一戸建て住宅と防音室の関係性について解説します
サンテレビ「アサスマ! 」で防音工事の匠が紹介されました!
今回は、一戸建て住宅と防音室の関係性について解説していきたいと思います。
一戸建て住宅に関しては、マンションなどの集合住宅と比較すると、音の悩みを抱える可能性が少なくなると考えている方が多いです。これは、集合住宅の場合、お隣のご家庭との生活空間が非常に近いうえ、壁や天井、床などで生活空間が区切られているものの、構造物でつながっていることから、大きな音は簡単に伝わってしまうのではないかと考えられているからです。戸建て住宅の場合、各建物が独立して建設されていますし、お隣の家とはそれなりの距離が離れているケースが多いため、音が伝わりにくいと考えられているのです。
実際に、一昔前の戸建て住宅のように、「庭付き一戸建て」が当たり前だった時代は、集合住宅から一戸建てに引っ越しすれば、騒音に悩む可能性は少なくなると言われていました。しかし、昨今では、都市部の戸建て住宅などについて、広い土地を確保する事が難しくなっていることから、戸建て住宅においても騒音問題を抱えるケースが増えています。特に、楽器の演奏やホームシアターなど、大きな音を生じさせる場合には、近隣に配慮するためにも防音室を用意するなどの対策が必要不可欠と言われるようになっています。
ただ、防音室については、一般の方にとってはあまり馴染みがないという理由で、さまざまな疑問が先立ってしまいます。そこでこの記事では、一戸建て住宅と防音室の関係性について解説します。
防音室の種類について!戸建てに向いているのはどっち?
一口に防音室と言っても、実現する方法は大きく分けて2つあります。一つは、ユニットタイプや組み立て式などと呼ばれるタイプで、もう一つがフリータイプや自由設計タイプなどと呼ばれるものです。ここでは、自宅に防音室を作りたいと考えている方に向け、防音室の種類と一戸建て住宅に向いているのはどちらなのかについてご紹介します。
防音室の種類
防音室は、大きく分けると「ユニットタイプ」と「フリータイプ」に分けることができます。以下でそれぞれの特徴についてご紹介します。
- ・ユニットタイプの防音室
ユニットタイプや組み立て式と呼ばれる防音室は、楽器メーカーなどが販売している既製品の防音室を購入し、室内で組み立てるだけで防音環境が構築できるタイプです。大掛かりな工事が必要ないため、低コストで短工期であるという点が大きなメリットになります。ただ、防音室内の音響や空調、換気などの調整が難しいため、長時間の連続使用には向かないという弱点があります。 - ・フリータイプの防音室
フリータイプや自由設計タイプと呼ばれる防音室は、専門業者に用途に合わせた防音室を一から設計、構築してもらうという方法になります。設置環境や、防音室内で発生させる音の大きさに合わせて、最適な性能の防音室を構築することができます。ただ、一から部屋を構築していかなければならない点から、大掛かりな工事が必要で、コストや工期がかかります。
防音室を実現する方法について、主に上記の2つのパターンがあります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、防音室を作る目的などに合わせて最適な手段を選ぶ必要があります。
戸建てに防音室を用意するならどっちがおすすめ?
上述のように、自宅に防音室を設置したいと考えた時には、上記の二つの方法が存在します。それでは、一戸建て住宅に防音室を設置したいと考えた時には、どちらの方法で実現するのが良いのでしょうか?
この点については、防音性能や防音室を利用する際の快適性のことなどを考えると、専門業者に工事を依頼して防音室を作る、フリータイプがおすすめです。この場合、部屋そのものを防音室に作り替えることになるため、余裕のある面積が確保できるうえに、ユニットタイプの防音室よりも性能面が高くなるからです。特に、防音室内の音響環境や快適性の面で考えると、フリータイプの方が圧倒的に高くなるため、楽器の演奏やホームシアターとしての利用など、長時間、防音室内に滞在することを想定している方は、フリータイプが望ましいでしょう。
ユニットタイプは、賃貸住宅に防音室を設置したいなど、将来的な引っ越しを想定しているケースや、分譲マンションに住んでいて、管理規約で大掛かりな工事が認められないというケースにおすすめです。
新築戸建て住宅に防音室を設置するメリットとデメリットとは?
近年では、新築一戸建て住宅の建築時に、防音室を用意しておきたいと考えている方が増えていると言われています。これは、楽器の演奏だけでなく、テレワークへの対応など、新たな暮らし方のことを考えた時は、防音室があった方が良いと考える人が増えているからとされています。
それでは、戸建て住宅の新築時に防音室を設置するメリットとデメリットとはどのようなことが考えられるのでしょうか?
