防音工事の流れと注意点について!自宅に防音室を作る際のポイントをご紹介します

今回は、DIYなどで簡易的な防音対策をするのではなく、専門業者に本格的な防音工事を依頼する場合の流れと、各ステップごとの注意点について解説します。

近年では、インターネット通販を利用すれば、簡易的な防音グッズを簡単に手に入れることができるようになっていますし、何らかの音の悩みを抱えた時には、ひとまず自分で防音対策を行ってみようと考える方も少なくありません。もちろん、防ぎたい音が、足音やテレビの音声など生活音程度の大きさであれば、そこまで本格的な防音対策ではなく、自分で簡易的な対策を行うことで、近隣住民との騒音トラブルに発展せずに済む可能性も高いです。
しかし、家の中で楽器の練習がしたい…、ホームシアターを設置して大音量で映画を楽しみたい…などと言った要望がある人であれば、簡易的な防音対策では心もとないのです。特に、マンションなどの集合住宅であれば、隣家との生活空間が非常に近くなってしまうため、しっかりと防音対策をしておかなければいけません。

それでは、本格的な防音工事を検討した場合には、どのような流れで工事が進んでいくものなのでしょうか?また、防音工事を失敗しないためにはどこに注意しておけば良いのでしょうか?この記事では、専門業者による防音工事をご検討中の方のため、一般的な防音工事の流れや工事後に後悔しないためにチェックしておきたいポイントをご紹介します。

防音工事の契約から完了までの流れ!

それでは、専門業者に本格的な防音工事を依頼する場合の一般的な流れをご紹介していきましょう。ここで紹介する流れは、あくまでも一般的な流れですので、相談する業者によっては完了までの流れに相違点がある場合も考えられます。あらかじめご了承ください。

STEP1 業者を探し電話やメールでお問い合わせ

まずは、防音工事を相談できる専門業者を探すことからスタートします。インターネットを利用して「防音工事 (お住いの地名)」などと検索してみれば、防音工事会社のホームページがたくさん表示されますので、その中から相談する業者を探しましょう。相談する業者に関しては、「豊富な施工実績があるのか?」「現地調査を行ってくれるのか?」「評判はどうか?」などを確認し、3社程度に絞り込むと良いでしょう。

相談する業者が決まれば、電話やお問い合わせフォームから相談の依頼をしましょう。防音工事は、対策を検討している部屋の状況や、周辺環境が防音性能に関係してきますので、お電話だけで契約を勧めてくるような業者は絶対に辞めておきましょう。また、面倒だからと、1社だけに相談するのもあまりオススメできません。
防音工事は、誰でも行うような工事ではありませんし、お客様の状況によって必要な対策が全く変わります。そのため、他の住宅リフォーム工事のように明確な『費用相場』というものが無いのです。業者から提示される提案内容や金額が適正なのかを判断するためにも、最低3社程度に現地調査・見積りの提出をしてもらうのがオススメです。

ここに注意

このステップの注意点としては、「豊富な知識を持った防音工事業者をきちんと見つける!」ということです。近年では、防音工事の需要が高まっていますので、リフォーム会社や建設会社など、防音の専門知識があまりないにもかかわらず、防音工事業界に進出している業者が増えているのです。そういった業者に依頼してしまうと、防音室の見た目は良いけれど、防音性能が心もとない…なんてことになる危険があります。
したがって、口コミ情報や、業者の施工実績などを確認し、本当に技術と知識を持った業者なのかを確認しましょう。

STEP2 現地調査

STEP1でお問い合わせを行うと、すぐに業者から折り返しの連絡があるでしょう。その際には、「どんな音に悩んでいるのか?」「何のために防音対策が必要なのか?」「どの程度の広さの部屋に防音工事を行うのか?」を明確に伝えるようにしましょう。あなたの希望を伝えれば、工事に必要になりそうな概算金額を伝えてくれると思いますので、予算内であれば、現地調査を行ってもらいましょう。

現地調査は、あなたが指定した日時に防音の知識を持った職人がお伺いし、現在の部屋の環境や防音工事を行う目的を詳細にヒアリングしてもらうことになります。ちなみに、防音工事というものは、同じ音源に対する対策だとしても、立地条件や建物の構造などによって工事費用が大きく違ってきてしまいます。後々後悔しないためにも、周辺環境までしっかりと確認してくれる業者が安心できると考えましょう。
なお、業者によっては防音室のモデルルームなどを作っている場合があります。こういったモデルルームに関しては、防音工事を進めれば、どの程度の性能が出るのか身をもって体験することができますので、モデルルームを確認しておくのもオススメです。また、防音室のモデルルームは、施工業者の技術力の証明にもなるので、業者選定のための重要なポイントにもなります。

ここに注意

現地調査で業者に依頼する要望は、必ず同じ内容にするようにしましょう。あなたが業者に伝える要望が変わってしまえば、業者から提出される提案や見積もり費用が変わってしまいます。そのため、複数社から見積りを貰ったとしても比較検討のしようがなく、何があなたにとって最適な工事なのか判断できなくなってしまいます。
現地調査の前に、あなたの要望を箇条書きにしたプリントを用意しておき、それをもとに提案・見積書を作ってもらう…などとするのがオススメです。

STEP3 見積り書の提出・契約

現地調査完了後、数日たてば業者から防音工事の内容と、それにかかる費用の見積り書が提出されます。複数社に現地調査を依頼したのであれば、すべての会社の提案と金額を比較検討しましょう。

