マンションの防音工事にかかる費用とは?よくある防音の相談と工事を依頼する前に確認したいポイント

近年では、マンションなどの集合住宅で生活する方が増えています。都市部などでは、利便性の高いエリアになると、土地の価格がとんでもないことになるため、戸建てではなくマンションなどの集合住宅を選ばざるを得ないケースも多いです。もちろん、マンションの価格も年々高騰していますが、基本的に利便性が高い場所に建設されることが多い為、生活をすることだけを考えると、非常に好ましいの条件が揃っています。

ただ、マンションなどの集合住宅は、他のご家庭との生活空間が非常に近くなることから、音の問題を抱えてしまう可能性が高くなると言われています。実際に、防音工事の匠にも、防音室とまではいかないものの、日常生活を進めるうえで生じる生活音が気になるから「何とかなりませんか?」と言ったお問い合わせが増えています。集合住宅では、お隣や上下階に自分達とは全く異なるライフスタイルの方が住む可能性もあり、そのような場合、生活時間の違いから騒音トラブルに発展することがあるのです。

そこでこの記事では、マンションなどの集合住宅に住んでいる方から、近年増加している防音工事の相談について、実際に工事を行う場合にかかる費用や、本格的な工事を依頼する前の注意点をご紹介します。

マンションにおける防音工事の注意点について

それではまず、マンションなどの集合住宅に生活している方が、専門業者に依頼して防音工事を行いたいと思った時の注意点をご紹介します。実は、マンションなどの集合住宅の場合、分譲など、自分の持ち物件であっても「防音工事ができない…」なんてケースがあるのです。したがって、何らかの音の問題を抱えた場合でも、防音工事業者に相談する前に、いくつか確認しておかなければならないポイントがあります。

ここでは、分譲マンションなどに住んでいる方に向け、防音工事業者を探す前に確認すべき注意点をご紹介します。

管理規約を先に確認する

戸建て住宅に住んでいる方であれば、自分たち家族の意見をまとめるだけで、防音工事に踏み切ることが可能です。戸建て住宅は、購入者の意思で、好きなようにリフォームすることが可能な点も大きなメリットになるでしょう。

ただ、マンションなどの集合住宅は、たとえ分譲など住人が購入した物件であっても、自由にリフォームすることはできないのです。分譲マンションを購入する際には、管理規約と呼ばれるその物件のルールに同意する必要があります。そして、物件の中には、住人が購入した部屋の中に関しても「大掛かりなリフォームを禁止」しているケースがあるのです。この他にも、防音工事の有無に関わらず、物件内での楽器の演奏が禁止されているケースも珍しくなく、「子供にピアノを習わせたいから防音工事を」と考えている場合、そもそも楽器の演奏が認められている物件なのかを事前に確認しなければ、防音室にかけるコストが無駄になってしまいます。

なぜ住人が購入した物件なのに、このようなルールが設けられているのか…と不満に感じてしまう方もいるかもしれません。しかし、マンションなどの集合住宅の場合、大掛かりな工事を行う時には、資材の搬入や工事に伴う騒音、部外者の侵入など、自分たち以外の入居者に少なくない影響を与えるのが原因です。防音工事などの大掛かり工事を行う場合、重量のある建材の搬入や廃材の搬出が必ず発生します。その時には、一時的にエレベーターが使えなくなったりしますので、他の住人に影響を与えますよね。また、工事に伴う騒音は、お隣や上下階に住む人の日常生活に大きな影響を与えます。こういったことが理由となり、管理組合などが定期的に行う物件のメンテナンス工事以外、各居室の大掛かりなリフォームは組合の同意を得なければならないなどのルールがあったりするのです。

もちろん、全ての工事が無条件で禁止されるわけではありませんし、「騒音で夜も眠れない…」なんて被害が生じている場合、管理会社や管理組合に相談すれば防音工事を認めてくれる可能性もあります。したがって、防音工事会社を探す前に、まずは管理規約を確認し、必要であれば管理会社・管理組合に相談してみましょう。
なお、集合住宅の中でも、賃貸の場合は物件そのものを傷つけるような防音工事は認めてもらえない可能性が高いです。

マンションでよくある防音工事の種類とその費用

それでは、マンション暮らしの方が増加傾向にある中、近年我々のような防音工事会社への相談が増加している防音工事の種類とその費用についてご紹介します。専門業者による防音工事と聞くと、ほとんどの方が楽器やカラオケなどが行える防音室を作る工事をイメージします。もちろん、本格的な防音室をマンションに設置したいという要望もありますが、実は近年では生活騒音を防止するための部分的な防音工事の依頼が非常に多くなっているのです。

