最近よく聞く高気密高断熱住宅は外部騒音の侵入が少ない高い防音性を確保できる?

近年の新築業界では、高気密高断熱住宅という言葉を耳にする機会が増えています。高気密高断熱住宅は、その言葉通り、住宅の気密性と断熱性を高めるための工夫が細部まで施された家を指していて、こういった住宅にすることで日々の生活に必要になるエネルギーが少なくなり、光熱費削減が目指せるという点がメリットとされています。高気密高断熱住宅は、省エネな生活を実現することができることから、国もこういった住宅の普及を強く後押しするようになっています。実際に、新築住宅の購入時に利用できる補助金や、住宅ローン減税の利用を考えた時には、住宅の省エネ性が国が定めた基準を上回らなければならないようになっているのです。

ただ、高気密高断熱住宅は、一般的な戸建住宅を建てるのと比較すると、建築コストが高くなってしまう点が難点です。日々の生活にかかる光熱費削減が見込めますので、数十年先のことも考慮すれば、トータルコストは安くなるかもしれませんが、初期コストの負担が大きいことから高気密高断熱にそこまでこだわらなくても良いのではないか…と考える方も少なくないようです。これは、建築技術や建材の性能が飛躍的に向上していることから、一般的な住宅でも十分に高い気密性・断熱性を確保できるようになっていることも要因の一つと考えられるでしょう。

しかし実は、高気密高断熱住宅というのは、日々の生活にかかる光熱費の削減が期待できるというメリット以外にも、高い防音性が期待できるため、外部騒音に悩まされる心配が少なくなる点も非常に大きなメリットと紹介されるようになっているのです。それでは、高気密高断熱住宅は、本当に外部騒音に悩まされない住環境を作ることができるのでしょうか?この記事では、高気密高断熱住宅と防音性の関係を解説します。

高気密住宅とは?一般的なメリットもご紹介

引用:国土交通省資料より

上のイラストは、国土交通省が作成している省エネ住宅のメリットを解説する資料に掲載されているものです。これからも分かるように、日々の生活に使用するエネルギーを削減できる高気密高断熱住宅は、国がその普及を強く推進しています。

高気密高断熱住宅は、そこまで複雑な物ではなく、一般的な住宅よりも、気密性や断熱性が高くなるための対策をしっかりと施した住宅を指しています。例えば、窓からの熱の出入りを少なくするため、断熱性の高い窓ガラスを採用したり、樹脂サッシを採用する、二重窓を採用するといった対策が施されます。また、壁の中には、隙間なく断熱材を充填することで、外気温の影響を受けにくくするといった対策が施されているのです。

高気密高断熱住宅は、夏は外から熱が侵入するのを防ぎ、冬はエアコンなどで暖めた空気が外に逃げていかなくなるなどといった効果が期待できるため、空調効率を高めることができ、光熱費削減などのメリットが得られるのです。

高気密高断熱住宅のメリット

それでは、新築業界で注目されている高気密高断熱住宅にはどのようなメリットがあるのかもご紹介します。住宅の気密性・断熱性を高めれば、以下のようなメリットが得られます。

  • ・外気の影響を受けにくくなるので一年中快適な空間を作れる
  • ・光熱費削減効果が高い
  • ・ヒートショックなど、言えないの事故を防げる

高気密高断熱住宅は、熱の出入りを少なくすることができます。そのため、エアコンなどの空調に頼らなくても、夏は涼しく、冬は暖かい快適な住空間を実現することが可能です。また、空調の使用を最低限にとどめることができるようになるため、そこにかかる光熱費を大幅に削減することが可能という点もメリットと言えるでしょう。

この他にも、家族が健康に過ごせる住空間になるという点も大きなメリットです。近年では、ヒートショックと呼ばれる家の中での事故の増加が社会問題となっています。これは、寒い場所にいた人が、お風呂に入るなどと言った際、急激な温度変化により体に負担がかかり、心筋梗塞などの健康被害に発展する問題を指しています。高気密子欧断熱住宅は、家の中の気温差を少なくすることができるため、ヒートショックによる事故の可能性も低くしてくれるとされています。他にも、「気密性が高い=家に隙間が少ない」ことを意味しますので、花粉や黄砂などの侵入を防ぎ、喘息やアレルギーなどを防止するという効果も期待できます。

