最強の断熱材といわれる『セルロースファイバー』!防音のことも考えるとこれがオススメ?
今回は、新築住宅を建てる時に気にしておきたいポイントについてご紹介していきたいと思います。
皆さんは、憧れの戸建て住宅を建てる時には、何に一番こだわっているでしょうか?この答えは、間取りを、外観デザインが、住宅設備を、価格など、人によってさまざまだと思うのですが、意外と見落とされがちなポイントで、ぜひ注意したいのが『家の断熱』なのです。
断熱とは、外壁や屋根、窓などから熱の侵入や流出を防ぐことを言います。もう少し分かりやすく言えば、「冬は暖かさを逃がさず、夏は暑さを入れないようにする」ための技術です。これについて、一般の方が見落としている事実がありますのでご紹介しておきますが、断熱性能が優れた家は、外部環境に関係なく、冷暖房の力をほとんど借りなくても、快適な住空間をキープしてくれるというメリットがあります。
さらに、建物の断熱性能を高める断熱材は、どれを選択するのかによって、その家の防音性能にまで影響をあたえるものなのです。そこでこの記事では、近年最強の断熱材などと紹介されることがある『セルロースファイバー』の特徴や、この断熱材の防音性について簡単にご紹介します。
断熱材の種類について
それではまず、快適な住宅を作るために利用される断熱材の種類について簡単にご紹介していきましょう。皆さんはあまりイメージすることはないと思いますが、一口に『断熱材』といっても、さまざまな種類の製品があるのです。以下に代表的な断熱材をあげてみましょう。
- セルロースファイバー
- グラスウール
- ロックウール
- 現場発泡系ウレタンフォーム
- 羊毛断熱材
- フェノールフォーム
- 押出法ポリスチレンフォーム(XPS)
- 発泡スチロール(ビーズ法ポリスチレンフォーム EPS)
- 硬質ウレタンフォーム(板状)
思いつくものをいくつか挙げてみただけでも、これだけの種類が存在しているのです。当然、それぞれの断熱材には、メリット・デメリットが存在していますが、現在多くの建築分野の専門家が最強の断熱材は『セルロースファイバー』と言っているのです。実際に、アメリカでは、セルロースファイバーが最も利用されていると言われています。
『セルロースファイバー』が最強と言われる理由は?
それでは、「なぜセルロースファイバーが最強なのか?」についても簡単にご紹介していきましょう。セルロースファイバーは、天然繊維(パルプ)で出来た断熱材で、新聞紙などをリサイクルして作られています。そのため、住む人にとって快適な住空間をつくってくれるだけでなく、地球にも優しいエコな断熱材として諸外国では非常に採用率が高くなっているのです。
このセルロースファイバーは、高い断熱性能を持っているだけでなく、以下のような特徴を持っていることから、多くの専門家が「最強の断熱材!」と言っているようです。
- 高い断熱性で「冬は暖かく、夏は涼しい」住環境を実現してくれる
- 地球にも優しいエコロジー資源である
- 湿気を吸ってくれるので、快適な湿度を保ってくれる
- 結露やカビを予防し、湿気により家が腐るのを防止する
- シロアリやゴキブリなどの害虫を予防する
- 防火性が高く、住宅火災に強い
- 他の断熱材に比べ、高い防音性も実現できる
このように、家の断熱材としてセルロースファイバーを採用するだけで、高い断熱効果以外にもさまざまな効果を得ることができるのです。
セルロースファイバーの防音性のヒミツ
それでは、非常に高い断熱性を持っていると言われるセルロースファイバーについて、この断熱材が防音性能まで高くなっている理由についても簡単にご紹介しておきます。
この部分に関しては、まず音の発生のメカニズムをおさえておくと、とても分かりやすいです。そもそも皆さんの耳に聞こえる音というものは、物体が振動することによって起こる『波』が、空気や物質などを伝わって聞こえています。つまり、この音を「防ぐ」「小さくする」ということを考えた場合、『振動をいかに抑えるか?』ということがポイントになるわけです。