マンションなどの集合住宅は、生活習慣が全く異なる方と、非常に近い位置で生活することになるため、普通の生活音がトラブルの要因となる場合も多いのです。ここでは、代表的な防音工事の種類とその工事にかかる大まかな費用をご紹介します。

窓の防音工事

外部騒音の侵入や自分たちが生じさせる音が外に音漏れするのを防ぎたいと考えている場合、窓の防音工事が効果的です。窓は、壁と比較すると、非常に薄い素材となりますので、そもそも遮音性が低いという問題があります。また、きちんと閉めていても多少の隙間が生じる構造になっていることから、どうしても音の出入りを完全に防ぐことができないのです。

この窓部分の防音工事については、内窓を設置して二重窓にするという方法と、既存の窓ガラスを防音仕様のガラスに交換するという対策があります。それぞれの工事の特徴と費用感は以下のような感じです。

  • 二重窓工事
    これは、既存窓の内側にもう一枚窓を設置して二重窓にするという工事です。二重窓にすれば、窓と窓の間に空気層ができることで、防音効果や断熱効果を得ることができます。二重窓工事にかかる費用については、新たに設置する窓ガラスの種類によって費用が変わるのですが、1箇所当たり8~15万円程度が相場です。なお、二重窓工事は、窓部分の断熱対策になることから、省エネにつながると見込まれ、補助金が使用できる場合があります。
  • 防音ガラス交換工事
    二つ目の方法は、既存のガラスを高い防音性を保持した防音ガラスに交換するという方法です。二重窓よりは効果が低くなると言われていますが、人の声が気になる…程度の問題であれば解消可能だと思います。なお、二重窓工事で防音ガラスを採用するとさらに高い防音効果を見込むことができます。窓ガラスの交換は、窓枠なども交換が必要になるケースもありますので、注意しましょう。ガラスのみの交換で済む場合、5~10万円程度が相場です。

窓部分の防音対策は、戸建て住宅でも依頼が増えています。注意してほしいのは、マンションなどの集合住宅の場合、窓は共用部に位置付けられているはずです。したがって、物件によっては、ガラスの交換工事が認めてもらえない可能性があります。その場合、二重窓工事による対策一択になります。

壁の防音工事

次は壁の防音対策です。例えば、夜遅くまでお隣さんの家からTVの音が聞こえてきてうるさい…とか、ペットの鳴き声に悩まされているなんてケースをイメージすると思います。この他にも、壁の防音性の問題については、24時間換気のために設置されている換気口から外部騒音が侵入しうるさく感じるケースがあります。

したがって、本格的な防音工事となると、壁の中に防音材を組み込む、換気口などの開口部に対策を施すといった方法が考えられます。費用感に関しては以下のような感じになります。

  • 壁の中に防音材を設置する
    隣家からの音に悩んでいる場合、騒音源側の境界壁の中に防音材を設置するという対策が施されます。内壁を一度解体して、内部に吸音材(グラスウールなど)を充填し、さらに遮音シートなどを設置するといった対策になります。費用としては、壁の面積によって変わりますが、一面につき10~20万円程度を想定しておけば良いでしょう。
  • 開口部への防音対策
    壁の防音性をいくら高くしたとしても、開口部への対策を無視すると何の意味もありません。例えば、24時間換気の換気口については、ただの空洞になっていますので、これを放置すると空洞から音が出入りし放題となります。したがって、この部分の対策として防音仕様の換気口に交換する、換気口内部に吸音材を設置するといった対策が施されます。なお、換気口の対策は、ご自身でも可能な場合があり、その場合は材料費として数千円で対策が可能です。換気口そのものを交換する場合、5万円程度が相場です。

床(もしくは天井)の防音工事

マンションの防音工事のご相談では、床の防音工事に関する相談が多いです。戸建て住宅の場合、上階からの音に悩まされるなんてことはほとんどありませんし、例え音の問題が発生しても家族間の問題なので大きなトラブルになり得ないです。しかし、マンションなどの集合住宅は、全く別の家族間の音の問題なので、騒音トラブルになってしまう訳です。

ちなみに、上下階に住む方々の音にまつわる相談では、「足音がうるさいと苦情を言われたのですが…」「足音がうるさくて眠れないのですが…」と言った感じに、騒音被害に遭う方だけでなく、騒音源側の方から相談を受ける場合も多いです。したがって、対策となる防音工事としては、床に対する防音工事と、天井に対する防音工事が考えられるのです。具体的には以下のような感じです。

