ピアノ用防音室の注意点!グランドピアノとアップライトピアノでの違い
サンテレビ「アサスマ! 」で防音工事の匠が紹介されました!
自宅でピアノの演奏を考えている場合、「防音対策を施さないと近所迷惑にならないかな?」「防音対策が必要と聞いたけど具体的に何をすれば良いの?」と言ったことに疑問を感じる人が多いと言われています。
特に、マンションなどの集合住宅で生活する方が増えている昨今では、ピアノの音色ではなく演奏に伴う振動音によってトラブルに発展することが増えていると言われているため、どのような対策を施せば良いのかで悩んでしまう人が多いのです。ピアノの防音は、音色が広範囲に広がっていかないようにするため、空気伝搬音への対策が必要になるのはもちろん、演奏に伴う振動音が拡散しないように固体伝搬音への対策も非常に重要です。ピアノを演奏する際には、鍵盤をたたく際の打鍵音やペダルを踏むときの衝撃音が生じます。また、ピアノは、響板を中心に、楽器全体が振動して音を出しているという特性上、床に接しているピアノの脚部から振動が伝わり、階下に迷惑をかけてしまうことがあります。
そこで、集合住宅などでピアノの演奏を実施する際には、しっかりとした防音室を作る必要があるとされているのです。ピアノ用の防音室は、単に演奏音を漏れないようにすれば良いだけではないので、壁を分厚くすれば良いなど、単純な方法ではトラブル回避には不十分です。そこでこの記事では、ピアノの防音室について、注意しておきたいポイントをご紹介します。
ピアノ防音の基本とグランド・アップライトでの違い
それではまず、ピアノ防音の基本とグランドピアノとアップライトピアノの防音の違いについて解説します。
ピアノ防音の基本
ピアノの防音対策と聞いたときには、演奏音が外に漏れないようにすれば良いと考える方が多いと思います。ピアノの音の大きさは、約80~110dB(デシベル)程度とされていて、これは地下鉄の車内やガード下に匹敵するレベルの音量となるため、何の対策もなさずに演奏すると、近隣に迷惑をかけてしまう可能性が高くなるのです。ちなみに、ピアノの音量については、演奏者の腕前などによって大きさが変わります。例えば、ピアノにまだ慣れていないお子様であれば、90dB程度の音量とされているのですが、大人がフォルテシモで弾くと100dBを優に超える音量になるとされています。
こういったことから、ピアノの防音に関しては、演奏音への対策が必要と考えられ、主に空気伝搬音への対処が検討されます。しかし、冒頭でご紹介した通り、ピアノは空気伝搬音だけでなく、固体伝搬音への対策が非常に重要であることを忘れないようにしましょう。以下に、ピアノ防音の基本をご紹介するので、ぜひ頭に入れておきましょう。
- ・空気伝搬音への対策
これは、人の耳に届く「音色」そのものへの対策です。音は、空気の振動で広がっていくため、窓やドアの隙間から外に漏れていきます。そのため、ピアノ用の防音室では、気密性の高い防音ドアや二重サッシを採用することで、音漏れを防ぎます。また、壁部分に関しても、しっかりとした構造の遮音壁を作り、音を封じ込めます。 - ・固体伝搬音への対策
上でもご紹介しているように、ピアノは響板を中心に、楽器全体が振動して音を出しています。そのため、ピアノの脚を通じて、床に振動音が伝わるのです。また、ペダルを踏む際の「ドスン」や「ガタゴト」といった衝撃音が床面に伝わると、近隣の方に迷惑をかけてしまいます。そのため、ピアノ用の防音室は、こういった振動音をシャットアウトするため、床部分の対策が必要不可欠です。
上記のように、ピアノ用の防音室は、空気伝搬音だけでなく、固体伝搬音への対策も必要不可欠です。実際に、マンションなどの集合住宅では、ピアノの音色を原因として両隣の住人とトラブルになるケースよりも、階下の方と振動音でトラブルになるケースの方が多いとされています。
グランドピアノとアップライトピアノでの防音違い
アコースティックピアノでも、グランドピアノとアップライトピアノに分けることができます。一般の方からすると、どちらも美しい音色が特徴の「ピアノ」という扱いとなるのですが、実は防音目線で考えると、大きな違いが存在するのです。
防音対策を失敗しないためには、グランドピアノとアップライトピアノそれぞれの特徴を理解したうえで、適切な対策を施さなければいけないので、以下の点についてはおさえておきましょう。
- ・アップライトピアノについて
まずはアップライトピアノについてです。このタイプは、響板が背面にあり垂直になっているのが特徴です。つまり、ピアノの演奏音に関しては、ピアノ本体の背中側から出るのです。壁に面してピアノを設置した場合、音は壁に向かって直接放射される仕組みになっています。そのため、音に配慮する必要がある境界壁に面してピアノを設置すると、演奏音がお隣の部屋にダイレクトに伝わってしまう可能性があるのです。アップライトピアノの特徴を掴んでおけば、壁に面して設置する場合でも、少し距離を開けて設置する、背面側に防音パネルを設置するといった対策が必要ということが分かるはずです。 - ・グランドピアノについて
一方、グランドピアノの響板は、水平に張られています。そのため、演奏によって生じる音色は、響板を振動させて上下(天井と床)に向かって広がっていくのです。特に、床に向かう音抜けは強烈なので、防音対策のことを考えた時には、床の遮音・防振対策が非常に重要になると考えてください。なお、ピアノの大屋根(蓋)を開けて演奏する場合は、高い天井で広い空間容積を確保しておいた方が、音が詰まることなく、豊かな響きを実現できます。
