新築戸建てに防音室を作るには?注文住宅と建売住宅での違いについて解説します!

楽器の演奏を生業としている方やそこまででなくてもドラムやギター、ピアノなどの演奏を趣味としている方は、新築一戸建てを手に入れる場合「近隣や家族に迷惑を掛けずに楽器の演奏ができる防音室を備えておきたい!」と考えるものでしょう。もちろん、実際にそこで生活を始めてみて、後から必要であれば防音工事を行うという2段階の対策でも構わないかもしれませんが、現在の新築事情を考えてみると、自宅で楽器の演奏を想定している場合、最初から本格的な防音室を用意しておく方が、コスト的なメリットは確実に大きくなるはずです。

そこでこの記事では、新築一戸建てに防音室を作る場合を考えて、注文住宅と建売住宅に防音室を備えつける時の違いについて解説します。

新築一戸建てに防音室を作る場合の疑問

憧れの新築戸建ての購入を計画している方でも、以下の二つのパターンが考えられます。

  • ・自分の理想を叶えるため注文住宅で土地から計画している方
  • ・自分の理想に近い建売の新築戸建てを探している方

ちなみに、中古住宅の購入を検討している場合、防音室の設置については、建売住宅の場合を参考にしておけば問題ありません。それでは、このような新築戸建ての購入を検討している方で、自宅に本格的な防音室を望んでいる場合、どのタイミングで防音工事のプランニングを進めるべきなのでしょうか?また、注文住宅と建売住宅では、防音の目線で考えた場合、どちらにメリットがあるのでしょうか?

以下で、新築の注文住宅と建売住宅について、それぞれに防音室を設ける場合の手順などをご紹介します。

注文住宅に防音室を作る場合

まずは注文住宅に防音室を作る場合です。注文住宅は、自分の理想の家を一から設計して建ててもらう方法ですので、防音室に関しても、理想的な性能を実現することができます。というのも、家の設計段階から防音工事業者に相談することができますので、以下のような問題を解消して、スムーズに施工が可能になります。

  • ・建築確認申請時の仕様(防音室を居室で申請するか納戸で申請するか)を事前に決定
  • ・工事仕様、施工区分などが決定するので、工期がスムーズに決まる

家の設計段階から、防音工事の専門業者に参加してもらえるので、上記のような問題についても、ハウスメーカーや工務店と事前協議の上、防音室部分のプランニングをしっかりと行ってもらうことが可能です。

防音室は、使用する目的や用途などによって、部屋の寸法が変わってしまいます。つまり、家の設計時点で、防音室の仕様が決まっていれば、それを前提として他の部屋の広さや間取り、天井高を決める事が可能なのです。そして、建物本体工事についても、防音室の工事を同時施工で進める事ができるようになるので、リフォームで防音工事を行う場合と比較して、解体工事費や内部養生費などを削減することが可能です。他にも、建物の竣工引き渡しの段階で防音工事が完了していることから、新居で生活をスタートした時点で防音室の利用が可能な点もメリットです。要は、防音工事のための時間的ロスが注文住宅の場合、少なくなるというメリットがあるのです。

ただ、新築戸建て住宅を購入する場合、ハウスメーカーや工務店が長期の保証をつけてくれるのですが、この保証の関係から、他社である防音工事業者の同時施工を認めない場合があります。したがって、コスト削減のために、建物本体工事と防音工事の同時施工を考えるのであれば、注文住宅の施工会社選びの段階で「防音工事の同時施工を認めてくれるか?」の確認をしておきましょう。

ちなみに、同時施工が認められない場合でも、住宅の設計段階からハウスメーカーと防音工事業者が事前打ち合わせができるので、効率的に高性能な防音室を実現することは可能です。例えば、防音室は、通常の内装工事と比較すると、多くの建築資材を使用することになるため、部屋の重量が大きくなってしまいます。つまり、新築に防音室を作る場合には、防音室による耐荷重を考慮しておかなければいけないのです。これが、注文住宅の場合、家の設計時点で「通常よりも頑丈な建物にしなければならない」ということが分かりますので、梁を増やして荷重を分散させるなどといった対策を最初から行うことが可能です。これが、リフォームで防音室を作る場合、「防音工事のために耐震補強が必要!」なんてことになるケースがあるのです。
要は、注文住宅の場合、建物本体工事の際に梁補強が可能なため、リフォームと比較すると防音工事にかかる全体費用を大きく削減できるというメリットが得られるわけです。

建売住宅に防音室を作る場合

次は、建売住宅の購入を検討している方が、楽器演奏などを目的として防音室を作りたいと考えた時の注意点です。この場合、同じ「新築戸建て住宅の購入」ではあるのですが、防音室を実現するという点で考えると、注文住宅とは明確に異なる点が存在します。

というのも、建売住宅の場合、契約形態などによって多少の違いはありますが、ほとんどの場合は、住宅そのものの本体工事は全て終わっている状態の家を購入することになります。建売の購入は、既に建てられた住宅を見比べながら、最も自分の理想に近いものを購入する方法で、実物を見ながら検討できるのが大きなメリットになります。また、購入後は、細かな手直しだけで住み始めることができる点もメリットになります。

