自宅に防音室が欲しい!防音室を作る場合、いくらぐらいかかるものなの?
今回は、自宅に防音室が欲しいと考えている方に向け、目的別に防音室を作る場合にかかる費用相場をご紹介していきたいと思います。
近年では、本格的な防音室に関わらず、ちょっとした防音対策のために専門業者に防音工事を依頼するという方が増えています。これは、新型コロナウイルスの影響で、テレワークが広く普及してきたことから、今までは気にもしなかった周辺環境からの音によって集中力が乱れてしまう…などと言った理由もあり、窓や壁などの部分的な防音工事が人気になっているのが大きな原因です。さらに、都市部ではマンション暮らしの方が多くなっていることから、ペットや子供が出す音が近隣トラブルに発展してしまう…ということが増えており、隣家への生活音対策として床の防音工事を行う方も多いです。
こういった部分的な防音工事であれば、高い効果を見込めるうえに、比較的安価に対策が施せます。窓の防音対策として人気な二重窓などであれば、数万円でもかなりの効果を見込めますし、現在こういった防音工事を検討しているという方も多いのではないでしょうか?しかし、楽器の演奏やホームシアターなど、本格的な防音室を作るとなると、やはり多額のコストがかかってしまいますので、「いったいいくらぐらいかかるのだろう?」と不安になってしまう人も多いと思います。
そこでこの記事では、自宅に防音室を作る際、頭に入れておきたい大まかな費用相場をご紹介しておきます。
防ぎたい音によって必要な施工が変わる
冒頭でご紹介したように、近年では防音リフォームの需要が非常に高くなっています。一昔前までであれば、プロの演奏家などが自宅での練習のために防音室を作るといった専門的な工事だったのですが、近年では、日常生活をより快適にするための生活音対策として防音リフォームに踏み切る方が多くなっています。
ここでおさえておきたいのは、防音工事というものは、防ぎたい音によって工事をする箇所や必要な施工内容が変わってしまうということです。必要な場所に適切な防音対策を施さなければ、工事をしたのに音が軽減された気がしない…なんてことになりかねませんので、「どんな目的で、どんな音を防ぎたいのか?」ときちんとまとめてから専門業者に相談するようにしましょう。ここではまず、音の種類別に必要な対策を簡単に分類してみます。
外からの騒音を防ぎたい場合は窓や壁の対策
テレワークの普及もあり、外から侵入する自動車や電車、子供が遊ぶ声などの防音需要が高くなっています。こういった目的の場合は、窓や壁の防音対策がオススメです。
音は、空気を振動させて伝わるものですので、一般的な単板ガラスの窓であれば、簡単にこの振動を通してしまいます。したがって、こういった侵入原因を潰すため、防音効果の高い窓ガラスに変更したり、二重窓にするなどの対策が有効です。壁に関しても、薄ければ音が通りやすくなりますので、壁の中に吸音材や遮音シートをいれるリフォームがオススメです。なお、エアコンの配管穴や換気口などの隙間も音の侵入場所となりますので、こういった部分にも防音対策を施しましょう。
集合住宅では床の防音対策が有効
マンション暮らしの方が増えてきた現在では、お子様が室内を走り回る音やペットの足音で、階下の住人と騒音トラブルを抱えてしまう…ということが増えています。マンションに住んだことがある人であればわかると思いますが、上の階に住む人の足音や椅子を引き摺る音などの生活音は、以外に響いてしまうものです。実際に、こういった足音などの生活音で裁判沙汰にまで発展した…というケースも存在します。
したがって、こういったトラブルを抱えないため、階下の住人に配慮したい場合は、床の防音対策がオススメです。例えば、壁と同じく、吸音材や遮音シートを床材の下に入れることや、床自体を防音素材のものに交換するなどの対策が有効です。逆に、上の階の生活音に悩まされている…という場合、天井に防音対策を施して音を防ぐという方法があります。
楽器の音は防音室が必要
