部分的な防音リフォームの解決法と工事にかかる費用について解説!
近年では、マンション暮らしの方が増えたことや、戸建て住宅ごとの距離が近くなってきたことから、日常生活の中で音の問題を抱える方が増加していると言われています。現在では、誰でもが騒音に悩まされてしまう危険がありますし、その逆に自分が騒音問題の原因になってしまう場合も考えられるのです。
実際に、この記事を読んでいただいている方の中には、外から侵入してくる電車や自動車の音、集合住宅であれば上下、両隣からの騒音に悩まされている…という方も多いのではないでしょうか?もちろん、音の問題は、ある程度「お互い様」の部分もありますので、基本的には我慢しようと考える方が多いと思います。しかし、音の問題が難しいところは、一度気になってしまうと、それ以降「音が耳から離れなくなってしまう…」なんて精神的なストレスにつながってしまうことがある点です。
特に、家の中というのは、誰もがリラックスしたい場所となりますので、周辺の音がストレスになってしまうと、本当に苦しい問題となってしまいます。
そこでこの記事では、音の問題が生じてしまった場合、どういった箇所にリフォームするのが効果的なのか、またそれにはいくらぐらいかかるのかについて解説します。
主な防音リフォーム箇所について
何らかの音に悩んだ場合、防音工事で騒音を和らげることが可能です。しかし、抱えている音の問題が何なのかによって「どういったリフォームが必要か?」が変わってきます。一般的に、防音リフォームを行う場合の対象箇所は以下のような場所になります。
- ・窓
- ・壁
- ・床
- ・天井
- ・部屋全体
>ここでは、それぞれの防音対象箇所について、もう少し詳しくご紹介しておきます。
窓の防音について
近年の防音工事業界では、窓を二重窓にするなどの防音リフォームの依頼が急増しています。実は、外から侵入してくる騒音は、窓の防音性の低さが原因になっている場合が非常に多いのです。したがって、外からの人の声、車の音が気になる…なんて場合、窓の防音リフォームを検討すると良いでしょう。
音というものは、空気の振動を伝わって部屋の中に入ってきます。つまり、どうしても隙間が生じてしまうことや壁よりも薄い素材の窓は、住宅防音の観点からは明確な弱点になってしまうのです。
壁の防音について
マンションなどの集合住宅で、隣家からの音に悩んでいる…という場合、壁の問題が考えられます。例えば、構造的に薄い壁になっていた場合、窓と同じように音を完全に遮る事ができず、生活音などが漏れて聞こえてしまうなんてことになるのです。
こういった問題は、建物の構造自体も関わっており、鉄筋コンクリート造よりも木造の方が音の問題を抱えやすくなります。木造は、どうしても隙間などが生じやすくなってしまうため、そういった箇所から音が漏れてしまうのです。
賃貸住宅などで、建物の防音性能を確認したいのであれば、まずは構造を確認しておきましょう。他には内見の際に、軽く壁を叩いてみて、音が軽く響くように感じられる場合は、音が通りやすい物件と考えられます。一方、何か詰まっているような感じで、重い音に感じる場合は、防音対策がしっかりとしていると考えられるでしょう。
床の防音について
床の防音は、どちらかというと、階下のご家庭に配慮するなど、音を出す側が行う対策という側面があります。
マンションなどの集合住宅では、お子様が室内を走り回る音や、ペットの足音などが階下に響いてしまい、近隣トラブルになってしまう…なんてことが増えています。実際に、子供の足音の騒音で、裁判にまで発展し損害賠償が認められたというケースもあるのです。小さなお子様がいるご家庭や、大型犬を室内で飼っている場合、床の防音性が重要と考えましょう。
天井の防音について
床とは逆に、天井の防音対策は、上の階から聞こえてくる生活騒音に悩まされている方に有効な防音対象箇所です。上階からの足音や、物を落とした時の音などの生活音に悩んでいる場合、天井の防音リフォームを検討するのが良いでしょう。
天井の防音性能は、壁などと同じく木造か鉄筋コンクリート造かなど、構造が大きく関わってきます。しかし、天井の防音対策の難しさはそれだけでなく、スラブ厚や工法なども関係してきます。一般の方ではなかなか判断できない部分でもありますので、音に悩んだ場合は、専門業者による防音対策を検討しましょう。
部屋全体の防音について
部屋全体を防音する…という場合は、楽器演奏やホームシアターを設置するなど、生活音とは比較にならない大きな音への対策となります。
例えば、お子様にピアノを習わせるため、時間を問わず楽器の練習がしたい、映画館のような迫力で映像を楽しみたいなどといった要望がある方は、必要な性能を備えた防音室を用意する必要があります。
防音対象箇所と費用について
それでは、それぞれの場所に防音リフォームを施す場合、どの程度の費用がかかってしまうのかも簡単にご紹介しておきましょう。ここでご紹介する費用は、あくまでも一般的な『費用相場』と考えておいてください。実際には、周辺環境や防音工事を施す建物の構造などにより、工事にかかる費用が上下します。
窓の防音リフォームの費用
窓の防音対策は、主に二つの方法が考えられます。それぞれの相場は以下のような感じです。