この音のメカニズムを抑えたうえで、セルロースファイバーが持つ防音のヒミツを見ていきましょう。
素材に防音性能のヒミツがある
セルロースファイバーの防音性能の高さは、素材的な特徴に秘密があります。上述したように、新聞紙をリサイクルするなど、天然繊維(パルプ)で出来た断熱材がセルロースファイバーです。そして、セルロースファイバーを構成する繊維は、さまざまな太さの繊維となっており、それらが複雑に絡み合うことで小さな気泡がたくさんできるのです。
実は、この気泡(穴)にぶつかるたびに音は小さくなっていきます。また、音の振動を繊維が吸収しますので、外部に音漏れする量がどんどん少なくなるわけです。わかりやすく言えば、布団の中で大きな声を出しても聞こえにくくなる現象と似ています。セルロースファイバーの防音性の高さは、こういった素材的な特徴が大きく関わっています。
施工方法にも秘密がある
セルロースファイバーの防音性能の高さは、施工方法も大きく関わっています。例えば、防音工事などでもよく利用されるグラスウールなどは、壁内の隙間に製品を敷き詰めていくという施工方法になります。この方法だと、壁内に配管などがあれば、どうしても小さな隙間ができてしまい、そこが防音の弱点になってしまう訳です。
しかし、セルロースファイバーに関しては、壁の中に『吹き込む(吹き付ける)』という施工方法になっており、非常に高い密度で壁内に断熱材が充填されるのです。この施工方法の場合、中に配管などの障害物があったとしても、隙間を作ることなく断熱欠損や防音の弱点を抑えることができます。つまり、セルロースファイバーの場合は、家を密封状態のようにすることができるため、高い防音性能を発揮することができるわけです。
ちなみに、セルロースファイバーの防音性はアメリカなどで非常に高い評価を受けており、空港周辺や基地周辺など、騒音問題が発生しやすい地域の住宅では、ほとんどの場合、セルロースファイバーが採用されると言われています。
セルロースファイバーのデメリット
ここまでの説明で、家の断熱材としていかにセルロースファイバーが優れているのか分かっていただけたと思います。ただし、セルロースファイバーにもいくつかのデメリットは存在しますので、その点もキチンとおさえておきましょう。
一般的に言われているセルロースファイバーのデメリットは、以下のようなポイントです。
- グラスウールなどと比較するとコストが割高。ただし、セルロースファイバーの付加価値を考えるとそこまで割高と考えなくても良いとは思います。
- 施工に専用機械と専門職人が必要になるため、どこでも施工できるわけではない。
- パンパンまで充填するので、ボードが膨らんでしまう場合がある。室内側に緩和空間を設け、ボードのふくらみを防止する処置がとられます。
- 長期間で見ると、沈下して上部に隙間ができてしまう場合がある。
セルロースファイバーは、上記のようなデメリットも指摘されていますので、高い技術を持った施工業者かしっかりと見極める必要があります。
まとめ
今回は、近年「最強の断熱材」などと呼ばれているセルロースファイバーについてご紹介してきました。この記事でもご紹介したように、快適な住空間を求めるのであれば、家の断熱性能が非常に重要です。断熱性の高い家は、外的要因の影響を受けにくくなりますので、冷暖房設備に頼らなくても「冬は暖かく、夏は涼しい家」を実現することができるのです。
この断熱性能については、素材的特徴と特有の施工方法からセルロースファイバーが非常に優れていると言われます。さらに、この断熱材は、防音性能も非常に優れるという特徴があるため、「静かで快適な住空間をつくりたい」と考えている方には非常にオススメです。
これから、新築戸建ての建築を検討している方は、間取りや外観デザインだけにこだわるのではなく、家本来の機能性のことも考えて使用建材を決めるのも良いのではないでしょうか?