フルートやクラリネットは木管楽器?金管楽器と混同されがちな木管楽器の特徴
皆さんは、「木管楽器」と聞くとどのような楽器をイメージするでしょう?多少でも楽器の知識を持っている方であれば、フルートやクラリネットが木管楽器に分類されるということは知っていると思います。
しかし、楽器の知識を持っていない人の中には、「木管楽器=木が原料で作られた楽器」と言ったイメージを持っている方もいるそうです。はっきり言っておきますが、木管楽器について「木で作られている」という考えは完全な間違いです。先述したように、木管楽器は、フルートやクラリネットなどの楽器を指しているのですが、これらの楽器はどれも金属で作られていて、見た目上は『木管』の要素など、どこにありません。
そこでこの記事では、さまざまな楽器の中でも、木管楽器について、この楽器の特徴や、どういった楽器が木管楽器に分類されているのかについて解説します。
木管楽器の特徴について
木管楽器と金管楽器を合わせて管楽器と呼ぶこともありますので、楽器に関する知識があまりない方であれば、木管楽器と金管楽器を混同して考えることが多いです。ただし、この二つは別物の楽器です。
木管楽器は、リードを使って発音するというのが特徴の楽器で、金管楽器は唇を震わせて音を鳴らす楽器です。楽器的な分類については、「唇を震わせて音を鳴らす楽器=金管楽器」で、それ以外が木管楽器という分類になります。ちなみに、昔は、木製の管楽器の事を指していた時代もあったそうですが、現在は木製でも金属製でも、発音方法によって分類します。
リードとは?
リードは、葦(あし)という植物から作られているもので、木管楽器はこのリードを楽器につけて、息を吹くことによって音が出る仕組みになっています。なお、楽器によってシングルリード、ダブルリードなど、使用するリードの大きさや仕様などが異なります。
さらに、このリードは、それぞれの楽器の音を鳴らすため、非常に重要な役割を果たすのですが、メーカーによって厚さや大きさなどが異なり、使用する人が自分の好みやマウスピースによって選びます。
木管楽器はリードを使って音を出す
木管楽器と金管楽器の大きな違いが、木管楽器は唇を振動させずにリードを使って音を出すという点です。金管楽器は、マウスピースを使って、唇の振動を調整しながら音を出します。ちなみに、サックスは金管楽器に分類されると勘違いしている方が多いのですが、サックスもリードを使用して音を出す楽器ですので、木管楽器に分類されます。
なお、フルートについては、リードを使わずに演奏を行う楽器です。それなのに、フルートが木管楽器に分類されるのはなぜ?という疑問を持つ方は多いと思います。実は、フルートは、物理的なリードを使用するのではなく、吹き込んだ空気によってリードの役割を果たすエアリードと呼ばれる仕組みで音を出しています。そのため、物理的なリードは使用しないものの、音を出す仕組み自体が「リードを用いる」ということで木管楽器に分類されているのです。
ちなみに、木管楽器の中で最も身近な楽器が子供のころに音楽の授業で習うリコーダーです。リコーダーも、フルートと同じく物理的なリードではなく、エアリードで音を出す仕組みです。
木管楽器の種類
それでは、木管楽器に分類される代表的なものをいくつかご紹介します。
フルート
フートは、鳥のさえずりのような美しい音色を響かせる楽器で、木管楽器の中でも最も高い音域を担当します。なお、一口にフルートと言っても、大きさによって奏でる音域が異なり、音の高低によって以下のようにいくつかの種類が存在します。
- ・コンサートフルート
- ・ピッコロ
- ・ソプラノフルート
- ・アルトフルート
- ・バスフルート
- ・コントラバス・フルート
- ・フルート・ダモーレ
この中で、最もメジャーなものがコンサートフルートで、一般的にフルートと称される場合は、コンサートフルートを指しています。
クラリネット
