マンションでも電子ドラムならOK?電子ドラムは価格帯によって違いがあるので注意!
今回は、ご近所さんへの騒音を気にする必要もあまりなく、マンションなどの集合住宅でもドラムの上達を目指せる電子ドラムについてご紹介していきたいと思います。ドラムはバンドには欠かせない楽器で、子供の習い事だけでなく、大人になってからドラムを始めるという方が少なく無い珍しい楽器です。どのような楽器でも同じですが、上達を目指すには何より演奏時間が重要になります。しかし、ドラムセットに関しては、設置するにも広いスペースが必要ですし、何よりさまざまな楽器の中でも特に大きな音が生じる楽器となりますので、自宅で気軽に練習することができない…と言う点が悩みの種となります。
もちろん、他の楽器でも自宅で時間を気にせずに演奏できるようなものは少ないのですが、ドラムは叩いたときに生じる音だけでなく、振動まで伝わってしまうことになるため、防音室を作るための防音工事も割高になってしまいます。したがって、ドラムの上達はしたいけれど、なかなか練習する時間を確保できなくて、いつまでたっても上手にならないと悩んでしまう方が少なく無いようです。
そこでここ数年、注目されるようになったのが、電子ドラムです。電子ドラムはヘッドフォンにつなぐことで音の大きさを気にせずに演奏することができ、近隣の方に迷惑をかけずに練習することができるのです。現在では、プロのドラマーの方も電子ドラムを練習用に導入するようになっていると言われていますし、これからドラムを始めたい…という方には非常にオススメ出来る楽器だと言えます。
ただし、電子ドラムを購入する時には、いくつか注意しなければならないポイントがあります。実は、一口に電子ドラムと言っても、さまざまな価格帯のものがあり、どれを購入するのかのよって使い方などが全く異なってしまう場合があるのです。中には、本格的なドラムとはかけ離れたものも存在していますので、ここでは、価格帯別の電子ドラムの特徴をご紹介していきたいと思います。
価格帯別!電子ドラムの特徴
電子ドラムの購入を検討しているのであれば、何の目的で購入するのかをよく考えて選ばなければいけません。電子ドラムは、安い物であれば数万円程度で購入できるものがあるのですが、そういったものの中には本物のドラムとはかけ離れた形状のものも多く、ドラムの上達にはあまり適さないのです。
ここでは、いくつかの価格帯に分けて、それぞれの電子ドラムの特徴をご紹介していきます。
①3~6万円台の電子ドラム
電子ドラムとしては最安値の価格帯で、誰もが手を出しやすいレベルだと思います。この価格帯の電子ドラムは、設置の際もあまりスペースをとりませんし、お家の中を圧迫しないコンパクトサイズになっています。電子ドラムに関しても、ペダルを踏む際の振動が階下に迷惑をかけてしまうことがあるのですが、この価格帯でもスイッチペダルによって防振防音効果が高いモデルになっている場合がほとんどです。
注意が必要なのは、非常にコンパクトで取りつきやすい電子ドラムなのですが、演奏する際の感覚は本物のドラムとはかけ離れていると言う点です。つまり、本格的にドラムの上達を目指すための練習用ドラムとしては適しておらず、あくまでも暇な時に気軽にドラムを叩いてみるなど、趣味程度で購入したいと考えている方向けです。
②6~10万円台の電子ドラム
次は6~10万円台の電子ドラムです。このぐらいの価格帯になると、購入するのも少し慎重に考えるレベルだと言えるでしょう。
この価格帯の電子ドラムは、全てのパッドにメッシュヘッドが採用されており、3シンバル構成のモデルも登場し始めます。音源自体は、上記の3~6万円台のものと変わらないのですが、セッティングの自由度や演奏中の安定性は格段に上がり、演奏しやすくなるはずです。
本格的にドラムの上達を考えているのであれば、最低限の練習ツールとして、この価格帯の電子ドラムから選ぶのがオススメです。
③10~20万円台の電子ドラム
10万を超えてくると、気軽に購入できるアイテムではなくなってきますね。基本的には、ドラムをしっかりと演奏したいと考える方が購入する価格帯になります。
この価格帯の電子ドラムは、音源とパッドがかなりパワーアップしており、ドラム全体の音の表現力がグンっと上がってきます。特に、15万円以上の電子ドラムになってくると、シンバルにハイハットスタンド対応など、アコースティックドラムと同じセッティングになりますし、さらにシンバルを追加できるような拡張性も付いてきます。
本格的なドラムに近いけれど、できるだけ予算を抑えたい…とお考えの方は、この辺りの価格帯から探すのがオススメだと思いますよ。
④20~30万円台の電子ドラム
この辺りの価格帯になると、各社最上位モデルと言える音源やパッドに変わってきます。
本物のドラムに非常に近いリアルなサウンドで、叩く位置によって音が変化することを誰が聞いてもはっきりと感じられるレベルになってきます。①~③までの価格帯のモデルであれば、特定の演奏ができない、あるテクニックは再現できないなど、一定の制限が存在するのですが、そういった不自由さがなくなり、一通りのドラム演奏は何の問題もなく叩けるようなモデルに仕上がっていると言えます。
バンドを組んでいる、音楽教室に通っているなど、ドラムに触れる機会が多い方の自宅練習であれば、違和感なく練習ができるこの価格帯のものが理想的だと考えましょう。
⑤上記以上の価格帯の電子ドラム
各メーカーの最上位モデルとなると、35万円以上の価格は確実に覚悟しておきしょう。もちろん、その価格に見合った音源、パッドを搭載したハイエンドモデルとなっています。
このレベルの電子ドラムになると、座った時のサイズ感や見た目まで、ほとんどドラムと変わらなくなっていると言えます。もちろん、演奏感覚なども、限りなくドラムに近づいており、プロドラマーがライブ現場や練習に使用するほどの完成度になっています。
ドラム経験がそれなりに長く、既にドラムの技術は持っている方が、自宅にドラムを置いて演奏したいという場合でも満足できるレベルだと思います。初心者が練習用に…となると、少し高すぎる気もします。
電子ドラムでも騒音は馬鹿にできない!
