窓の防音対策なら、二重窓と窓シャッターどっちがオススメ?両者の違いを抑えておこう!
今回は、窓の防音対策を検討した場合、どのような方法で音を遮るのが最も効果的なのかについて考えてみたいと思います。
このサイト内の別の記事でも何度もご紹介していますが、一般住宅の防音対策を考えた場合、『窓』が他の部位と比較すれば、大きな弱点となってしまいます。というのも、窓は壁に穴をあけて取り付けられるものですし、さらに壁と比較すると非常に薄い素材となってしまいますので、通常の窓ガラスを採用していれば、音漏れや音の侵入の原因となってしまうのです。そのため、我々のような防音工事業者が楽器用防音室を作る際には、窓を潰して壁にしてしまうといった工事を行う場合も珍しくありません。
それでは、住宅の大きな弱点になってしまう窓について、この部分の防音性能を高めるためには、どのような対策が有効なのでしょうか?一般的には、既存窓の内側にもう一枚窓を設置する二重窓という方法が主流なのですが、近年では防犯性も同時に高められる窓シャッターの設置も注目されています。
この記事では、窓の防音対策を考えた時、二重窓と窓シャッターならどっちがおススメなのかについて考えていきます。
そもそもシャッターに防音効果なんてあるの?
近年では、新築戸建て住宅は当然として、賃貸アパートなどでも、低層階の物件は窓シャッターが取り付けられているケースが多くなっています。これは、窓シャッターがあれば、外からの視線を遮ることができますし、空き巣の防止など、非常に高い防犯効果が得られると考えられているからです。ただし、窓シャッターに関して、防犯性の高さは理解できるものの、防音対策のために取り付けると聞くと、「シャッターに防音効果なんてあるの?」と疑問に感じてしまう方が多いようです。
結論から言ってしまいますが、窓シャッターは、室内と屋外を物理的に遮断することができるアイテムですので、当然、音も遮断することが可能です。一説によると、窓シャッターを設置すると、約30dBの音が低減できると言われています。一般的に、人がうるさいと感じるレベルの騒音は70~80dB程度で、不快に感じない程度の静けさが50dB程度と言われています。つまり、家の外で、人が騒音と感じるレベルの音が存在していたとしても、窓シャッターを閉めておけば、室内は静かに過ごせる程度にまで音を軽減できるわけです。
もちろん、窓シャッターを閉めておけば、外からの音の侵入を防ぐ事が出来るだけでなく、室内で生じる音が外に漏れにくくなるという点も大きなメリットになります。近年の戸建て住宅は、家と家の距離が非常に近くなっていますので、ペットの鳴き声や子どもが騒ぐときの声、ちょっとした作業音などが外に漏れてしまい、騒音トラブルに発展してしまうということも珍しくありません。
したがって、こういった音の問題を解消するために、窓シャッターを導入する方が増えているのです。
窓シャッターの防音性能については、遮ることができる音エネルギーの大きさや周波数によって、T1~T4までの等級が決められています。それぞれの等級ごとの性能については、「T1=25dBの遮音性を持つ」「T2=30dBの遮音性を持つ」「T3=35dBの遮音性を持つ」「T4=40dBの遮音性を持つ」となります。窓シャッターを導入する時には、こういった製品の能力についてもしっかりと確認しておきましょう。
防音対策なら二重窓と窓シャッターどっちがオススメ?
