして、この他にも電子ピアノやハイブリットピアノと呼ばれるタイプが販売されています。

電子ピアノは、ピアノ本体側で音量調節が可能ですし、ヘッドフォンなどを接続することで、音を出さずに演奏することも可能です。したがって、アコースティックピアノのように、ピアノ本体から出る音で騒音トラブルになる心配がないのです。この選択肢のメリットとデメリットは以下のような感じです。

この方法のメリット

  • ・時間帯などによって、自分で音量を調節できる
  • ・物理的な音は、打鍵音だけになる(振動音対策だけで問題ない)

デメリット

  • ・弾き心地が全く異なる
  • ・電子ピアノにはさまざまな付属機能が備わっていて、お子様の場合、その機能に気をとられて練習に集中できない可能性がある

電子ピアノ最大の欠点は、アコースティックピアノと弾き心地が全く異なる点です。したがって、本格的なピアノの練習には適しているとは言えないです。特に、キーボードのように、机の上に載せて演奏するタイプは、本体が安価に手に入れられるもののピアノの練習には適していないと考えた方が良いでしょう。趣味で演奏するのであれば、安価なものでも構いませんが、アコースティックピアノの練習用であれば、15万円以上するようなある程度本格的なものがオススメです。

ハイブリットピアノにする【予算:50万円~】

ハイブリットピアノは、電子ピアノとアコースティックピアノを組み合わせたようなピアノのことを指しています。普通に演奏すると、アコースティックピアノの音が鳴る仕組みになっているのですが、電子ピアノのように生じる音について音量調整が可能です。したがって、時間帯によって音の大きさを調整しながらピアノの練習が可能です。

この方法のメリット

  • ・電子ピアノよりもアコースティックピアノに近い環境で演奏でき、防音室が必要ない
  • ・音を出しづらい環境、時間帯でも演奏可能

デメリット

  • ・電子ピアノよりはマシですが、アコースティックピアノの鍵盤とは少し重さが違う
  • ・電子機器であることは間違いないので、故障の可能性がある

ハイブリットピアノは、アコースティックピアノに近い弾き心地で音量調整ができるため、音で迷惑を掛けなくて済むはずです。ただ、ハイブリットピアノは、100万円近い金額のものが多いですし、それだけのコストをかけるのに、アコースティックピアノと弾き心地が異なり、本格的な練習には不向きな場合があるなど、非常に中途半端な面があります。

防音室を作る【予算:200万円~】

最後の選択肢は、専門業者に依頼して、専用の防音室を作るという方法です。当然、その他の選択肢と比較すると、高額なコストがかかってしまうことになりますが、ピアノの演奏環境としては最適な状態を作り上げることが可能です。

なお、防音室を用意する方法でも、ユニット型防音室を購入し設置するという方法もありますが、ユニット型防音室は、画一的な性能となりますので、お客様ごとに最適な環境の防音室にするのが難しいです。

この方法のメリット

  • ・どのような楽器でも、時間帯を気にせず演奏が可能
  • ・好みの音響環境にしてもらうことが可能

デメリット

  • ・コストがかかる
  • ・住環境によっては希望の防音性能を実現できない可能性がある(そもそも施工できない場合もある)

> 防音工事の巧みが作るピアノ室について

よくある間違った防音対策について

それでは最後に、よく見かける間違った防音対策について、いくつかの例をご紹介してみます。近年では、ホームセンターやネット通販を利用すれば、防音対策のためのアイテムが簡単に手に入るようになっています。したがって、ピアノなどの本格的な楽器についても、ご自身で防音対策を行おうと考える方が増えているようです。

ただし、以下のような対策について、ほとんど効果が得られないので、注意してください。

ピアノの裏に防音パネル

アップライトピアノは、本体の背面から音が出る楽器です。そのため、アップライトピアノの背面に取り付けることで、防音効果が得られるという防音パネルなどが製品化されています。実際に、このタイプの商品を購入して、ピアノの背面に設置している方は多いのではないでしょうか?

しかし、このタイプの手法については、多少は音の軽減が可能なものの、皆さんが考えているような高い防音効果は得られません。従って、防音工事など行わず、ピアノの背面にパネルを設置しただけで演奏を行った場合、高確率で苦情に繋がると考えておきましょう。

毛布などで覆う

皆さんも、布団や毛布などと言った素材は、吸音材と同じように音を吸収する効果があると聞いたことがあるのではないでしょうか?実際に、毛布などは、生活音程度の音であれば、かなりの吸音効果をもたらせてくれるでしょう。

こういった毛布の特徴を生かし、ピアノを毛布で覆うことで対策を施そうと考える方がいるのですが、これだけでは、騒音トラブルを防げるような効果はありません。毛布が吸音効果を持っていることは確かなのですが、基本的に防げるのは高音のみとなるので、音の聞こえ方が柔らかくなる程度で、周辺の方にとっては十分に騒音に感じます。

まとめ

今回は、自宅でピアノの演奏を検討している方に向け、予算別にピアノの防音対策をご紹介しました。この記事でご紹介したように、ピアノの中には、ヘッドフォンを接続することで外には音を出さずに演奏できるようなタイプや消音装置を設置することで音を出さないようにする機器が存在します。こういった機械を使えば、防音室を一から作るのと比較すると、圧倒的に安価に防音対策を施すことが可能です。

ただ、電子ピアノやハイブリットピアノなど、音量調整が可能なピアノは、アコースティックピアノとはかなり弾き心地が異なりますので、本格的なピアニストの教育目的で使うにはあまりオススメできないという方も多いです。ピアノの上達を考えた場合、きちんとアコースティックピアノを使用し、生の音を聞きながら練習するのがベストだと言われていますので、ピアノから生じる音が外に漏れないようにする対策が必要になります。

つまり、ピアノの演奏目的が、趣味などではなく、仕事として演奏家を目指すという場合、コストをかけてでも防音室を作るのがオススメです。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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