新築一戸建てなら静かな生活が実現?実は、戸建て住宅でも防音は考えておいた方が良い!
今回は、新築一戸建てを購入しようとお考えの方に向け、戸建て住宅で考えておきたい防音対策についてご紹介していきます。
近隣住民との騒音トラブル…と聞くと、アパートやマンションなどの集合住宅で発生するもので、戸建て住宅であれば、そこまで騒音に悩まされることなどないと考えている方が多いです。特に、近年の騒音トラブルは、悪意を持って故意に大きな音を生じさせるといった感じではなく、誰もが日常生活の中で生じさせてしまうような生活音が原因となる場合が多いです。例えば、マンションなどで上の階に住む人の足音でトラブルになる…とか、ご近所さんが飼っている犬が吠えてうるさい、掃除機や洗濯機の音でトラブルに…なんて物が多く、こういった騒音トラブルであれば、戸建ては関係ないと考えてしまうのです。
最初に言っておきますが、戸建てを購入すれば「静かで快適な生活空間になる!」とお考えなら、少し甘いと思っておいた方が良いですよ。というのも、近年では、都市部に建てられる戸建住宅は、土地価格の問題などから狭い土地にぎゅうぎゅう詰めに建てられており、お隣の家との距離が数十cmしかない…なんてことも珍しくないのです。そのため、深夜にトイレを流す音で騒音トラブルになってしまった…なんて信じられないような話も存在しているのです。
そこでこの記事では、戸建てを購入する前に知っておきたい、防音に関する基礎知識をご紹介していきます。
防音目線で新築を選ぶ!どこに注目すれば良いの?
それでは、新築戸建て住宅の購入を検討している方に向け、防音目線で家を選ぶときにおさえておきたい基礎知識をご紹介していきましょう。以下で紹介するポイントに関しては、注文住宅でも建売を購入する方でも関係しますので、ぜひ頭に入れておきましょう。
高気密・高断熱に注目する!
近年では、高気密・高断熱の家が注目されています。『高気密・高断熱』は、室内の気温が外気温の影響を受けにくくなり、エアコンなどに頼らなくても快適な住空間を維持しやすくなることが最大のメリットと捉えられています。そしてこれは事実です。
しかし、高気密・高断熱の家には、これ以外にも「防音性能が高い家になる」というメリットがあるのです。実は、高気密・高断熱の家は、外からの音を気密性の高い外壁で遮ることができ、さらに跳ね返しきれなかった音も壁の中の断熱材が吸収してくれることから、非常に優れた防音性能を発揮することができます。もちろん、これは室内から外に漏れ出ていく音に対しても有効ですので、自分たちが生じさせる音で、近隣住民に迷惑をかけてしまう…ということを防ぐことにもつながります。
近年では、家と家との距離が非常に近くなっていることから、日常生活上、必ず生じてしまう生活音が原因となる騒音トラブルが戸建住宅でも発生しています。したがって、隣家との距離が近い立地の住宅の場合は、気密性と断熱性の高さに注目するのがオススメです。
建物構造に注目する
新築ならではの防音目線の対策としては、より防音性が高い建築構造の家を選ぶというものがあります。一般的に、日本国内の戸建て住宅は、木造建築が多いのですが、防音性能だけを考えると、RC造やSRC造といった建物構造の方が有利です。これらの構造は、何本もの鉄の骨組みにコンクリートを流し込んで家を作っていきますので、密度が非常に高く、高い防音性能を得られるのです。
日本国内で木造住宅が多いのは、高温多湿な気候ということもあり、「できるだけ通気性を良くする」という点が注目されたからです。そのため、日本国内で古くから作られている木造住宅は、通気性が良く湿気による家の劣化を防いでくれるというのが大きな特徴だと言えるのです。ただし、この構造は音を通しやすくなってしまうので、遮音性の面で考えると、RC造やSRC造と比較すると劣ってしまう訳です。
なお、RC造やSRC造の方が建築コストが高くなってしまう…という欠点がありますので、予算的な問題で木造を選ぶという場合、高気密・高断熱に注目したうえで、家具の配置などで対策を考えると良いでしょう。
間取りや設備の配置に注意
