音の悩みごとに必要な防音対策をご紹介します。
近年では、さまざまな音の悩みを抱えている方からの、防音工事に関するお問い合わせが増えています。これは、マンションなどの集合住宅で生活する方が増えていることや、戸建てでも、家と家の距離が非常に近くなっていることからさまざまな音の問題を抱える方が増えているからだと思います。
ただ、一口に防音工事と言っても、どこまでの音の問題を解決することができるのか、また自分の悩みを解決するためには、どの程度のコストがかかるのかがさっぱり分からず、なかなか専門業者への相談に踏み切ることができない方も多いようです。というのも、防音工事と聞くと、多くの方が楽器演奏に耐えられるような本格的な防音室を作る工事をイメージしていて、防音対策には100万円以上のコストがかかってしまうのではないか…と考えているからです。
そこでこの記事では、いくつかの音の悩みに対して、専門業者に相談することでどのような対策を行ってもらうことができるのかを解説していきます。
音の悩み別、効果的な防音対策について
それでは、さまざまな音の悩みについて、効果的な防音対策を解説します。
人々の生活空間が近くなっている現在では、ちょっとした生活音が原因で騒音トラブルが発生するなど、音は人々の日常生活の中で大きな悩みの種となる場合が増えています。それでは、実際にご自身が音の問題を抱えてしまった時には、どのような対策を施せば良いのでしょうか?
ここでは、よくある音の問題と、その音の問題を解消するための対策について解説します。
自宅で、時間帯を気にせず楽器の演奏がしたい!
この要望は、今も昔も、防音工事の相談として最も多い理由です。例えば、自宅でピアノ教室を運営したい、プロの演奏家の方が自宅でも練習したいなど、生活音とは比較にならないほど大きな音を生じさせる楽器の演奏を自宅で行いたいという考えで、この場合は本格的な防音室を用意しなければいけません。
なお、防音室のスペックや広さについては、使用する楽器の種類や使用用途、演奏する時間帯などによって異なります。ただ、どのような楽器だとしても、外部への音漏れを防止するためには、壁・天井・床に対して遮音・防振構造(浮遮音層)が必要だと考えてください。
多くの楽器は、空気音だけでなく物体の振動で伝わる固体伝搬音を発生させます。したがって、楽器の音色を防ぐだけでなく、浮いている空間(浮遮音層)を造ることにより、床に伝わる振動などの固体伝搬音も減衰させる防振構造を作る必要があるのです。こういった「部屋の中にもう一つの部屋」を浮き構造で作る工法が「ボックスインボックス工法」と呼ばれます。
時間帯を気にせずに楽器の演奏を検討している場合は、上記のような本格的な防音室が必要です。なお、防音室を作るまでの防音工事となると、楽器の種類や広さによって異なるものの、150~500万円程度はかかると考えてください。
ホームシアターやカラオケを楽しみたい!
自宅にホームシアターが欲しいという防音工事の相談は昔から多いですが、コロナ禍以降は、カラオケを自宅で楽しみたいというお客様からのご相談も急増しています。
ホームシアターやカラオケは、大音量の音を発生させることになりますので、何の防音対策もなさなければ、高確率で騒音トラブルが発生します。また、ホームシアターシステムは、重低音も正確に表現することから、振動音への対策が重要になります。つまり、楽器防音室レベルの防振構造(浮遮音層)が必要になります。
ホームシアターやカラオケルームは、専用の機材を省いた防音工事のみで200万円前後の費用がかかると考えてください。なお、遮音性能や部屋の広さによって価格は上下します。
隣戸・上階からの生活音や、隣戸・下階への生活音が…
マンション等、集合住宅に住んでいる方からのお問い合わせでは、生活音に関する悩みが多いです。ちなみに、生活音に関する音の悩みは、「上の階もしくは隣戸の家からの音に悩んでいる…」という場合と、自分たちが生じさせる生活音で隣戸もしくは下階の住人からクレームを入れられている…という二つのパターンがあります。音の問題は、被害者にも加害者にもなり得ますので、非常に難しい問題です。
生活音に関する対策については、問題となっている音がどのような生活音なのかによって変わります。例えば、足音が問題となっている場合、被害者側であれば天井の防音対策を行うことである程度、音を減退させることができるでしょう。逆に加害者側の場合は、床の防音対策を行うことで足音が階下に響きにくくすることが可能です。最近では、防音効果を持つ床材(フローリング)が登場していて、フローリングを維持したまま防音対策を施すことが可能です。また、隣戸からのTVの音が気になる…話し声が気になる…と言った問題であれば、壁の中に遮音材や吸音材を充填することで音を軽減することが可能です。
注意が必要なのは、集合住宅の場合、固体音が構造物を伝って広がっていくため、騒音源がどこかを特定するのが難しいです。例えば、足音でも真上の住宅が原因でない場合があり、この場合は天井の防音対策を施しても、駆体を通して振動が伝わるわけですので、音を解消することができません。生活音の防音に関しても、高い防音効果を見込むのであれば、壁・天井・床に対して遮音・防振構造(浮遮音層)が必要になります。
外から侵入する音が…
窓をきちんと閉めていても、近所の犬の鳴き声などが聞こえてくる…と言った相談も多いです。
この問題に関しては、窓の防音性の低さが問題となっている場合が多いです。一般的な窓は、外壁などよりもかなり薄い素材ですので、防音ガラスなどの特殊な製品以外は、遮音性が低く音が通過します。さらに、窓はスムーズに開閉できるように、閉めていてもレール部分などに隙間が生じるような構造になっています。そのため、空気音が隙間から侵入してしまうなど、大きな音を防ぐことができないわけです。
つまり、外からの騒音の侵入は、窓の防音性を高めてあげることが非常に効果的な防音対策になります。例えば、既存の窓を防音ガラスに交換する、内窓を設置して二重窓にするといった対策が主流です。二重窓による防音対策は、窓の大きさや採用する窓ガラスの種類によって上下しますが、5~10万円程度が相場です。
まとめ
今回は、音の悩み事に、どういった対策を施せば良いのかについて解説しました。この記事でご紹介したように、自宅で楽器の演奏やカラオケ、ホームシアターを楽しみたいなど、生活音とはならないほど大きな音を生じさせる場合、音で近隣住人とトラブルにならないようにするには、専用の防音室を作る必要があるでしょう。
悩みとなっているのが、人の話し声や足音、家事の音など、日常的な生活音の場合は、防音室までは必要なく、部分的な対策で対処が可能だと思います。あなたが抱えている音の悩みについて、どのような対策が必要で、いくらぐらいかかるのかは、実際に現地調査をしてみなければ分からない部分もあるため、お気軽にお問い合わせください。