人の声をうるさいと感じる時の対策について。話し声は騒音トラブルの原因になる

今回は、人の話し声を「うるさい…」と感じた時の防音対策について解説したいと思います。

近年では、マンション暮らしの方が増えている、戸建て住宅でも家と家の距離が近くなっているといった理由から、ちょっとした生活音を原因に隣人との騒音トラブルを抱えてしまう…というケースが増えていると言われています。ただ、一般的に騒音トラブルと聞くと、楽器の演奏音や大音量で音楽を聴くなど、誰もが非常識だと感じるレベルの大きな音を生じさせる人がいて、それを迷惑に感じる近隣の方とトラブルになるといったことをイメージする方が多いのではないでしょうか?実際に、防音工事が世間に注目され始めたのは、ピアノの音を原因として悲惨な事件に発展してしまったことが要因と言われています。

ただ、昨今の騒音トラブルは、楽器の音色やカラオケなどの大きな音ではなく、誰もが日常生活の中で生じさせる生活音が原因となっているケースが多いのです。自宅での楽器演奏を考えた場合、本格的な防音室が必須と言う考えが一般化して、楽器の音色などは外に漏れにくい環境になっているのですが、日常生活の中にある、普通の話し声や家事の音などに関しては、「隣人に迷惑をかけている」という認識がないため、対策を施さない方が多くトラブルに発展して初めて「うるさかったんだ…」というケースが増えているのです。

そこでこの記事では、人の声をうるさいと感じた時や、自分の話し声に対してクレームを言われた時、どのような対策を行えば良いのかについて解説します。皆さんに認識しておいてほしいのは、人の話し声は、時と場合によって騒音トラブルの原因になるということです。

人の話し声は騒音トラブルの原因になりうるのか?

普段の生活の中で、一般の方であればあまり聞き馴染みはないと思うのですが、皆さんが耳にしている音の大きさを示す単位は「dB(デシベル)」というものが用いられています。例えば、聴力に問題などを抱えていないからが聞こえる範囲の音に関しては、最も小さな音が0dBとなります。そして、これを基準として10倍の音量の音が10dB、100倍の音は20dBと言った感じに大きくなっていくと覚えておきましょう。

なお、日本国内の音の問題に関しては、環境省が騒音の基準となる騒音レベルの目安を作っています。ここではまず、一般の方が騒音と感じるのはどの程度の音の大きさなのかを簡単にご紹介します。

人の声の大きさとは?

それではまず、人の話し声がどれぐらいの音量になるのかについて解説します。日常生活の中では、そこら中で人の声が飛び交っていますし、「怒鳴り声をあげる」といった特別大きな声を除けば、普通に人が会話する時の話し声であれば、特に気にならないという方がほとんどだと思います。一般的にですが、人のささやき声に関しては、30dB程度の音量とされていて、これは深夜帯の郊外にいる時と同レベルの音量なので、大した音量ではないと言えるでしょう。

ただ、人が会話をするときの話し声については、60dB程度の音量になるとされていて、このレベルになると水洗トイレの排水音や静かな乗用車の音と同レベルとされています。ささやき声は30dB程度とご紹介しましたが、普通の話し声は60dBの音量になり、実はこの二つの音は騒音値として比較した場合、なんと1000倍もの違いがあるとされているのです。つまり、人の話し声に関しては、決して静かとは言えないレベルの大きさな訳です。さらに、人の叫び声や歌声になると、90dBを超える音量となり、地下鉄の構内にいる時と変わらない騒音レベルと言われています。

これからも分かるように、人の声というものは、普通に会話しているだけでも、近隣の方からすると十分に騒音と感じられてしまう可能性がある大きさなのです。そして、子供が騒いでいる時の声や、それを叱りつける時の大声などに関しては、ほぼ確実に隣人を不快にさせるレベルの騒音と考えなければいけません。一般の方であれば、こういった音に関する基礎知識を持っていないことから、自分が発する声が他人にとって騒音になるという意識を持てないため、話し声による騒音トラブルが発生してしまっているのです。

人の声が騒音になる!

前項でご紹介したように、人の話し声は、他人にとって十分に騒音と感じるレベルの音量を持っています。また、環境省などによると、人が日常生活の中で、静かであると感じる音の大きさは、45dB以下だとされていて、さらに不快に感じないレベルの音量は40~60dB程度とされています。

人の日常会話は、60dB相当なのですが、会話が盛り上がると、つい声が大きくなってしまいますし、60dB以上のうるさいと感じるレベルの大きさになってしまうこともあるでしょう。つまり、日常生活の中で普通に会話しているレベルの話し声であっても、近くで延々と聞かされている場合は、うるさいと感じられてしまい、迷惑と思われると考えておいた方が良いです。

ただ、建物の中にいる場合であれば、相手と一定の距離が離れていますし、間に壁などが存在しますので、面と向かって話をしているほどの音量を感じることはないと思います。しかし、窓を開けていたりすると、そこから音漏れや音の侵入がありますので、テレワーク中など相手が集中したいと思っている時には「迷惑な隣人だ」と感じられる可能性があります。騒音問題は、周囲にどのような環境騒音があるのかも関係してきますが、隣人とのトラブルを抱えないようにするには、きちんとこの辺りの事を配慮しておく必要があります。