意外と見落とされがちで、住み始めてから後悔してしまう方が多いのが間取りや設備の配置です。例えば、自宅内で発生する騒音に関しては、家族が多くの長い時間を過ごすことになるリビングの真上に子供部屋を作って後悔してしまう…なんて方が多いです。このポイントに関しては、リビングでゆっくりしている時に、上階の子供部屋で騒がしくされてしまうと、ドタドタという音が響いてしまい、家庭内の騒音に悩まされてしまう…なんことになりかねません。
また、寝室やリビングの近くにトイレや浴室、洗濯機置き場などを配置してしまうと、ライフスタイルの違いからトイレを流す音で起こされてしまう…なんて心配があります。この部分に関しては、お隣さんの家の間取りにも注意しておいた方が良いです。例えば、お隣さんの寝室とトイレが隣り合っていて、深夜に水を流す音で騒音トラブルになった…という事例も存在します。
他には、エアコンの室外機やエコキュートなど、住宅設備の設置場所も注意しましょう。エアコンやエコキュートは、稼働時に振動してしまう設備で、低周波音が響いてしまうことになります。そして、隣家の寝室やリビングの近くにこれらの設備を設置してしまうと、稼働音がうるさい…とクレームを入れられてしまう恐れがあるのです。特に、エコキュートは、深夜の電気代が下がる料金プランを活用して光熱費削減を目指す設備ですので、夜中に稼働することで睡眠障害になってしまった…と言った問題が全国で発生していると言われています。
防音性の高い建具を選ぶ
この部分も、新築ならではの対策と言えます。特に、注文住宅で戸建てを建てる場合、家の細部まで住人の希望を反映させることが可能です。注文住宅は、建売住宅よりも高額になるのですが、細部まで自分たちの希望通りの家を作ることができるのが大きなメリットになります。
したがって、家づくりの際に、窓やドアなどの建具に関して、可能な限り防音性の高いものを選択すると良いでしょう。例えば、同じ窓ガラスでも、遮音性能が高いものが存在していますし、窓シャッターなどを取り付けておけば、より静かな住環境を目指すことができると思います。
住宅周りの建具に関しては、「どれも一緒だからできるだけ安いものを…」と考えてしまう方がいますが、きちんと目的をもって選ぶことで、実際に住み始めた時の快適性が大きく変わると考えておきしょう。
小さなお子様がいるご家庭は畳が意外にオススメ
最後は、若い人であればあまり導入するつもりがないという方が多い『畳』についてです。現在では、ほとんどの住宅で床材はフローリングが採用されており、畳などは管理の面倒さもありますし、導入したくないと考える方の方が多いように思えます。
ただし、騒音対策の面から考えた場合、畳を部分的に敷いておくのはかなりオススメできます。そもそも、畳の原材料となるイグサの繊維には吸音性がありますので、家庭で生じる生活音騒音を軽減してくれるという効果が期待できます。また、クッション性がありますので、お子様が多少騒いだとしても、大きな音が生じないという点も大きな魅力になります。
さらに、畳は独特の香りがありますし、そのまま横になって休むことができまるという点も非常に魅力的なアイテムだと考えられます。注文住宅などでは、小上がりの小さな和室を作っておき、そこを子供の遊び場とするといった使い方をする方も増えていると言われています。
まとめ
今回は、新築戸建て住宅を購入する際に、注意しておきたい防音目線でのポイントをご紹介してきました。この記事でご紹介したように、新築住宅でも騒音トラブルが増えてきていると言われており、新築を建てる時には、防音性能についても考えておくべきだと言われるようになっています。一昔前の戸建て住宅であれば、庭付き一戸建てというのが一般的で、多少大きな音を生じさせたとしても、騒音トラブルに発展するようなことはありませんでした。
しかし、近年の戸建て住宅というものは、お隣の家との距離が非常に近くなっていることから、ちょっとした生活音を原因とする騒音トラブルが急増していると言われています。実際に、エコキュートの稼働音などについては、裁判沙汰にまで発展しており、損害賠償が認められたケースもあり、戸建てだから騒音の心配がないとは言えないような時代になっています。
戸建て住宅を購入する時には、外観デザインや間取りにこだわるのは当然ですが、防音性能についても注目して家選びを進めていくのがオススメですよ。