自宅でピアノやドラムの練習がしたいなど、楽器の演奏を考えている場合、何の対策もしなければ外に音が漏れてしまい、高確率で騒音トラブルを抱えてしまうことになるでしょう。したがって、楽器を演奏するための防音室は必須だと考えましょう。
また、ホームシアターの設置を検討している方で、映画館さながらの大音量で作品を楽しみたいという方も、防音工事が必須だと思います。
こういった目的であれば、部分的な防音対策ではなく、部屋丸ごと防音対策を施し、防音室を作るのがオススメです。
防音室の費用について
それでは、防音室を作る場合の大まかな費用についても簡単にご紹介していきましょう。防音室とは、上述したように部分的な防音対策ではなく、部屋全体を防音効果のある建材で囲うようなものだとイメージしてください。
例えば、壁には吸音材や遮音シートを入れて防音効果を高め、床にも吸音材などを敷き詰めたうえで防音性のある床に張り替える。窓は、防音効果の高い窓ガラスや二重窓で対策することも多いですが、そもそも窓が弱点になることから、窓を潰してしまい音をシャットアウトするようなことも少なくありません。
さらに、ドア部分からの音漏れを防ぐため、ドアに生じる隙間をしっかりと埋められる防音ドアに交換します。実は、この防音ドアだけでも、数十万円かかるようなこともあり、非常に高価な工事になってしまう訳です。
正直な話、ここまで徹底する必要があるのか…と驚いてしまう方も多いかもしれませんが、これらの工事には全て意味があり必要なものだと考えておきましょう。
防音室の費用相場
それでは、自宅に防音室を作る場合、1室あたりのリフォーム費用がいくらぐらいになるのかという点もご紹介しておきましょう。
防音工事の難しさは、お客様の用途によって必要な性能が異なり、かかるコストも大幅に違ってくるということです。例えば、楽器の演奏用としても「日中のみ楽器の演奏をする」場合と、「夜間も使用できる防音室にしたい」場合では、防音室に求められる性能が変わってしまいますので、コストがかなり違います。以下で、防音室を作る際の費用を大まかにご紹介しておきますので、参考にしてください。
- オーディオルーム・ホームシアター ⇒ 150~300万円(6畳程度)
- ピアノ用の防音室 ⇒ 100~400万円(6畳程度)
- ドラム用の防音室 ⇒ 200~550万円(6畳程度)
- ユニット型防音室 ⇒ 50~250万円(設置費込み)
価格幅があるのは、お客様の使用用途によって性能が変わってしまうからです。ドラム室に関しては、振動音の対策が重要になるため、楽器用防音室の中でも高額になってしまいます。
なお、防音室の性能に関しては、元々建物が持っている防音性能も関係します。要は、「鉄筋コンクリート(RC)」や「鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)」など、元々防音性能が高い構造で防音工事を行うのと比較して、木造や鉄骨造などの住宅は、工事にかかるコストが50万円程度高くなると考えておきましょう。
まとめ
今回は、自宅に防音室を作りたいと考えている方に向け、防音室を専門業者に依頼した場合の大まかな費用相場についてご紹介してきました。この記事でもご紹介したように、近年では、生活音が原因となる騒音トラブルが増えており、部分的な防音リフォームの需要が非常に高くなっています。
しかし、楽器の演奏による音を防ぎたい…とお考えであれば、部分的な防音対策では不十分となってしまい、近隣との騒音トラブルのリスクが残ってしまいます。現在、防音工事をお考えの方は、「何が目的なのか?」「どんな音を防ぎたいのか?」ということをしっかりとまとめてから、専門業者に相談することがオススメですよ。
防音工事は、お客様の要望のもと、必要な施工内容や性能の提示をするものですので、お客様側の意見があいまいな状態だと、最適な防音室の設計が非常に難しいものなのです。最悪の場合、多額のコストをかけたのにもかかわらず、納得のいくものができなかった…なんてことになりかねません。