騒音は音の「高さ」も関係する

騒音問題を考える時には、音量だけでなく音の高さにも注意しておく必要があります。音の高さは「Hz(ヘルツ)」と呼ばれる単位で表されていて、これは周波数を意味します。人の可聴周波数は20~20000Hzとされていて、基本的に低い音ほど聞き取りにくくなります。人の話し声については、通常100~1000Hzの間で、男性の話し声が500Hz、女性が1000Hz程度の高さと言われています。
そして、一般的に人は1000~5000Hzの周波数を持つ音を不快だと感じると言われており、特に4000Hz程度の音がよく聞き取れるようになり、この周波数帯の音が強調され続けると耳障りに感じ不快感を持つようになるそうです。ちなみに、人の耳が敏感に反応する周波数帯に当てはまる音は、セミや鈴虫の鳴き声、電子レンジなどの家電製品の電子音だとされています。
騒音問題は、音の大きさにばかり着目する方が多いのですが、特定の周波数帯を持つ音は、そこまで大きな音でなくても人に不快感を与えることがあると思ってください。

人の声に対する防音対策とは?

それでは、上述したような人の話し声に対する防音対策についても考えていきましょう。コロナ禍以降、テレワークが広く普及するなど、日本人の在宅時間は長くなっていると言われています。そして、家の中でリラックスしている時などに、他人の話し声や物音で不快に感じてしまうという方が増えているようです。この記事を読んでいただいている方の中にも他人の声などで悩んでいるという方も多いと思いますので、以下でご紹介する対策を試してみましょう。

なお、人の声の防音対策については、本格的な防音室を作るといった工事までは必要ありません。もちろん、悩んでいる音の大きさなどにもよりますが、基本的に窓やドア、壁など、部分的な防音対策で可能です。

自分で対策を施す

通常の会話など、特別大きな話し声というわけではないなら、専門業者に依頼して防音工事を行わなくても、自分で対策を施すことも可能です。例えば、以下のような対策を検討してみましょう。

  • ・対策を施したい方向に大型家具を配置する
  • ・扉や窓の隙間を隙間テープで埋める
  • ・窓やドアに防音カーテンを設置する

通常の会話の声程度であれば、上記のような簡易的な防音対策でも気にならなくなるレベルまで持っていくことは可能だと思います。テレワークが一般化し、自宅で仕事をすることになったものの、同居する家族の声や家事の音が気になる…という場合は、隙間テープと防音カーテンを併用することで、静かで集中できる環境を作ることができるでしょう。

専門業者に依頼して対策を施す

次は、専門業者に依頼して防音リフォームを施すというパターンです。例えば、web会議の声がうるさいと隣家や家族から苦情が出た…なんて状況の場合、我々のような防音工事業者に相談してくる方が多いです。web会議は、コロナ問題以降、一般化した通信方法ですが、電話と同じくつい声が大きくなってしまい、周りの人に迷惑をかけてしまう…なんてケースが多いです。さらに、web会議は、電話や世間話とは異なり、1時間以上会話が続くなんてことも珍しくないため、集合住宅などに住んでいる方の場合、隣家から苦情が出てしまいやすいのです。
この他、動画配信で大きな声を発する、声楽の練習を自宅でするといった場合、簡易的な対策では防音は不可能ですので、本格的な防音工事が必要と考えましょう。具体的な防音工事の方法は、以下のような物があります。

  • ・窓を二重窓にする
  • ・防音ガラスに交換する
  • ・ドアを防音ドアに交換する
  • ・壁の中に防音材を設置する
  • ・防音室を作る

web会議のための防音対策であれば、窓やドア、壁の防音リフォームを検討すると良いでしょう。ドアの防音に関しては、同居する家族が話し声をストレスに感じないようにできるほか、家族が生じさせる音が室内に伝わり、集中力が乱れる…という問題を防ぐ効果も得られます。
なお、ゲーム配信など、大きな声を発する可能性がある動画配信や、カラオケ・声楽の練習など、会話の声とは比較にならないほどの大きな声となる場合は、専用の防音室を用意すべきです。

まとめ

今回は、人の話し声が騒音の原因となるのか、また隣家の声に悩んだ…、自分の声に対して苦情が出た場合、どのような対策を施せば良いのかについて解説しました。

記事内でご紹介したように、人の話し声は、皆さんが考えている以上に大きな音量となり、十分に騒音と感じられるレベルの音と考えなければいけません。もちろん、日中であれば、周囲の環境騒音もそれなりの大きさですので、普通に会話しているだけであれば騒音トラブルに発展するほどの問題にはならないと思います。しかし、深夜まで携帯電話で会話する、大きな音量でTVを見るなんてことをしていると、隣人がストレスに感じてしまい、トラブルに発展することもあるのです。

特に、コロナ禍以降は、テレワークが一般化しており、昼間でも集中できる静かな環境を求めている方が増えています。この場合、近隣から聞こえてくる人の声だけでなく、家族の声さえも迷惑に感じてしまう場合があると言われているのです。万一、人の声が原因となる騒音トラブルに悩んでいる場合、記事内で紹介した対策を検討してみてはいかがでしょうか。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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