RC造マンションにおける防音上の落とし穴を紹介
サンテレビ「アサスマ! 」で防音工事の匠が紹介されました!
一般的なイメージとして、木造の建物と比較すると、鉄筋コンクリート造の建物は、防音性が高くなるため騒音問題に悩まされる可能性は低いとされています。
実際に、音の悩みを抱えたくないと考えた場合、賃貸アパートなどに住むのではなく、建物の構造がしっかりしたマンションの方が良いとされています。しかし、音の問題のことを考えて、せっかく防音性が高いと言われる鉄筋コンクリート造のマンションを選んだ方の中には、実生活で壁からの音漏れに悩まされてしまうという問題を抱えるケースがあるとされています。
大前提度して、木造と鉄骨造、そして鉄筋コンクリート造の建物を防音性能の面で比較した場合、「鉄筋コンクリート造の建物が最も防音性が高い」とされるのは間違いではありません。しかし実は、一口に「鉄筋コンクリート造のマンション」と言っても、建物構造の違いからそれぞれ得られる防音性能というものが異なるのです。そのため、特定の工法を採用されたマンションを選んだ場合、鉄筋コンクリート造の建物であっても、壁からの騒音の侵入に悩まされる可能性があると考えておいた方が良いです。
そこでこの記事では、賃貸物件探しや中古住宅の購入を考えている方が、音のに悩まされないマンション選びをすする際、おさえておくべきポイントをご紹介します。
鉄筋コンクリート造のマンションでも壁の構造で防音性が変わる
建物の構造は、人で言う骨の役割を担っている構造材によって区分されています。戸建て住宅に多い主たる構造材が木の建物は「木造」、鉄の場合は「鉄骨造」、そしてコンクリートが用いられている場合が「鉄筋コンクリート造」となります。通常、建物の防音性能に関しては、「木造⇒鉄骨造⇒鉄筋コンクリート造」の順に高くなっていくとされているのですが、これはコンクリートが木造や鉄骨造の構造材と比較すると、密度が高く重量があるためです。
したがって、共同住宅に住む場合に、より防音性の高い建物を選びたいと考えるのであれば、木造や鉄骨造ではなく、鉄筋コンクリート造のマンションが良いとされるわけです。しかし、同じ鉄筋コンクリート造のマンションでも、部屋を作る時の構造などが微妙に異なり、採用されている工法によって防音性能が大きく変わるという点に注意が必要です。実際に、鉄筋コンクリート造のマンションを選んだのに、「隣の人の生活音に悩まされてしまう…」と言った問題を抱えてしまうことはあるのです。
そこでここでは、マンションの主な壁の工法と防音性能に違いについて簡単にご紹介します。
①GL工法
一つ目は、マンションの構造部分であるコンクリート壁に、石こうボードを貼り付けることで仕上げするGL工法と呼ばれる方法です。
この工法が採用された室内壁は、コンクリートの壁にGLボンドと呼ばれる接着剤を用いて石膏ボードを貼り付けていくという工法になっています。最終的に、表面をクロスで仕上げることで、外観上は美しい壁にすることができます。このGL工法は、1975年頃から広く使用されているのですが、工期が短くコストが抑えられるという理由で、多くのマンションで採用されていました。
しかし、実際にこの方法が採用されたマンションでは、以下のような問題が後から指摘され、現在では他の工法にとってかわられています。
- ・中音域(250〜500Hz)で、下地となるコンクリートと石膏ボードが共鳴し、遮音性が低下する
- ・高音域の音(2,000〜4,000Hz)では、石膏ボードのコインシデンス効果によって遮音性能が低下する
上記のような問題が1980年代に入ってから指摘され始め、遮音性低下の問題を解決するための対策がいろいろと検討されました。しかし、問題を解決するまでには至らず、下で紹介するような他の工法にとってかわられています。
※コインシデンス効果・・・壁やガラスなど、板状の素材に特定の周波数の音が斜めに入射した際、音の波と素材の振動(屈曲波)が共鳴し、音がそのまま通り抜けてしまう現象のこと
②直貼り工法
GL工法の問題が指摘されたことで、現在主流となっている工法は、下地となるコンクリート壁に直接クロスを貼り付けることで仕上げるという工法です。
この工法の場合、下地となるコンクリートの壁と仕上げ材であるクロスの間に隙間が生じないため、遮音性に影響を与えないという効果が得られます。そのため、GL工法を採用したマンションと比較すると、壁の防音性能は高くなると想定できるわけです。
ただし、この工法を採用した時の壁の遮音性については、コンクリートの壁厚次第で変化します。壁が薄くなればその分、遮音性が低くなってしまうため、物件選びの際にはきちんと壁厚を確認しなくてはいけません。ちなみに、しっかりとした遮音性能を期待するのであれば、180mm以上の壁厚が確保された物件を探しましょう。
③ふかし壁工法
3つ目の方法は、ふかし壁工法と呼ばれる方法で、これは下地となるコンクリートの壁に金属製の骨組みを設けたうえ、そこに石膏ボードを貼り付けるという工法となります。最終仕上げは、石膏ボードの上にクロスを貼り付ける形となります。
ふかし壁工法は、下地のコンクリート壁と石膏ボードの間に、金属製の骨組みを設置することで、ある程度の空気層を設け、遮音性の低下を防止するという点が特徴となります。防音性能については、上述した壁厚のある直貼り工法よりは低くなるものの、中程度の遮音性を維持することができます。
④乾式壁(LGS工法など)