  • コルクマット、タイルカーペットを設置する
    小型犬の足音対策などであれば、既存床の上にコルクマットやタイルカーペットを設置するという方法があります。比較的安価で対策が可能なうえ、それなりの効果を見込むことができます。小型犬の足音は、体重が乗ったドンっといった衝撃音ではなく、爪がフローリングにあたりカチャカチャと言った音が階下に響く場合が多いです。したがって、爪音が鳴らないようにすれば問題を解消することが可能な訳です。専門業者に施工を依頼した場合、採用する材料によって費用が変わりますが、5~12万円程度(6畳前後)が相場でしょう。なお、この対策は、自分で材料を購入し施工することも可能です。
  • 防音フローリングにする
    軽量衝撃音を防ぎたい場合でも、フローリングは維持したいと考える方が多いです。この場合は、既存フローリングを遮音フローリングと呼ばれるものに交換すると良いでしょう。遮音フローリングは、小型犬の足音程度であれば、階下に伝わらないように防音することが可能です。施工方法は2種類あり、既存のフローリングを撤去した後に遮音フローリングを施工する方法と、既存フローリングの上から新たな材料を施工するやり方があります。費用感としては、10~23万円程度が相場です。
  • 床(もしくは天井)の中に防音材を施工する
    子供が室内を走り回る、夜泣きの音が気になる…なんて場合は、床もしくは天井の中に防音材を施工するという対策まで必要です。これは、壁の防音対策と同じ考えで、床もしくは天井の防音性を高めてあげることで、音の伝わりを防ぐという対策になります。最も大掛かりな工事となるので、他の方法よりは費用がかかり、15~25万円程度が相場でしょう。なお、フローリングに遮音フローリングなどを採用するとさらに費用がかかります。

床・天井の防音工事については、騒音源側か騒音被害を受けている側かでどちらの工事を行うのかが変わります。騒音源側は、階下への音漏れを防止しなければいけないわけですので、床の防音工事を行う必要があります。逆に、上階からの音に悩んでいる場合は、天井の防音工事で音の伝わりを防ぎます。

防音室を作る

最後は防音室を作る防音工事です。管理規約などで、楽器の演奏が禁止されておらず、大掛かりなリフォーム工事が認められている場合、マンションなどでも問題なく防音室を作ることが可能です。

なお、自宅に防音室を用意する方法にも、防音工事により防音室を作る場合と、ユニット型防音室を設置するという2つの方法が考えられます。

  • ユニット型防音室を置く
    大手楽器メーカーのヤマハやカワイは、楽器演奏に耐えられるレベルの高性能なユニット型防音室を販売しています。これは、防音性の高いプレハブ小屋を部屋の中に設置するといった方法で実現します。最も小さなタイプでは、1畳以下の物もありますので、本格的な工事よりも安価に防音室が作れると言われています。ユニット型防音室の費用は、60~200万円程度が相場です。防音室の大きさや性能によって費用が変わります。
  • 防音工事で防音室を作る
    これは、既存の部屋に防音工事を施すことで防音室を実現する方法です。楽器演奏が可能なレベルの高性能な防音室にする場合、部屋の中にもう一つの部屋を作るといった感じの施工になります。防音工事にかかる費用は、部屋の広さや用途によって大きく変わります。例えば、6畳程度の部屋をピアノ用防音室にしたいと考える場合、200万円程度が相場ですが、ドラムなどの打楽器用防音室となると、同じ広さでも500万円程度かかってきます。

まとめ

今回は、マンションなどの集合住宅で防音工事を検討した場合の注意点と、最近よくある防音工事の相談についてご紹介しました。記事内でご紹介したように、集合住宅は、分譲マンションなど、居住者が購入している物件であっても、防音工事のような大掛かりな工事が禁止されている場合があります。また、音による影響が非常に大きいと考えられることから、楽器の演奏やカラオケなどが管理規約で禁止されているケースも珍しくないのです。こういった物件の場合、防音工事をしたくてもルール違反になってしまうため工事を行うことができません。

ただ、マンションの管理規約などでは、禁止する工事の種類を明確に記載しているわけではありませんし、管理組合や管理会社と交渉することで防音工事が認められるケースも意外に多いです。防音工事の匠では、お客様に代わって管理会社などと防音工事の実行に関して交渉することも可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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