提案内容と見積り金額が納得できれば、その業者と契約し、「いつ工事をスタートするのか?」を決定すると良いでしょう。

ここに注意

相見積もりを取った際などは、一番安価な費用を提示してくれた業者に決めようと考える人が多いですが、「安価な理由」をきちんと理解せずに価格だけで決めるのはオススメできません。防音工事は、比較的高額な住宅リフォームに分類されますが、その価格には高いだけの根拠がきちんとあるのです。例えば、安価な理由が他社よりも性能が落ちるため、保証期間が短いため…などと言った理由の場合、注意が必要です。
いくら安くても、防音性能が劣っているのであれば意味がありませんし、保証期間が短い契約の場合、見えない位置に使用する材料のグレードが低く、工事後すぐに音漏れが始まる…なんてリスクがあるのです。こういった場合、後から何か言っても「契約書通りの工事になっている」などと、困ってしまうのはあなたになります。なお、他社の金額を伝えたところ、突然見積り金額を大幅に下げて契約を迫ってくる業者も注意が必要です。まともな業者であれば、自社の提案と見積りの必要性をきちんと伝えてくれるはずで、安易な値下げなどで対応しようとすることはありません。

STEP4 防音工事の事前準備

防音工事は他のリフォームとは異なり、「何かあればアフターフォローで修繕すれば良い!」というものではありません。工事前に綿密な計算のもと吸音・遮音・音響などを決めますので、後から何か不満があって追加工事する…となれば、当初の計画が全て崩れてしまう…なんてことも考えられるのです。

したがって、工事直前まで納得のいく防音工事になるように、工期や防音の仕様・化粧材の選定などしっかりと事前準備を進めていくことになります。また、工事では材料の搬入・廃材の搬出、工事音などで近隣に迷惑をかけてしまうことになります。したがって、工事に入る前に、しっかりと近隣住民へのご挨拶と工事日程の説明も行ってくれるように依頼しましょう。なお、マンションなどの集合住宅での工事であれば、管理組合への説明も必要ですので、その辺りもしっかりと行ってもらいましょう。

ここに注意

近隣住民へのご挨拶は、業者に同行していくのがオススメです。お隣さんとの人間関係もありますので、しっかりとご挨拶さえしておけば、工事途中はもちろん、工事後のトラブルも少なくなります。なお、近隣への挨拶を自分だけでやるので良いですよ…などとおっしゃる方もいるのですが、これはオススメできません。施工を行う業者に来てもらわなければ、音が出る工程やにおいが出る工程などが分からないため、どういった迷惑をいつかけてしまう可能性があるのか説明できないのです。近隣へのご挨拶は、工事によってどんな迷惑をかけてしまうか、洗濯物を外に干さない方が良い時期はあるか、などを説明することになりますので、その辺りは専門家に説明してもらうようにしましょう。

STEP5 実際の工事スタート

これからいよいよ防音工事がスタートします。工事内容によって工期は変わりますが、長ければ数週間にわたる工事になることもあります。工期に関しては施工前にしっかりと説明してくれるはずなので、安心しましょう。

実際の施工に関しては、住人側が何か手伝いをするなんて必要はありませんし、常に見張っている必要もありません。契約通りの施工を進めてくれているのか心配…という方は、事前に工程ごとのポイントを写真に残してもらい、工事完了後はその写真をもとに何を行ったか説明してもらうようにしましょう。

ここに注意

見積り書に記載されていた材料に関して、実際に搬入された材料の品番と同じものなのかは確認しておくと良いでしょう。悪徳な防音工事業者の中には、目に見えない部分にグレードの低い材料を利用し、コスト削減を行う…なんて場合があるようですので、その辺りは目を光らせておきましょう。

STEP6 工事完了・アフターフォロー

工事完了後は、要望した性能通りの仕上がりになっているのか業者と一緒に検査しましょう。打ち合わせ通りの仕上がりであれば、これで防音工事は完了です。なお、優良業者が行う防音工事は、契約の段階で「性能保証」と保証した性能が本当に発揮できているのかをチェックするための適切な検査方法が規定されているはずです。したがって、工事完了後の検査は、事前に決めていた内容の検査を行い、契約通りの性能が発揮できているのかをチェックすると良いです。

防音室のアフターフォローに関しては、業者によってかなり違ってきますので、工事後の対応などは契約時にしっかりと確認しておきましょう。

まとめ

今回は、本格的な防音室を作るため、専門業者に防音工事を依頼しようと思った際の一般的な流れをご紹介してきました。

工事の依頼から完了までの流れに関しては、一般的な住宅リフォームとそこまで大きな違いはありません。しかし、防音工事を業者に依頼する場合に注意してほしいのは、最初の段階で「技術と知識を持った専門業者」をきちんと選定するということが大切だという点です。上述していますが、マンション暮らしの方が増えた近年では、防音工事の需要が急激に高まっており、防音に関する知識が全くないようなリフォーム業者が防音工事の営業を行うようになっているのです。

はっきり言っておきますが、防音室の性能は、「材料に何を使うのか?」「いくらお金をかけたのか?」が重要なのではなく、「どこに工事を依頼したのか?」が最も重要なのです。いくら見た目が綺麗な防音室が出来上がったとしても、ほんの小さな隙間があるだけで音漏れしてしまいますので、しっかりと知識を持った専門業者に工事を依頼するように注意してください。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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