クラリネットは、18世紀ごろのヨーロッパで、「シャリュモー」と呼ばれる楽器から派生し誕生したと言われています。
管楽器の中でも、最も音域が広いのが特徴で、4オクターブもの幅広い音を出すことができます。この音域の広さから、オーケストラでは木管パートとして中間の音程を担当しつつ、ソロとしても活躍します。なお、オーケストラだけでなく、軽快な明るいメロディから情緒的な暗さを感じる深い音までを表現できる楽器ですので、ジャズなどでも使用される楽器です。ちなみに、クラリネットも、音域によっていくつかの種類に分類できます。
- ・ソプラニーノクラリネット
- ・ソプラノクラリネット
- ・アルトクラリネット
- ・バスクラリネット
この中で、オーケストラで最も使用されるのがソプラノクラリネットです。クラリネットは、自然由来の材料で作られている場合、同じメーカーのものであっても個体差による音の違いが生じやすい楽器と言われているので、購入する時には複数のクラリネットを吹き比べてから自分好みのものを選定するようにしましょう。
サックス
サックスは、1840年代に発明された比較的新しい木管楽器です。ちなみに、サックスという名称は、開発者であるアドルフ・サックス氏からとられています。
サックスは、その見た目上、金管楽器に分類されると考えている方が多いのですが、楽器の構造は木管楽器に分類されます。サックスは、600以上もの部品から構成されていて、その複雑な構造から、ジャスを始めとして、クラシックやロックなど、幅広い音楽でその音色が活躍しています。
なお、サックについても、音域によって以下のように分類されます。
- ・ソプラノサックス
- ・アルトサックス
- ・テナーサックス
- ・バリトンサックス
なお、サックスは、管楽器の中でも、特に種類が多いのが特徴で、上記の4種類以外にも、合計で9種類のサックスが存在します。一般の方がサックスと聞いてイメージするのがアルトサックスで、アルトサックスが生産数やモデル数が最も多いです。
オーボエ
オーボエは、見た目上はクラリネットによく似ているのですが、17世紀ごろフランスで誕生したといわれています。オーボエは、「フランス式」と「ドイツ式」の2種類に分けられていて、現在の主流はフランス式で「コンセルヴァトワール式」と呼ばれています。
オーボエは、2枚のリードを使用するダブルリードの楽器であることが特徴で、非常によく響く美しい音色を持っています。ちなみに、オーボエは、木管楽器の中でも特に演奏が難しい楽器と言われていて、初心者の方であれば、音を出すことすら難しいと言われています。この演奏の難しさから、オーボエ演奏者は、演奏者としての貴重価値が高いとまで言われています。
オーボエもいくつかの種類があります。
- ・オーボエ
- ・オーボエ・ダモーレ
- ・イングリッシュホルン
- ・バスオーボエ
まとめ
今回は、さまざまな楽器の中でも、木管楽器の特徴について解説しました。木管楽器や金管楽器については、楽器を構成する素材の違いによって分類されていると考えてしまう方がいるのですが、この二つは、音を出す仕組みによって分類されています。一昔前までは、木製の楽器を木管楽器と呼んでいたこともあるようですが、近年は、「唇を震わせて音を出す」ものが金管楽器で、それ以外を木管楽器という分類方法になっています。
なお、木管楽器や金管楽器は、非常にパワフルな音を鳴らす楽器ですので、自宅で練習のために演奏する場合には注意が必要です。ピアノやドラムのような直接的な振動音の心配は少ないのですが、100dB以上の大きな音を発生させる楽器となりますので、空気音が近隣まで伝わっていき、騒音トラブルが発生する可能性があるでしょう。
したがって、自宅で、フルートやサックス、クラリネットなどの木管楽器の演奏を検討している方は、周囲への音漏れに配慮するため、管楽器用防音室が必要不可欠であると考えてください。なお、自宅にお管楽器用の防音工事を検討している方がいれば、お気軽に弊社までご相談ください。