高気密高断熱住宅のデメリット

高気密高断熱住宅にもいくつかのデメリットが存在します。

  • ・空気がこもりやすくハウスダストなどの対策が必要
  • ・壁内結露が発生することがある
  • ・建築コストが高い

高気密高断熱住宅は、家に生じる隙間が少なくなるということなので、空気の入れ替えが自然に起こりにくくなります。そのため、室内に嫌な臭いが残ったり、シックハウス症候群の原因物質が室内に充満するといった危険があるのです。実際に、家の高気密化が進み始めた当初は、空気の入れ替えが不足したことでシックハウス症候群を発症する人が急増したことが社会問題となりました。なお、現在では、24時間換気システムの設置が法で義務付けられていますので、室内の空気は強制的に換気が行われ、清潔な空気環境が維持されるようになっています。ただ、24時間換気を止めてしまうと、室内の空気が澱んでしまうという問題は残っています。

高気密高断熱住宅は、外気の影響を受けにくくなるため、基本的には結露の発生は少なくなります。一般的な住宅は、冬場になると窓付近が結露でビシャビシャになる…なんてケースもありますが、高気密高断熱住宅の場合、そういった心配がないとされているのです。しかし、高気密高断熱住宅は、壁の中のグラスウールの隙間で結露が発生するという壁内結露の可能性がある点は注意しましょう。断熱材のすき間から入り込んだ冷たい外気が、断熱材内部の温度の高い空気と触れると結露し、カビなどが繁殖することがあるのです。断熱材にカビが生えると、本来の断熱効果が得られなくなるため、家の性能自体が急激に落ちてしまいます。

そして、高気密高断熱住宅最大のデメリットが、家の建築にかかるコストがどうしても高くなってしまう点です。断熱効果の高い建材は材料費が高価なものが多いですし、すき間なく断熱材を入れるなど高い精度での設計・施工技術が求められることが要因です。

高気密高断熱住宅の防音性能について

ここまでの解説で、高気密高断熱住宅が、なぜ新築業界で人気になっているのかが分かっていただけたと思います。高気密高断熱住宅は、建築時の初期費用は高くなるものの、日々の生活にかかる光熱費を削減できるうえ、そこに住む人の健康まで守ってくれる非常に高性能な家となるのです。国が推奨している理由は、空調などに使用するエネルギーが少なくなることで、CO2排出量の削減など、さまざまな環境問題の解決に大きく貢献できるからです。日本でも、脱炭素社会の実現が目指されており、住宅領域の省エネやCO2排出量削減は、再エネ設備の導入、家の省エネ化が非常に重要とみなされているのです。

そして実は、高気密高断熱住宅というのは、一年中快適な室温を保つことができるだけでなく、外部騒音の侵入や室内からの音漏れを防ぐ、防音性の高さも実現するとされているのです。実際に、昨今の新築住宅は、一昔前の家と比較すると、騒音に悩まされにくい静かで快適な環境を維持することができると言われるようになっています。この防音性の高さは、家の気密性と断熱性が高くなっているからです。

気密性が高いということは、家の各所に生じる隙間を可能な限り少なくすることで実現します。例えば、窓に樹脂サッシを採用する、壁の中に隙間なく断熱材を採用する、どうしても隙間が生じる部分には隙間テープなどで対策を施すなどの工夫が行われています。そして、音は、空気の振動で伝わっていくものですので、家に隙間が生じていなければ、騒音の侵入や漏れを防ぐことができるのです。さらに、高断熱住宅に採用される断熱材は、防音工事で吸音材として使用されるものと同じです。つまり、家の断熱性を高めていけば、同時に壁や天井などの吸音効果も高くなっていくのです。

こういった家の作りが要因となり、音の侵入や・漏れの原因となる部分が最小限となり、高い防音性を実現できます。つまり、高気密高断熱住宅が高い防音性を実現できるというのは本当のことなのです。