したがって、こういった建売住宅に防音室を作る場合、本体工事が完了した住宅を施主に引き渡し、その後、施主が防音工事業者と打ち合わせを行って防音室の施工に入るという流れになるのです。要は、新築したばかりの家に、リフォーム工事を行って防音室を作るという方法です。この場合のデメリットは、出来上がったばかりの部屋なのに、防音室に作り替えるため、部屋を解体することからスタートするという点です。要は、せっかく作った部屋なのに、使いもしないうちから解体することになるため、無駄なコストが発生しているとも言えるのです。このほかにも、既存の居室をリフォームして防音室を作らなければならないので、一から防音室の設計が可能な注文住宅と比較すると、どうしても自由度が低くなってしまうという点もデメリットです。

なお、上述した注文住宅でも、ハウスメーカーが防音工事業者との同時施工を不可としている場合、建売と同じくリフォーム工事として防音室を作ることになるので、無駄が発生します。

新築戸建てに防音室を作りたい人から良くある質問

ここまでは、新築戸建てに防音室を作りたいと思った時、注文住宅と建売住宅で防音室を作る流れとそれぞれの注意点をご紹介してきました。防音室は、新築時に作っておけば、さまざまな部分のコストを削減できるという話を聞いたことがある人も多いと思うのですが、それはあくまでも注文住宅を建てる時と考えておきましょう。建売住宅というのは、既に本体工事が完了した状態で物件の引き渡しとなるので、新築とは言えリフォーム工事と何ら変わりはないのです。

そして、新築で防音室を実現したいというお客様は、このほかにもさまざまな疑問が頭をよぎるのではないでしょうか?ここでは、実際にお客様から良くいただく質問とその答えをいくつかご紹介しておきます。

2階以上に防音室は作れますか?

近年、大阪市内などの都市部で建てられる戸建住宅は、狭小地をうまく利用して床面積を確保する住宅が増えています。要は、一昔前までの「庭付き一戸建て」など、ほとんど見かけることはなく、3階建てで1階に駐車場を確保するといった同じような形状の家が多くなっています。

こういったことから、スペース的な問題により、「2階以上の部屋を防音室にすることはできますか?」といった質問を受けるケースが増えています。答えから言ってしまいますが、ドラムの演奏などを想定した、非常に高性能な防音室の施工となると、住宅の2階以上に施工することは非常に難しいと考えておくべきです。

というのも、生ドラムなど想定した防音室を作る場合、建物にかかる荷重は人や楽器などを含めると1.5t以上になります。木造戸建て住宅の場合、2階以上でかけられる耐荷重には限りがありますので、こういった本格的な防音室の施工が非常に難しくなるわけです。
なお、電子ドラムなど、ある程度の性能で構わない場合、建物の構造によっては住宅の2階以上でも施工可能です。

防音室に窓は設置できますか?

窓は、外壁などと比較すると、非常に薄い素材となりますし、構造上どうしても小さな隙間が生じてしまうことから、防音室の大きな弱点となってしまいます。ただ、楽器の練習などである程度長時間利用することを想定した場合、自然光が差し込む窓は設置しておきたいと考える方が多いのではないでしょうか?実際に、弊社に相談してくるお客様でも、多くの方は防音室に窓は残したいとおっしゃっています。

結論から言うと、防音室に窓を残した状態でも、しっかりと必要な性能を実現することは可能です。

というのも、現在では、住宅に採用される窓などの建材についても、どんどん高性能化しており、自然光を取り込みながらしっかりと遮音性も確保できるといった窓を実現することはそこまで難しくないのです。ただ、遮音性が高い窓を実現しようと思えば、2重サッシや3重サッシにする、真空ガラスなど防音性能が高い窓ガラスを採用するなど、一般的な窓や窓を潰して外壁にすることと比較すると、かなりコストがかかってしまうと考えておきましょう。窓部分の防音対策については、防音室の用途や周辺環境などのことも総合的に考えて、最もコストパフォーマンスが高くなるように設計するのがオススメです。

まとめ

今回は、新築一戸建ての購入時に防音室の導入を考えた時のメリットについて解説してきました。新築戸建ての購入でも、注文住宅の購入であれば、自分が理想とする住宅を一から設計し、その通り建ててもらうことが可能です。つまり、自分の家に防音室が欲しいと考えているのであれば、防音室を配置したうえで、その他の間取りなどを設計してもらうことができるので、同居する家族に対しても音で迷惑を掛けないような住宅を作る事が可能です。

ただ、新築でも建売住宅の場合は、本体工事が終わった住宅を引き渡してもらうことになるので、そこから初めて防音工事業者と打ち合わせすることになります。つまり、新築ですが、この場合はリフォーム工事で防音室を実現するのと何ら変わりがないのです。もともとの住宅の間取りや耐震性能などの関係から、自分の思い通りには防音室が作れない場合も少なくないので注意しておきましょう。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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