ここまでは、マンションなどでも自宅練習用として使用できるとされる電子ドラムのグレードについて解説しました。電子ドラムは、ヘッドフォンなどに繋ぐと演奏音が外に出なくなるため、集合住宅など隣家との距離が近い環境でも、騒音トラブルを心配することなく練習ができるとされています。
それでは、「電子ドラムは静かだから騒音問題は無視できる!」という情報は本当なのでしょうか?実は、この認識は大きな間違いで、何の防音対策もなしに自宅で電子ドラムを演奏すると、ほぼ確実に騒音苦情に発展してしまうことになります。特に、集合住宅の2階以上に住んでいる方の場合、階下の住人から振動音に対する苦情が必ず出ると思います。ここでは、電子ドラムの演奏時に注意しなければならない、演奏時の騒音についてご紹介します。
アタック音(打撃音)
電子ドラムによる騒音問題は、主に「アタック音(打撃音)」と下で紹介する「振動音」が原因となります。「電子ドラムは静かです」という情報を見かけることは多いと思いますが、あくまでもアコースティックドラムと比較した場合は音が静かなだけです。
まず、電子ドラムのアタック音についてですが、これは「太鼓を叩いたときの打撃音」を指しています。ドラムの練習では、練習用パットと呼ばれる製品を使うケースもあるのですが、実はこの練習用パットでも騒音トラブルに発展することもあるのです。電子ドラムの場合、安価なタイプは叩いたときに「コツコツ・ポコポコ音」が必ず発生すると考えて下さい。もちろん、日中など、環境騒音がそれなりにある状況であれば、騒音トラブルになるほど大きな音ではありませんが、周囲が静かになる夜間などは非常に目立ってしまうタイプの音になります。ある程度、価格帯が高くなる電子ドラムの場合、「メッシュタイプ」の打面が採用されているのですが、このタイプはシャカシャカ音しか鳴らないので、比較的静かです。したがって、夜間も連取がしたいという方の場合、最低限メッシュタイプの打面が採用されているものを選びましょう。
ただ、アタック音に関しては、シンバルやリムを叩くときには、騒音トラブルの可能性が十分にあるほどうるさいです。ハイハットやリムは、硬いパーツで構成されているため、「コツン!」という大き目の打撃音が生じてしまうのです。もちろん、ラバー加工などで対策が施されているため、カーン!と言ったような広範囲に響くような爆音ではありませんが、マンションなど、隣人との距離が近い環境の場合は、騒音苦情の可能性が非常に高くなります。また、電子ドラムでも、アコースティックドラムと同じように、打面を叩くのはいっしょなので、振動音は必ず生じてしまいます。
こういったことから、集合住宅に住んでいる方の場合、電子ドラムでも何らかの防音対策は必須です。
振動音はかなりうるさい
電子ドラムが静かだと言われているのは、アコースティックドラムと比較すると、アタック音はかなり対策が考えられているからです。メッシュ素材の打面の場合、叩いたときに驚くほど静かだなと感じる人も少なくないです。
しかし、振動音に関しては、電子ドラムも皆さんが考えている以上にうるさいということは忘れないようにしましょう。一般的に、ドラムの騒音と聞くと、「叩いたときに生じる打撃音」をイメージする方が多いのですが、アコースティックドラムでも「振動音」が実に厄介な存在になるのです。ドラムの場合、叩いたときの振動だけでなく、足で踏むバスドラムの振動がありますので、他の楽器とは比較にならないほどの振動が出ます。実際に、ドラムの練習では、演奏音に対する苦情ではなく、「ドンドン!」と響く振動音に対して、階下の人から苦情を言われるケースがほとんどです。
こういったことから、「静かに練習できる」と言われている電子ドラムに関しても、本格的な演奏練習をする場合、振動対策まで施す防音対策が必須と考えてください。特に、マンションなどの集合住宅の場合、防音対策無しに演奏すると、電子ドラムでもすぐに苦情が出ると思います。
まとめ
今回は、本物のドラムの使用感に近づいて、自宅でのドラム練習用に非常に有効だと言われるようになってきた電子ドラムについてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、一口に電子ドラムと言っても、さまざまな価格帯のモデルが存在しており、物によってはドラムとはかけ離れた演奏感覚になってしまい、練習用としてはオススメできない…なんて物も存在するのです。
練習用として購入する場合であれば、「できるだけ安価なものを…」などと考えて、価格の安さだけで選んでしまう方が多いのですが、購入して実際に使ってみると、全くドラムの上達に役に立たなかった…なんてことになりかねません。電子ドラムを購入する時には、何の目的で購入するのかをよく考えて、上述したそれぞれの価格帯の違いによる特徴をしっかりと頭に入れておきましょう!