DIYによる防音対策にありがちな失敗事例をご紹介!

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テレワークなどの新たな働き方が広く普及し始めた昨今では、自宅の防音性能に注目する方が多くなっています。例えば、新築建売住宅を販売するハウスメーカーの中に、防音室付きの建売住宅を販売する企業が登場していますし、注文住宅でも人気のオプションとして防音室の設置を用意している建設会社が多くなっているとされます。
ただ、既存住宅での防音対策については、どうすれば音の問題を解消することができるのか悩んでしまう人も多いです。特に、抱えている音の悩みが、人の話し声やテレビの音声、ペットの鳴き声など、生活音レベルの騒音の場合、高い費用をかけて防音室まで作るのは躊躇してしまう人が多いはずです。
このような場合、ホームセンターやネット通販で防音対策のためのアイテムを購入し、自分で防音対策に乗り出すというケースも多くなっています。最近では、壁に貼り付けるだけで「防音効果が得られる!」と紹介されているような防音グッズが普通に販売されるようになっていますし、防音に関する知識がほとんどのない方の場合、その宣伝文句をそのまま信じて対策を施してみるというケースが多くなっているのです。
ただ、防音対策というのは、皆さんが考えている以上に複雑で「壁に○○を貼るだけで静かな環境が作れる」というほど単純なものではありません。DIYによる防音対策は、専門業者に依頼するのと比較すると、圧倒的にコストを抑えられるのは確かですが、お金がかかっていることは間違いありません。少しのお金でも、期待した防音効果が一切得られないのであれば、損した気分になってしまいますよね。
そこでこの記事では、昨今の防音工事の問い合わせでよく耳にする、DIYによる防音対策の失敗事例をご紹介します。
音に悩んだ時、やってしまいがちな防音対策の失敗事例
それでは、DIYによる防音対策でありがちな失敗事例をご紹介します。ここで言う失敗は、お金をかけて対策を施したのに、期待する効果が全く得られなかった…というものです。専門業者に防音工事を依頼すると、最低でも数十万円単位の費用がかかってしまうため、自分で材料を用意して対策を施してみようと考える人は多いです。
しかし、DIYによる防音対策でも、材料などを用意するのに数万円単位のお金がかかるため、対策の効果が全く出ない…なんてことになると、無駄な出費となるのです。当然、音の悩みを解消できなかった時には、その後、業者に依頼して対策を施してもらうなんてケースも多いため、それなら最初から業者に依頼すれば良かった…となりますよね。
ここでは、最近よく聞くDIYによる防音の失敗事例について解説します。
とりあえず吸音材を貼ってみる
飼っているペットの鳴き声で隣人に迷惑をかけないようにしたい、お隣さんの家から聞こえるTVの音が気になる…なんてケースでは、とりあえず壁に吸音材を貼ってみるという方法を採用する方が多いです。
吸音材は、文字通り「音を吸収する」防音材であるため、自分の部屋の中で発生した音や外から侵入する音を吸収し、静かな環境にしてくれると考えるのだと思います。実際に、プロの防音工事業者が対策を施す場合でも、吸音材は使用しますし、対策としては間違っていないと考えますよね。
ただ、吸音材は、それ単体で音漏れや音の侵入を防ぐことはできないアイテムだということを覚えておきましょう。吸音材にもさまざまなタイプがあるのですが、基本的に音のエネルギーを熱エネルギーに変換することで、音を軽減するという材料となります。ただ、このアイテムは、音の反響を軽減するという効果は持っているのですが、向かってくる音を吸音材で跳ね返すといった効果は持っておらず、軽減しきれなかった音は反対側に抜けていくという仕組みになっています。つまり、部屋の中で発生した音は、完全に外に漏れなくなるなんてことはないのです。
防音工事業者が対策を行う場合、吸音材単体で対策を施すようなことはありません。防音は「吸音」と「遮音」を組み合わせることで希望する大きさまで音を小さくしていくというのが基本的な方法なので、吸音材と組み合わせる形で遮音材も使わなければならないのです。
