コロナ禍で防音工事の依頼が増加している!?費用をかけてまで防音する人は何に悩んでいる場合が多いの?
皆さんは、自宅に防音工事を施すような方はどういった方だと思いますか?防音工事は、その他の住宅リフォーム工事と異なり、非常に専門性が高い工事と言われており、施工業者は単に工事の技術が必要なだけでなく、音漏れさせないための知識や防音室内での音響に関する知識など、幅広い専門知識が必要となれます。そのため、ピアノやドラムなどの楽器の演奏を目的とした防音室を自宅内に作ろうと思えば、数百万円以上の費用がかかってしまうものなのです。
こういった高額な工事になりがちという特徴から、「防音工事は、プロの演奏家や音楽教室を運営している人など、特殊な人が必要とするもの」というイメージを持っている方がほとんどだと思います。というのも、日常生活を進めていれば、誰でも無音の状態で生活を進めることなどできませんし、ご近所さんが出す音はある程度我慢しなければならないものだと考えている方が多く、防音工事までは必要としない人の方が圧倒的に多いと考えられているからです。
しかし、防音工事業界では、こういった「工事を必要とする人」が大きく変わってきていると言われており、自宅で楽器の演奏などをしないような人でも我々のような防音工事業者に、音の問題の相談をしてきているのです。そこでこの記事では、ここ数年、一気に必要とする方が急増していると言われている防音工事について、どのような悩みを抱えて、専門業者に依頼しているのか?という部分をご紹介していきます。
防音工事に踏み切る方の悩みとは?
それでは、ここ数年、楽器の演奏などが目的ではない防音工事が増えていると言われているなか、どのような悩みを抱えて、費用をかけてまで防音工事をすることを決断したのかについて解説していきましょう。一昔前までは、防音工事は非常に特殊な業界で、「必要とする人と必要としない人が完全に分かれる」と言った感じでした。それが最近では、さまざまな理由から、防音工事が必要だと考える方が増えているのです。
ここでは、コストをかけてまで防音工事を依頼しようと決断するような、代表的な悩みをいくつかご紹介しておきます。
①足音問題
マンション暮らしの方が増加している近年では、「庭付き一戸建て」が当たり前だった時代では考えられなかったような音の問題が生じています。その最たる問題が「足音がうるさい!」という騒音トラブルですね。
マンションやアパートなどの集合住宅は、左右の入居者とは壁一枚で生活空間を隔てられており、上下は天井と床で空間が遮られているだけです。つまり、各家庭の距離を考えてみると、数十cmしか離れておらず、さらに構造物で生活空間がつながってしまっているわけですね。そして、足音のような音は、建物の構造を振動して階下に伝わってしまうという特性があることから、集合住宅での騒音トラブルの元となっているのです。例えば、以下のようなトラブルが多いです。
- ・集合住宅でペットを飼っていて、ペットの足音や高いところから飛び降りた時の音が響く…
- ・小さな子供が室内を走り回る時の足音がうるさい…
集合住宅で生活する方が増えている現在、上記のようなトラブルがそこら中で起こっています。実際に、子供の足音による騒音が裁判沙汰にまで発展しており、「防音対策への配慮が足りない」として、損害賠償が認められたというケースまであるのです。
こういったことから、床や天井の防音対策を行い、音の問題を解消したいと考える方が増えています。
②ペット問題
都市部などでは、マンション暮らしの方が増えているのに加えて、戸建て住宅ごとの距離が非常に近くなっているということで、騒音問題を抱えてしまうことが増えています。特に現在では、室内で猫や犬を飼育する方が増加しているのですのが、各ご家庭ごとの距離が近くなっていることから、ペットの鳴き声や足音などが騒音トラブルを引き起こしているわけですね。
特に、昨年から続く新型コロナウイルス問題により、人々の在宅時間が長くなっているということは皆さんもご存知でしょう。そして、今までは、一人暮らしで「留守にすることが多いからペットを飼えなかった」という層が、在宅ワークになることでペットを飼い始めるということが増えているそうです。そして、ペットを飼う人の増加に伴って、騒音トラブルも急増しています。
ペットの問題に関しては、まずはペットのしつけをしっかりと行うということが大切です。それでも苦情が出る場合は、足音対策として床の防音や鳴き声が音漏れしないように、窓やドアの防音対策を進めるというケースが多いです。
③テレワーク対応
昨年から急激の増加しているのがテレワークに対応するための防音工事です。これは、マンションなどの集合住宅はもちろん、戸建て住宅でも一気に需要が増えています。
もともと日本国内の社会生活では、対面での仕事が重視されていたということもあり、テレワークなどがなかなか浸透してこなかったという歴史があります。コロナ問題により一気に浸透し始めたテレワークですが、もともと日本政府が推し進めている働き方改革で、企業にテレワークや在宅勤務と言った働き方を導入するようにという要請があったものの、全く取り入れられなかったという事実もあるのです。その為、従来の日本の住宅というのは、「家で仕事する」ということを全く想定せずに作られている場合が多く、コロナ禍で突然スタートしたテレワークにより、「仕事に集中できない…」という声が急激に増えてきたのです。
例えば、テレワーク専用部屋が無いような場合、リビングなどで仕事をすることになるのですが、仕事中に家事の音が気になってしまう…、周辺環境からの騒音で集中を乱されてしまう…と言ったことが非常に多いようです。さらに、web会議を行う場合は、騒音が入りますし、逆にweb会議の音が家族に迷惑をかけてしまうようなことも少なくないのです。
こういったこともあり、自宅を改装して簡易のテレワーク専用部屋を設けるという方や、外部からの騒音の侵入を防ぐために、窓や壁の防音工事を行うという方も多くなっています。さらに、賃貸物件オーナー様が、空室対策などとして、居室の防音性を高めるための工事を依頼してくるようなことも増えています。
まとめ
今回は、一昔前までは特殊工事とみなされていた防音工事について、ここ数年、楽器の演奏目的以外での防音工事が増えている理由についてご紹介してきました。
簡単に言うと、マンション暮らしの方が増えた、戸建ての距離が近くなったなどを原因として、各家庭ごとの距離が非常に近くなってきたことから、今までは問題とならなかったような生活音が騒音トラブルを引き起こしてしまうようになったのが、これほど防音工事が必要とされるようになった原因だと考えられます。さらに、新型コロナウイルス問題により、在宅時間が急激に伸びたことで、今まで知らなかった自宅周辺の騒音問題が目につき始めたのも大きな要因だと思います。
今後も、このような状況が一変して、生活音が気にならなくなるなんてことは考えられないと思いますし、できる部分から防音対策を進めていくと良いのではないでしょうか。