高気密高断熱住宅の防音性能に関する注意点について

それでは最後に、高気密高断熱住宅の防音性能に関する注意点をご紹介します。上で解説したように、高気密高断熱住宅は、家に生じる隙間が少なくなる、吸音材となる断熱材がしっかりと施されるという特徴から、一般的な住宅よりも高い防音性を発揮してくれます。我々のような防音工事業者が作る防音室も、気密性・断熱性を高めるような対策を施すわけですので、高気密高断熱住宅が高い防音性を持つのは当然と言えば当然です。

ただ、高気密高断熱住宅の防音性については、いくつか注意しなければならない点があるので、以下に紹介するポイントは頭に入れておきましょう。

防げるのはあくまでも生活音レベル

高気密高断熱住宅が、外部騒音の侵入を防いで、静かで快適な住環境を作ることができ、さらに自分たちが生じさせる音を外に漏れにくくさせるなど、高い防音性を保持した家を作ることができると紹介されている場合が多いです。そして、上で紹介したように、高気密高断熱住宅が高い防音性を持っているのは確かです。

ただ、皆さんに注意してほしいのは、高気密高断熱住宅の防音性能は、楽器やホームシアター、カラオケなど、生活音とは比較にならないほど大きな音を防ぐほどの性能は持っていないという点です。高気密高断熱住宅は、家の隙間を限りなく少なくすることで、空気音の侵入が少なくなるため、家の前を通る自動車の走行音などが聞こえにくくなります。ただ、あくまでも防げるのは空気伝搬音で、構造物の振動を伝わる固体伝搬音まで防ぐことはできないのです。

防音工事業者が作る防音室は、単に気密性や断熱性を高めるだけでなく、「部屋の中に部屋を作る」と言った感じに二重構造にします。これにより、楽器やステレオからの重低音が室外に漏れていくのを防ぐことができるようになるのです。高気密高断熱は、ここまでの対策を施しているわけではありませんし、防げる音のレベルは人の話し声やTVの音声、犬の鳴き声などの生活音を防げる程度と考えておきましょう。
つまり、高気密高断熱住宅の防音性能を、必要以上に評価して「楽器の演奏も可能!」などとは考えてはいけません。

反響音の対策が必要

高気密高断熱住宅は、気密性を高めるために家の隙間を可能な限り少なくして、室内で生じた音が外に漏れにくくなると紹介しました。ただ、この特性を持つことから、家の中で発生した音の逃げ道がなくない、室内で反響する場合があるのです。このような音は反響音と呼ばれていて、防音工事はしっかりとこの反響音対策が行われますが、新築住宅では防音の知識を持たない業者が施工することで、この問題が残ってしまうケースがあるのです。

例えば、リビングの話し声が寝室まで聞こえる…、TVの音が他の部屋にまで響いて同居している家族が、他の人が生じさせる音を迷惑に感じることがあるとされています。ちなみに、高気密高断熱住宅の反響音は、鉄筋コンクリート造のマンションと当同レベルとまで言われているので、日常生活の中で反響音に悩まされたくない…と考えるなら、きちんと対策を施しておく必要があります。

対策としては、トイレや洗濯機など、音を生じさせる場所もしくは家電製品は、静音タイプのものを選ぶ、床や天井などもしっかりと防音し、他の部屋に音が伝わらないようにする言った方法があります。

まとめ

今回は、新築業界でよく耳にするようになった高気密高断熱住宅について、なぜ高気密高断熱住宅が注目されているのか、また高気密高断熱住宅は音の問題を抱えにくいと言われるのは本当なのかについて解説しました。

記事内でご紹介したように、高気密高断熱住宅は、家に生じる隙間を少なくする、壁に隙間なく断熱材を充填した家のことを指していて、こういった住宅は、外気の影響を受けにくくなるため、一年中快適な住環境を維持してくれるというメリットが得られます。エアコンなどの空調効率が高くなるため、日々の生活にかかる光熱費も大幅に削減することができると言われています。

そして、家の気密性や断熱性を高めるという対策は、防音の視点から見た時にも、非常に有効な方法と言えます。実際に、我々が付く防音室も、部屋の隙間を限りなく少なくし、壁にしっかりと断熱材を施工するなど、高気密高断熱住宅と似たような対策を施しているのです。こういったことからも分かるように、高気密高断熱住宅が、高い防音性を持つという情報は正しいです。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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