ピアノ室の意外な盲点!ピアノ防音室での除湿の重要性を紹介
サンテレビ「アサスマ! 」で防音工事の匠が紹介されました!
専門業者に依頼して、高性能なピアノ用防音室を作る場合、そこに設置するピアノの状態を良好に維持するためにも、湿度管理が非常に重要になるということを意識しておきましょう。
防音室は、室内で生じさせた音が外に漏れないようにすることが目的の部屋なので、通常の居室と比較すると、気密性が非常に高い環境となります。そのため、防音室内で活動する人の発汗や悪天候による湿度上昇などがあった時には、防音室内の湿度が楽器に悪影響を与えてしまうほど高くなるのです。
特に、主に木材で構成されるピアノは、高湿状態に弱い楽器として有名で、湿度が高い環境に長期間置かれると、さまざまな問題が生じてしまう可能性があるのです。一般的に、アコースティックピアノを設置する環境条件としては、湿度を50%前後に保つことが重要とされています。四季のある日本は、特に梅雨時期などに湿度が高くなる傾向にあり、時には湿度が80%を越えてしまうようなケースも珍しくありません。季節によって湿度が高い状況になることは致し方ない面はあるのですが、大切なピアノを良好に維持するためには、除湿機などを使って、適切な湿度帯を守れるような状態を作る必要があるのです。
そこでこの記事では、ピアノ用防音室と湿度の関係性やよくある防音室の湿度に関する勘違いについてご紹介します。
ピアノと湿度の関係性について
それではまず、ピアノ用の防音室を作る際、なぜ湿度管理が重要になるのかについて解説していきます。
冒頭でご紹介した通り、楽器演奏用の本格的な高性能防音室は、気密性が非常に高い環境となるため、どうしても湿気がこもりやすくなります。そして、防音室内で使用する楽器が、アコースティックピアノである場合、湿度の影響を大きく受けてしまう可能性があるのです。例えば、湿度が高い環境下にピアノを放置すると、以下のような問題が生じる可能性があるとされています。
- ・音が出なくなる
- ・音が止まらなくなる
- ・タッチが重くなる
- ・音が狂う
- ・金属が錆びる
- ・カビる
このように、木材などで構成されるアコースティックピアノは、湿度の影響によってまともな演奏ができなくなってしまう可能性があるのです。さらに注意しておきたいのは、ピアノは高湿状態だけでなく、湿度が低すぎる環境もあまり良くないという点です。ここでは、湿度がピアノに与える影響について簡単にご紹介します。
湿度が高すぎる時の影響について
上述したように、アコースティックピアノの設置環境として適している湿度帯は、50%前後とされています。そして、湿度が70%を超えるなど、高湿状態の環境下でピアノを保管すると、以下のような問題が生じる可能性があるとされています。
- ・木材やフェルトの膨張が起き、鍵盤・アクションの動きが悪化する
- ・弦や金属パーツがサビる
湿度の高い環境下で長期間ピアノを保管し続けると、上記のような問題が発生し、音が出ない、鍵盤が重いなどの問題に発展します。
湿度は低すぎてもダメ
ピアノと湿度の関係については、「高湿状態がNG」と言う情報を耳にする機会が多いと思います。しかし実は、ピアノの設置環境としては、湿度が低すぎるという条件も良くないのです。例えば、湿度が40%未満など、低すぎて乾燥している環境下でピアノを保管した場合、以下のような問題に発展します。
- ・木材が収縮し、部品の接合部が緩んだり雑音の原因になる
- ・響板(きょうばん)などにひび割れが発生するリスクが高まる
湿度が低すぎるという状況も、ピアノそのものの劣化を招いてしまう可能性があるのです。
ピアノの湿度管理はどうすれば良い?
前項でご紹介した通り、主に木材で構成されるアコースティックピアノは、設置場所の湿度によってさまざまな影響が出てしまいます。湿度が高すぎても低すぎてもダメ、ピアノを良好な状態に保ちたいのであれば、50%前後の湿度を維持し続けなければならないのです。それでは、防音室内の湿度を、ピアノに適した状態で維持し続けるにはどうすれば良いのでしょうか?