このように、グランドピアノとアップライトピアノでは、音が出る方向が異なるため、防音対策で強化しなければならないポイントが変わるのです。
ピアノ防音室のポイント
それでは、これから自宅にピアノ防音室を用意したいと考えている方に向け、おさえておきたいポイントについて解説します。
ピアノの重量に耐えられる強度が必要
ピアノの特徴としては、他の楽器と比較して、非常に重量があるということがあげられます。アップライトピアノでも、200kg~250kg程度の重量がありますし、グランドピアノになると300kgを優に超えるような重さになるのです。
一般住宅においては、床の積載荷重が建築基準法によって定められていて、1㎡当たり180kgまでと定められています。ピアノは、先ほど紹介した重量を3本もしくは4本の脚で支える構造となっているため、点荷重が非常に大きくなるという特徴があるのです。
したがって、築年数が経過した木造住宅や古いマンションなどにアコースティックピアノを設置する場合、床を補強する工事が求められるケースもあるので、その辺りも注意しなければいけません。
ピアノの操作によって生じる音について
ピアノの演奏による音については、単純な演奏音だけでなく、ピアノを操作する時に生じる音があります。例えば、鍵盤を叩く際の「カタカタ」と言った音や、ペダルを踏むときの「ドスン」と言った振動音があり、これらが階下に響いてしまうのです。
そのため、ピアノの防音対策では、これらの振動音を防ぐために、以下のような対策が必要になります。
- ・インシュレーター
インシュレーターは、ピアノの脚を受ける為の器のような物です。インシュレーターを設置しておけば、地震などがあった際も、揺れでピアノが移動することを防止することができるほか、ピアノの脚から床面に振動が伝わらないようにすることができるようになるのです。振動対策としてインシュレーターを使用する場合、ゴム製のものを選ぶだけなど、非常に簡易的な対策で振動をカットできる点が魅力です。ただ、これだけでピアノの振動音を完全に防ぐことができるわけではない点に注意しなければいけません。 - ・防振ステージ
これはピアノ架台とも呼ばれます。ピアノの下に設置するアイテムで、床の上に特殊な防振ゴムを設置して、その上にパネルを敷いてピアノを配置するというものです。これにより、専門業者が作る浮き床のような構造を作ることができるようになるため、ピアノ本体からの振動が床面に伝わりにくくなるのです。 - ・浮き床構造
これは、ピアノ用の本格的な防音室を作る際に採用される構造です。防音室の床を建物から浮かせ、空気層や防振ゴムによって絶縁するという工法となります。ピアノのほか、ドラムなどのパーカッションを演奏する防音室でも、床への振動をシャットアウトするために採用されます。これにより、階下への振動音の伝わりを防止することができます。
ピアノは、空気伝搬音だけでなく、固体伝搬音も生じる楽器で、マンションなどの集合住宅では、固体伝搬音の対策がより重要とされています。したがって、上記のような方法を採用して、床への振動音の伝わりを防ぐ必要があります。
ピアノの設置はメンテナンスのことも考慮する
防音室を作り、ピアノを設置する際には、防音のことばかりが注目されてしまい、メンテナンスについて見落としてしまう人がいます。ピアノは、定期的な調律など、メンテナンスが必要不可欠な楽器なので、設置する際にはメンテナンスのしやすさのことも考慮しておく必要があるのです。
防音室は、広くなるほど実現するための費用がかかってしまうため、コストを抑える目的でギリギリのスペースで設計する方がいます。しかしこの場合、実際にピアノを設置してみると、調律するためのスぺースが確保されておらず、将来的に困ってしまう…ということになるのです。
ピアノの調律は、グランドピアノであればピアノの湾曲している側やアクション(内部機構)を引き出すためのスペースが必要になります。アップライトピアノでも、背面の外装パネルを外して作業しなければならないケースが考えられるため、防音室を作る際には、ピアノが置けるだけでなく、調律師が作業しやすいと感じるだけのスペースを確保しておく必要があるのです。
一般的には、ピアノの周りに、人が動けるだけのスペースとして60cm程度の間隔を空けておく必要があるとされています。
まとめ
今回は、ピアノ用の防音室を作る際の注意点などについて解説しました。
ピアノの防音室と聞くと、演奏音が外に漏れていかないように対策を施せば良いと考えられがちですが、そうではないのです。ピアノは、響板を中心に、ピアノ全体が振動して音を出す楽器なので、振動音が必ず生じるのです。また、演奏するための操作に関しても、固体伝搬音が拡散してしまうことになり、近隣の方とのトラブルに発展する可能性があるのです。実際に、マンションなどの集合住宅では、演奏音でトラブルになるケースよりも、ペダルを踏むときの衝撃音などがうるさいと苦情が出るケースの方が多いと言われています。
記事内では、ピアノ用の防音室を作る際の注意点をご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。なお、現地調査に来た防音工事業者が「ピアノは固体伝搬音の対策はいらない!」などといってくるようであれば、その業者はやめておきましょう。楽器や防音に関する知識がない業者に相談すると、まともな防音室が出来上がりませんよ!