- 既存窓を防音性の高いガラスに交換する
一般的なフロートガラスは防音性能が低いです。ガラスの中には『防音合わせガラス』などと呼ばれるタイプがあり、こういったものに交換することで窓の防音性を高められます。一般的な費用相場は「3~15万円」程度と考えておきましょう。費用は、窓の大きさや採用するガラスのグレードで変わります。 - 二重窓にする
既存窓の内側にもう一枚窓を設置する方法です。この方法は、単純に窓が2枚になるだけでなく、中間に空気層ができることで、非常に高い防音効果が得られます。費用相場的には1箇所当たり「7~15万円」程度ですが、こちらも窓の大きさや採用するガラスによって変わります。
窓の防音対策は、主に上記の二つの手段があります。ただ、マンションなどの集合住宅の場合、自分の所有物件だとしても窓ガラスは「共用部」という扱いになっていて、ガラスそのものの交換が認めてもらえない可能性が高いです。この場合は、必然的に二重窓による対策となります。
壁の防音リフォームの費用
壁の防音対策は、遮音シートや吸音材を壁の中に入れるという方法が主流です。
6畳程度の部屋であれば、「12~25万円」程度が費用相場と考えましょう。壁の防音は、リフォーム範囲を狭めることができれば費用を抑えることができます。したがって、どこから音が侵入しているのかをしっかりと特定することが重要です。
ちなみに、その他の防音対象箇所も同じですが、「壁を一度解体する」と言った大掛かりな防音リフォームの場合、賃貸住宅では許可してもらえない可能性が高いです。この場合は、防音パネルなどを壁に設置する、窓部分に防音カーテンを設置するといった感じの簡易的な対策しかできません。
床の防音リフォームの費用
床の防音リフォームはいくつかの方法が考えられます。以下でそれぞれの方法をご紹介しておきます。なお、以下で紹介する費用相場は、6畳程度の部屋を想定しています。
- ・床材を防音機能の高いものに交換
既存床材の防音性能が低い場合、防音性の高いものと交換するという方法が手っ取り早いです。この場合は「24~30万円」程度が相場です。 - ・遮音マットを施工
床材の下に「遮音マット」と呼ばれる材料を敷き詰める方法です。この場合は「30~60万円」程度が相場となります。新たな床材に何を採用するのかによって費用が大きく変わります。 - ・床下に吸音材を充填
床下の空間が原因となっている場合、そこにグラスウールなどの吸音材を充填するという方法があります。この方法は、断熱効果なども期待できます。費用相場としては「40~80万円」程度です。
天井の防音リフォームの費用
上階に住む方の生活音が気になった場合、上階の住民さんとの話し合いで解決できるのが最も良いと言えるでしょう。しかし、それが難しい場合は、自宅の天井に防音対策を行う必要があります。
天井の防音は、遮音性の高い素材に交換する、二重天井にするなどの方法が考えられます。費用相場に関しては、天井の面積にもよるのですが「40~80万円」程度と考えておきましょう。注意が必要なのは、上階からの騒音は、建物の構造部分を伝わって響く場合がありますので、天井の防音だけでは騒音をカットできない場合も考えられます。
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防音室の費用
最後は防音室を作る場合の費用についてです。この場合、何が目的で防音室が必要なのかによって対策が変わります。例えば、バイオリンなどの楽器演奏であれば、ユニット型の防音室を設置するなど、低コストで必要な防音性能を手に入れることも可能です。しかし、ユニット型防音室は手狭に感じてしまう方も多いので、その場合は、一部屋丸ごと防音室にしてしまうという工事が必要です。それぞれの費用は以下のような感じです。
- ・ユニット型防音室を設置する
市販されているユニット型防音室を購入し、設置するパターンです。この場合、どの防音室を購入するのかによって費用が異なります。安い物であれば数十万円単位から設置可能で、高性能なものになると200万円以上かかるものもあります。 - ・部屋全体を防音仕様にする
部屋全体に防音を施し、防音室を作る場合、かなりのコストがかかります。6畳程度の部屋で、一般的なピアノ室を作る場合、200~350万円程度が相場です。ドラムなど、振動音の対策が必要な場合は、500万円以上かかる場合があります。
本格的な防音室を作る際の費用については、以下のページもご確認ください。
まとめ
今回は、近年増加していると言われている騒音問題について、音の問題に悩んだ場合、どういった箇所の防音対策が有効なのかについてご紹介してきました。防音工事は、プロの演奏家など、仕事上の問題で自宅でも楽器の演奏が必要な方が行う高額な工事と考えられていましたが、ここ数年では、生活騒音の対策のため、部分的な防音工事を行う方が急増しています。
これは、マンションなどの集合住宅で生活する方が増加してきたことや、都市部などでは戸建て住宅ごとの距離が近くなってきたことが原因だと考えられます。音の問題は、どなたでも抱えてしまう可能性がありますので、この記事でご紹介した内容は覚えておきましょう。