一般的に、窓部分の防音対策となると、既存窓の内側にもう一枚窓を設置する二重窓にする工事が主流です。これは、建物の外装部分に大掛かりな工事などを必要とせず、室内側の簡易的なリフォームのみで高い防音効果が期待できるからでしょう。実際に、小さな窓を二重窓にする工事であれば、1箇所につき数時間で工事が完了するなど、高い防音効果が得られるわりに、手軽だという点で非常に人気の防音対策リフォームとなっています。
ここでは、二重窓と防音シャッターであればどっちが良いのかについて考えてみます。
窓シャッターと二重窓の違い
それではまず、窓の防音対策として、二重窓と窓シャッターという選択肢の何が異なるのかについて解説しておきましょう。同じ防音対策として行うにしても、二重窓と窓シャッターの導入では、さまざまな面に違いが存在します。例えば、設置する場所、素材、さらに導入による景観や室内環境の変化などが考えられるでしょう。これらの違いについてきちんと押さえておかなければ、思わぬデメリットで後悔してしまう可能性があります。
窓シャッターと二重窓の違いについて、まず一つ目のポイントは、設置場所が異なるということです。窓シャッターは、当然、窓の外側に設置することになるのですが、二重窓は、既存窓の内側にもう一枚窓を設置するという工事となります。ちなみに、どちらの方法にしても、既存の窓には基本的に影響を与えません、
二つ目の違いは、用途の違いです。冒頭でご紹介しているように、窓シャッターは、元々防犯目的で採用する方が多いです。シャッターそのものは、金属や木製の透け感のない素材で作られていますので、シャッターを閉めていると完全に目隠しになります。一方、二重窓は、窓の内側に窓ガラスを一枚追加するわけですので、目隠し効果などを得ることはできません。窓シャッターは、種類によってシャッターにスリットやルーパーを取り付け、目隠しと通風を両立することが可能です。ただ、二重窓の場合は、窓を開けなければ通風を得ることはできません。
注意しておきたいのは、シャッターの場合、閉めていると光も完全に遮ってしまいます。二重窓であれば、採光を確保したまま高い防音効果を期待できる点が大きなメリットになります。
防音効果の違いは?
二重窓と窓シャッターについては、全く異なる視点での防音対策ですから、当然、得られる結果も大きく違うと考えても良いでしょう。どちらも、それなりに高い防音効果が得られるという点は同じですが、その性能は大きく異なる場合があります。
窓シャッターによる防音効果は、上述しているように、導入するシャッターの性能によって大きく異なります。ただ、最も遮音性が高いT4のシャッターを導入した場合、最大で約40dBもの遮音が期待できます。ただ、注意が必要なのは、窓シャッターによって得られる防音効果は、シャッターを閉じている時に限りますので、昼間の騒音を防ぎたいなら、窓からの採光ができなくなると考えてください。
窓を二重窓にする方法については、新たに導入する窓ガラスを一般的な物を導入したとすれば、約15dBの遮音効果があると言われています。こう聞くと、二重窓の方が防音性が低いと感じますが、新たに設置する窓からスについて、防音性の高い真空ガラスなどを採用しておけば、さらに高い遮音性が得られます。また、二重窓による対策の場合、日の光なども取り込めますので、昼間に限定して防音性を高めたいのであれば、非常に便利な方法です。
手法ごとのメリット・デメリット
それでは最後に、窓部分の防音対策として、シャッターを導入する場合と、二重窓にする場合、それぞれのメリット・デメリットについても考えてみましょう。どちらの対策にしても、それなりの防音効果が得られる点は同じですが、日常生活上の使用感がかなり違うので、以下のポイントはしっかりと押さえておきましょう。
窓シャッターのメリット・デメリット
まずは、窓シャッターを設置することで防音対策を行う場合のメリットとデメリットをご紹介します。
まずメリット面ですが、窓シャッターによる対策は、非常に高い防犯性能が得られる点や、目隠し効果が高いので家族のプライバシーが守りやすくなるという点です。シャッターをしっかりと閉じていれば、外からの音の侵入を防ぐだけでなく、外部からの視線を完全に遮ることが可能で、ご家族のプライバシー空間を守ることができます。