ピアノ用防音室の湿度調整は、「除湿機を使用する」と言う方法が、最大にして唯一の対策とされています。なお、ピアノ用防音室に導入する除湿機は、以下の2つの機能を持つ製品を選ぶことが大切です。
- ・コンプレッサー式
- ・湿度設定ができる
コンプレッサー式の除湿機は、エアコンや冷蔵庫などと同じような仕組みで空気中の湿気を冷やして結露させ、効率よく水分を取り除く家電です。ヒーターを使わないため、消費電力が少なく、運転中に部屋の温度が上がりにくいため、防音室などの高気密高断熱な部屋の除湿機としては最適です。
特に、除湿機の中でも、自動で湿度を一定に保ってくれる「湿度設定ができる」タイプを選ぶことが大切です。除湿機は、全ての機種が湿度設定ができると考えられているのですが、そういった機能が搭載されていないモデルも少なくありません。湿度設定ができないタイプは、室内の湿気をとにかく取り除くことを優先するため、過乾燥の状態に陥ってしまう可能性があるのです。先程紹介した通り、ピアノを良好な状態に保つのであれば、50%前後の湿度を保つことが重要で、40%未満などの乾燥のし過ぎも良くないのです。湿度設定機能がない「とにかく除湿して乾燥させることが正義!」と言った機種については、洗濯物の部屋干しなどには適した機種と言えますが、ピアノ用防音室の除湿機には適していないので注意しましょう。
アコースティックピアノを設置するピアノ用防音室を自宅に作る場合は、上記のような除湿機の導入も検討するようにしましょう。
その他の除湿方法について
防音室内の除湿については、「エアコンの除湿機能があれば良いのでは?」「ピアノに乾燥剤をいれるのではだめなの?」と言った点に疑問を持つ方も多いです。そこで、ピアノ用の防音室の湿度管理について、この二つの方法についても簡単にご紹介します。
エアコンの除湿機能ではだめなのか?
ピアノ用防音室の湿度管理については、わざわざ専用の除湿機を設置しなくても「エアコンの除湿機能で十分では?」と考える方が多いと思います。この点については、エアコンの除湿機能では不十分であるというのが答えです。
先程紹介した通り、コンプレッサー式の除湿機とエアコンは、その構造としてはほとんど同じ仕組みです。どちらの機器も、室内の空気を吸い込み、冷やすことで内部で結露させ、「冷えた空気」「熱」「水」に分けるというシステムになっているのです。室内には冷えた空気を戻すことで温度を調整し、熱と水は室外機とホースによって室外に排出するという仕組みになっています。
そのため、エアコンを利用する場合も、室内機から吐き出される冷たい空気は、除去された水分が減っているため、湿度は少し下がっていることは間違いありません。しかし、エアコンと言う機器は、あくまでも「設定温度」を中心に稼動する機器であり、室内の温度が設定温度に達すると、それ以上は空気を冷やすことが無くなるのです。当然、空気を冷やさないということは、室内の水分が取り除かれることはなくなり、それ以上の除湿が行われないことになります。
エアコンは、温度を優先して稼働する家電であるため、湿度を中心に動く除湿機と比較すると、除湿の能力がどうしても低くなってしまいまいます。エアコンの除湿は、あくまでも「室温を下げるついで」に行われているだけで、湿度を設定してそこまで下げるといった動きができないため、ピアノの設置に適した湿度環境を維持し続けるということが難しくなるのです。
除湿機であれば、設定した湿度を維持し続けるために機器が稼働してくれるため、ピアノの状態を良好に維持することができるようになるのです。
ピアノに乾燥剤を入れる
ピアノの除湿方法としては、アコースティックピアノの中に乾燥剤を入れるという方法もあります。ピアノ内部に乾燥剤をいれれば、内部の湿気を乾燥材が吸い取ってくれるため、湿度が高くなる時期の対策としては有効です。
ただ、ピアノ内部への乾燥剤の設置については、ピアノの専門家である調律師の間でも意見が分かれているという点は注意が必要です。ピアノ内部への乾燥剤の設置を推奨する調律師もいれば、その逆に乾燥剤は入れるべきではないという意見を持っている調律師もいます。そのため、この対策を利用するかどうかの判断は、いつも調律をお願いしている調律師さんに相談して、その方の指示に従うと良いでしょう。
ピアノ内部への乾燥剤の設置が推奨される理由は、皆さんが考えている以上に、ピアノそのものの気密性が高いためです。実は、除湿機を使って防音室そのものの湿度を下げたとしても、ピアノ内部の湿度はそこまで急激に下がることが無いのです。もちろん、「ピアノは完全に密閉されている」と言うほどの気密性はありませんが、乾燥剤を使用して除湿する効果が得られる程度の気密性があります。
したがって、梅雨時期や夏場など、高湿状態が続く季節に限っては、除湿機と乾燥剤を併用するという体制は非常に有効だと考えられます。
まとめ
今回は、ピアノ用防音室の意外な盲点となる湿度管理の方法について解説しました。
記事内でご紹介した通り、主に木材で構成されているアコースティックピアノは、高湿状態や乾燥状態に弱いという特徴を持っています。これを見逃してしまうと、高額なピアノの状態が急速に悪くなり、本来の美しい音色が出なくなる可能性があるのです。
専門業者が作る本格的な防音室は、音が防音室外に漏れていかないようにするため、非常に高い気密性が確保されます。そのため、何の湿度管理もできない状態で放置すると、梅雨時期などに高湿状態が維持されてしまい、ピアノに悪影響を与えてしまう可能性があるのです。
記事内では、防音室内の除湿に最適な方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。