最後は、2枚の石こうボードの間に空気層を設け、さらにそこに吸音材を充填するという方法です。簡単に言うと、防音室を作る時に採用される壁の工法に近いです。
厚みが異なる石膏ボードを使って壁を作るのですが、ボードの間に70mm程度の空気層を設けます。そしてその部分にグラスウールなどの吸音材を設置することで、高い防音性能を発揮させる工法となります。コンクリートと比較すると、軽量な壁になるのですが、空気層と吸音性の高いグラスウールを採用することで、非常に遮音性の高い壁にする事が出来ます。ちなみに、グラスウールは、もともと住宅の断熱材として用いられている素材なので、部屋の断熱性能も高めてくれるという副次効果も期待できます。
音の問題を抱えないマンションを選ぶためのコツ
前項でご紹介した通り、鉄筋コンクリート造のマンションでも、壁を作る時の工法によって遮音性が異なるため、場合によっては音の悩みを抱えてしまう可能性があるのです。
それでは、できるだけ音の問題を抱えない、防音性が高いと考えられるマンションを選ぶためには、どうすれば良いのでしょうか?ここでは、賃貸や中古物件探しを進める際、快適な住環境を実現するために重要なポイントになる、「騒音に悩まされにくい物件をコツ」をご紹介します。
GL工法が採用されている物件を選ばない
一つ目のポイントは、壁の工法としてGL工法が採用されている物件を選ばないということです。上で紹介したように、鉄筋コンクリート造のマンションでも、部屋の壁を作るための工法がいくつか存在していて、その中でもGL工法が採用された壁は、遮音性に問題があるケースが多いのです。物件探しの段階で、GL工法が採用されているかどうかを見極めるには、以下のような方法があります。
- ・仲介会社の担当者に直接聞く
- ・築年数が昭和後期の物件を避ける
- ・壁を数カ所叩いてみる
最も単純な方法は、仲介会社の担当者さんに、壁の工法について質問してみるという方法です。ただ、賃貸物件探しの場合、物件の詳しい構造までは抑えていない可能性があるため、質問しても「分からない」と言われることも多いです。その場合は、昭和後期に建築された物件を避ける、内覧時に壁を数カ所叩いてみることで判断すると良いです。GL工法は、上で紹介したように、昭和50年頃に一気に広まった工法で、その後、昭和の後期には問題が指摘されるようになっています。その結果、他の工法が採用されるようになったため、この時期に建てられた物件を避ければ、GL工法以外が採用されている可能性が高いのです。
壁を叩く方法については、石こうボードを固定するためのGLボンドは、間隔をあけながら設置されるため、ボンドの部分と空白の部分で叩いたときの音が変わるのです。したがって、壁を叩きながら徐々に横や上下に移動していき、途中で音が変わるようであればGL工法の壁と判断できるため、避けた方が良いでしょう。
できるだけ築年数が新しい物件を選ぶ
二つ目のポイントは、できるだけ築年数が新しい物件を選ぶということです。これは、築年数が経過していない物件は、問題となる工法が採用されていない上、壁厚がしっかりと確保されているものが多いためです。
特に、2000年以降に建築されたマンションに関しては、高い遮音性能を持つ壁が採用されているので、音の問題を抱えにくくなるとされています、一方、1970年代に建築された物件については、上述したGL工法が採用されている可能性が高いうえ、建築基準法で界壁に必要な遮音性能が規定されていなかったこともあり、音の問題を抱えやすいのです。
築年数が経過した物件は、安価に購入することができるというメリットがあるものの、そこでの生活を始めると音の問題に悩まされてしまう可能性が高いです。そのため、入手コストが多少高くなっても、可能なら2000年以降に建築されたマンションを選ぶのがおすすめです。
壁の遮音性能と壁厚を確認する
壁の遮音性能はD値呼ばれるもので表現されます。これを確認すれば、物件の防音性をある程度は判断することが可能です。
不動産会社から提示される資料を確認し、壁の遮音性を確認してみましょう。静かな住環境を求めているのであれば、「D-50」程度の性能水準が確保できている物件を選ぶと良いです。なお、D値は、「D」の後に続く数字が大きいほど高性能になるので、可能であればD-50以上の性能を確保できている物件を選ぶと良いです。
また、壁の防音性能に関しては、壁厚も重要です。壁の厚みが増すほど防音性能が高くなるのですが、生活音に悩まされないレベルの性能を確保したい場合、壁厚は180mm以上の物件を選ぶと良いです。
※賃貸の場合、壁厚や遮音性能など、詳しい性能を解凍する義務がないようです。そのため、物件の種類は回答してもらえるかもしれませんが、それ以上の詳しい内容は確認できない可能性が高いので注意しましょう。
まとめ
今回は、鉄筋コンクリート造のマンションについて、防音性を測るためのポイントをご紹介しました。
一般的に、木造や鉄骨造と比較すると、防音性能が高いとされる鉄筋コンクリート造の建物ですが、壁の工法などによって、実際に実現できている防音性能は大きく異なるのです。築年数が比較的新しい物件については、GL工法などが採用されていないため、そこまで気にする必要はありません。しかし、壁厚については、築年数が古い物件ほど薄い傾向にあり、音に悩まされる可能性が高くなるので、その点は注意しましょう。
転勤コンクリート造でも、工法や壁厚によって防音性が異なるので、賃貸や中古住宅の購入を検討した時には、上で紹介した内容に注意しましょう。