防音室を作るメリット
それでは新築時に防音室を用意することで得られるメリットについて解説します。家を建てる段階で防音室を設計する場合、以下のようなメリットが得られます。
- ・同居する家族に対する防音性能がより高くなる
- ・コストが抑えられる
- ・時間や手間が少なくなる
新築時に防音室を作る場合、上記のようにさまざまなメリットが得られると考えられます。まず、新築時に防音室を作る場合、家全体の間取りを考慮しながら防音室を設計することができるという点が大きなメリットになります。防音室は、利用目的や用途によって部屋の大きさや求められる性能が変わるのですが、新築時であれば最適な広さの防音室を用意することができます。また、防音室の配置を工夫することで、同じ建物内に住むご家族への音への影響をより小さくすることも可能でしょう。リフォームで防音室を作る場合、空き部屋を防音室に変更する方法しかないため、広さや場所については、どうしても限界が出てしまうのです。
また、コストの面についても、同時施工を行うことで内部養生などのコストを削減することができるほか、既存の壁の解体などが不要になる分、費用を抑えられるのです。時間や手間の問題についても、新築時に防音室を作れば、家の完成と同時にそこでの生活がスタートできます。しかし、リフォームの場合、そこから業者を探し、内部を養生して工事を実施してもらうなど、余計な手間や時間がかかってしまうことになるのです。
防音室を作るデメリット
新築時に防音室を作るという方法については、上記のようにさまざまなメリットがあります。しかしその反面、業者選びが難しいという面がデメリットになるケースがあります。
これは、保証などの観点から、ハウスメーカーや工務店側が他社の同時施工を認めていないというケースがあるためです。そのため、防音室工事と新築工事の同時施工を考えているという場合、対応できるハウスメーカーが限られてしまい、理想の機能を持った家づくりが進められなくなる可能性もあります。ハウスメーカー指定の防音工事業者を利用すると、今度は、防音室の性能に不満が残る、中間マージンの分、防音工事の費用が高くなるなどのデメリットが生じる恐れがあります。
一戸建てに作る防音室にありがちな疑問
上記以外にも一戸建て住宅に防音室を作る場合には、さまざまな疑問が頭をよぎることがあると思います。そこでここでは、多くの方が疑問に感じやすいポイントについて解説します。
防音室の広さについて
防音室を作る際には、「どれぐらいの広さを確保すれば良いのだろう?」という点に疑問を持つ方が多いはずです。この点については、防音室の利用用途に合わせて必要な広さを確保する必要があります。例えば、フルートやサックス、ギターやヴァイオリンなど、管楽器や弦楽器の練習用に防音室を作る場合とピアノやドラムの演奏用の防音室では、求められる広さが大きく変わります。管楽器や弦楽器など、立って演奏が可能な防音室の場合、1畳前後でも練習ができるのですが、ピアノの場合、設置スペースのことを考えると最低でも3畳程度はあった方が良いでしょう。また、防音室内に楽譜などをしまう本棚などを設置したいという場合には、それらを置けるだけのスペースが求められます。
つまり、防音室の広さを判断する時には、中でどのようなことを行うのか、またどんな使い方をしたいのかを明確にして、それをもとに防音工事業者に広さの提案をしてもらうと良いです。
ちなみに、リフォームで防音室を実現する場合、防音工事を施す部屋については、もともとの広さをそのまま維持することはできず、少し狭くなるという点に注意が必要です。これは、本格的な防音室の場合、部屋の中にもう一つの部屋を作るといった感じに、二重構造が実現されるため、どうしても狭くなるのです。例えば、もともと6畳程度の部屋を高性能なドラム用防音室に作り替える場合、仕上がりに関しては4畳程度にまで狭くなることがあります。また、天井高に関しても、少し低くなるので、その点も注意が必要です。
1階と2階なら、どっちに防音室を作るべきなの?
2階建て以上の戸建て住宅の場合、防音室を設置する場所に迷う方も多いです。昨今の住宅事情を考えてみると、1階部分はビルトインガレージとするため、リビングや寝室などのメインとなる居住空間を2階以上に集中させるというケースも多くなっています。そのため、防音室の使いやすさのことだけを考えると、2階部分などに設置したほうが使いやすくなると考えるわけです。
しかし、この点について、2階建て以上の一戸建て住宅に防音室を設置する場合、条件や求める性能などによっては1階部分にしか設置できないというケースがあるのです。これは、防音室の資材や、室内に配置する機材などの重量が関係しています。防音室は、一般的な居室と比較すると、かなり重たい部屋となってしまうことから、2階に設置した場合には、その重さに耐えられない可能性があるのです。
もちろん、もともとの家の造りや防音室の利用目的などによっては問題なく2階に設置することができる場合もありますが、2階以上に防音室を作りたいと考えている方は、事前にどのような用途で防音室が必要なのか、またどんな機材を設置する予定なのかを明確にしたうえで、業者に伝えるようにしましょう。場合によっては、防音室を作るために建物の補強工事が必要と判断されるケースもあるのです。この場合、防音工事以外の部分に多額のコストがかかります。
まとめ
今回は、一戸建て住宅に防音室が欲しいと考えている方に向け、おさえておきたいポイントについていくつかご紹介しました。
近年では、戸建て住宅でも、家と家の距離が近くなっていることもあり、集合住宅と同じように騒音問題を抱えてしまうケースが増えています。一昔前までであれば、戸建て住宅なら楽器を演奏しても近隣住民に迷惑をかける可能性は少ないと考えられていたのですが、現在ではそのようなことはなく、生活音などのちょっとした音が原因となって騒音トラブルを抱えてしまうことも増えているのです。
記事内では、戸建てに防音室を作る場合におさえておきたいポイントをご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。