したがって、DIYによる防音対策で吸音材を施工する場合、抜けていく音の対策として音を遮断する効果を持つ遮音シートを組み合わせなければならないと考えてください。これにより、音を外に通さないようにすることができるようになるため、ある程度の防音効果は期待できるでしょう。最近では、吸音材と遮音シートを組み合わせた防音ボードなどと呼ばれる製品が販売されているので、DIYで対策を施す場合、多少値が張るにしても、そのタイプを購入しましょう。
軽い素材で対策を施す
DIYによる防音対策は、使用する防音材の素材選びが意外に重要です。上述した吸音材にもさまざまな素材の製品があるのですが、特に扱いやすそうに見える製品としてはスポンジ状の吸音材なのではないでしょうか?スポンジ素材の表面に、たくさんの凹凸が作られている吸音材なのですが、素材がスポンジであるという特性上、非常に軽量で扱いやすいです。そのため、一般の方が対策を施すときには、その扱いやすさをメリットと考え、スポンジ状の吸音材を使っているのをよく見かけるのです。
ただ、このスポンジが素材として利用されている吸音材について、部屋の中の音響を調整するため「反響音を軽減する」という目的で使用するのなら良いのですが、音漏れを防ぐ、外からの音の侵入を防ぐという目的の場合、ほとんど効果をなさないと考えなければならないです。
というのも、防音効果は、「密度」と「重量」と「厚み」が非常に重要なポイントで、密度が高く重量がある素材ほどその効果が高くなるのです。つまり、軽量であることが特徴のスポンジ素材は、凹凸部分で反響を抑えることはできるものの、素材を通り抜ける音を軽減する効果はほとんどないと考えなければいけないのです。
したがって、部屋の中の音が外に漏れないようにする、また外からの音が侵入しないようにするという目的で対策を施す際は、ロックウールボードなど、高密度の製品を採用するようにしましょう。
特定の場所のみに対策を施す
この失敗はとても多いです。何らかの音の問題を抱えた時には、「音漏れ(or音の侵入)を防ぎたい方向」にだけ対策を施す人がいるのですが、こういった対策の施し方では思うような効果を得ることはできません。
たとえば、右隣にだけ人が住んでいるという場合、ペットの鳴き声で迷惑をかけないようにしたいと考えると、隣人が住む部屋側の壁だけに防音材を張り付けていくといった対策をよく見かけます。しかし、この方法では、お隣さんへの音漏れを防ぐことなどできないのです。
というのも、部屋の中で発生する音については、特定の方向にのみ向かっていくわけではなく、四方八方に向かっていきますよね。つまり、一方向の壁だけ防音性を高めたとしても、その他の方向から音が伝わってしまうことになるのです。もちろん、外から侵入する騒音に悩んでいるという場合の対策では、音の発生源を特定して対策を施すことは大切なのですが、部分的に対策を施しただけの場合、その他の場所から音が侵入して、根本的な悩みの解消にはつながらない可能性が高いと考えてください。
DIYで防音対策を施す際は、音がどこから漏れているか、音がどこから聞こえているかをある程度特定して、優先的に対策することは重要です。しかし、それだけでは完全な対策にはなり得ないので、様子を見ながら他の箇所も合わせて対策を施す必要性があるという意識も持っておきましょう。
まとめ
今回は、DIYによる防音対策について、ありがちな失敗をご紹介しました。昨今では、ホームセンターやインターネット通販を利用することで、手軽に防音材を購入できるようになっています。
そのため、何らかの音の悩みを抱えた時には、専門業者に相談する前に、まず自分で対策を施してみようと考える人が多いのです。専門業者に防音工事を依頼する場合、数十万円単位のコストがかかってしまうこともあり、少しでも費用負担を軽減したいと考えるのだと思います。しかし、DIYによる作業でコストを削減できたとしても、思うような効果が得られなかった場合、意味がありませんよね。DIYによる作業でも、材料を集めるためにコストがかかっているわけですし、お金を損しないというわけではないのです。さらに、防音対策に失敗した場合、その後、業者に相談して対策を施してもらうことになるので、余計にコストがかかってしまう結果になるかもしれないのです。
防音対策は、皆さんが考えているよりも簡単なものではありませんし、正しい方法がいまいち分からない…なんて方は、DIYではなく最初から専門業者に相談するのがおすすめです。