加えて、窓シャッターを閉めていることで、空き巣被害にあう確率が低くなる点も大きなメリットになります。窓シャッターがある家に、空き巣に入ろうとした場合、シャッターを壊さなければ家の中に侵入することができません。シャッターを破壊するには、大きな音が生じますので、空き巣にとっては非常に犯行がしにくくなると言われています。また、家の中の様子が外から確認できないので、「住人がいるリスク」を考えて、空き巣に狙われにくくなるという効果もあると言われています。
上記のようなメリットがある一方で、窓シャッターにもいくつかのデメリットが存在すると言われています。例えば、窓シャッターを閉めてしまうと、日の光がとりこめなくなるので、昼間でも電気をつけておかなければならなくなります。最近では、採光できるシャッターも登場していますが、羽板の調整が面倒ですし、隙間が生じる分、防音性は低くなってしまいます。こういったことから、昼間の防音対策のため、窓シャッターを導入する場合、常に灯りが必要になることから光熱費が余計にかかってしまう点がデメリットです。
他にも、安価な手動シャッターを採用した場合、開閉の手間が生じる点をデメリットと感じる方は少なくないようです。実際に、せっかく窓シャッターを導入したのに、開閉の手間を嫌い、シャッターを全く使わなくなるというご家庭も多いです。
二重窓のメリット・デメリット
次は、二重窓によって高い防音性を実現する場合のメリットとデメリットについてです。
まず二重窓のメリットとして挙げられるのは、採光など、明るさ確保のための機能性をそのままに、高い防音効果が得られるという点です。上述しているように、シャッターの場合、閉じていれば日射を完全に遮ってしまうため、明るさを確保するには家の中のライトをつけなければいけません。しかし、二重窓は、既存窓の内側に窓ガラスを増やすだけですので、日の光を遮ることはないのです。
また、住宅の窓を二重窓にするという対策は、窓部分の断熱性が高くなるうえ、結露対策としても非常に有効だという点がメリットです。二重窓は、窓ガラスと窓ガラスの間に空気の層ができますので、その空気層で音を軽減するという仕組みです。そしてさらに、空気層があることで室内が外気の影響を受けにくくなるというメリットも得られるのです。実際に、二重窓にする対策については、国の断熱リフォーム補助金などを活用することも可能です。
上記のようなメリットがある一方、二重窓による対策は、窓としての利便性が下がってしまうというデメリットが存在します。要は、窓が二枚になるわけですので、換気のために窓を開けようと思えば、単純に今までの2倍の労力がかかるようになります。窓の開け閉めだけであれば大きな負担には感じませんが、窓のお掃除などになると、想像以上に面倒ですし、掃除しにくくなるので、意外に厄介なデメリットになってしまいます。
なお、二重窓は「防犯性を高めることはできない」と考えている方も多いのですが、新たに導入する部分の窓について、防犯ガラスを採用すれば、防犯性を高めることも可能です。
まとめ
今回は、窓の防音対策を行おうと思った場合の、二つの選択肢について解説してきました。窓は、きちんと閉めていれば、普通の窓でも音を遮ってくれます。ただ、壁などと比較すれば、非常に薄い素材ですので、そこまで高い遮音性を持っているわけではありません。
したがって、目の前に子供が集まる公園がある、大型車がよく通る幹線道路だ、線路が通っているなどといった条件の場合、窓部分の防音性の低さが弱点となり、音の問題に悩まされてしまうことがあるのです。他にも、近年では、集合住宅で暮らす方が増えていることや、戸建てでも家と家の距離が近くなっていることで、ちょっとした生活音が原因となる騒音トラブルが多くなっているのです。
こういった音の問題について、実は窓の防音性能の低さが原因となっている場合が非常に多いです。実際に、お客様から音の問題で相談があった際、現地調査をしてみると、窓の防音対策だけで問題を解消できるようなケースは非常に多いです。この記事では、二重窓と窓シャッターを中心にご紹介していますが、窓ガラスそのものを交換するなど、他にもいくつかの手法が存在します。
現在、ご近所さんの生活音で悩んでいるという方がいれば、お気軽に弊社までご相談ください。防音工事の匠では、無料で現地調査を行い、後方提案などを行っています!