断熱材もカビてしまうことがある!床下断熱を参考に防音室の弱点をご紹介!

防音室を作る時には、壁や天井の吸音性を確保するため、断熱材を敷き詰めるということが多いです。断熱材に関しては、家を建てる時にも断熱性を高めるために採用される建材ですし、これを敷き詰めておけば、防音効果が得られるなら「いくらでも詰め込んでほしい!」と考えてしまうかもしれませんね。特に、リフォーム業界では、断熱性を高めて結露を発生させないことで、住宅のカビ対策をするといった営業トークが使われることもあり、断熱材はカビの対策もできると考えてしまう方が多いです。

もしあなたが、このような考えを持っていれば少し注意が必要です。というのも、断熱材が結露対策として用いられるというのは事実なのですが、断熱材があれば家にカビが生えないというのは間違った認識なのです。それどころか、条件次第では断熱材自体にカビが生えてしまい、目に見えない位置でどんどん家の劣化が進んでしまっている…なんてことも少なくないのです。特に、最近では、防音に関する知識があまりない業者が「壁に断熱材を隙間なく詰めれば良い!」と言った偏った知識のもと施工していることから、壁の中がカビだらけになってしまっていた…なんてことが増えているのです。そこでこの記事では、意外と知られていない、断熱材とカビの関係を誰でもわかりやすく床下断熱を参考にして解説します。

床下のカビリスクについて

まずは、床下のカビのリスクについて、何が原因でカビが発生してしまうのかを簡単にご紹介しておきましょう。

①床下の湿気

ほとんどの方がイメージする通り、カビ被害の起きやすさに最も大きな影響を与えるのが『湿気』です。湿気が高いとカビが生えやすくなるという話は皆さんも耳にしたことがあると思います。なお、床下の湿気の高さは、以下のような要因で決まります。

  • 床下の構造
    床下の構造は、建物のカビ被害に大きな影響を与えます。床下が土壌であれば湿気がこもりやすく、カビが発生しやすい環境と言えます。
  • 立地条件
    あまり意識するる部分ではありませんが、立地は湿気に大きな影響を与えます。例えば、地下水位が高い場所、敷地が周囲の建物よりも低い場所、もともと湿地だったなどという場合、湿気が溜まりやすい家と言えます。
  • 通気口や基礎パッキン
    床下に湿気がこもらないように、通気口や基礎パッキンが備え付けられています。しかし、せっかく通気口があっても、その周辺に草が生い茂っている…、物を置いて塞いでいるといった状況だと、空気が流れず湿気がこもってしまうのです。
  • 築年数
    建物に施工されているコンクリートは、湿気対策に有効です。しかし、築年数がまだ新しい新築の建物の場合、コンクリート自体がまだ水を大量に含んでいて、それを吐き出している時期ですので、築1年目程度までは自宅のコンクリートが湿気の原因になってしまうことがあります。

②断熱材の素材

断熱材にさまざまな種類が存在しており、中には、表面に水分が付着することで、カビが発生してしまいやすいものも存在します。例えば、水分を通しにくい押出法ポリスチレンフォームと比較すれば、グラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材は水を含みやすくなります。そして、繊維と繊維の間に水分が入り込みますので、一度入るとなかなか水分が抜けなくなってしまうのです。
したがって、こういったタイプは、表面に継続的に水分が付着するといった状態になると、断熱材自体がカビの温床になってしまう場合があります。

③季節

カビが発生しやすい季節があるということは皆さんもご存知ですよね。一般的には梅雨時期がカビが増える時期と考えられています。
床下に関しては、真夏の暑い日でも床下に結露が発生してしまいますので、これにより高湿状態が作られてしまい、カビが繁殖してしまう…なんてことが多くなります。これは、床下の通気口から、温かい外気が入ってきて、床下のひんやりした空気に冷やされて結露が生じるからです。そして床下断熱材などがカビてしまう訳です。
ちなみには、一般的にはカビの心配はあまりないと考えられている冬場でも、室内の暖かい空気が壁の中に入り込んで、冷やされることで、壁内部で結露が起こってカビが発生してしまう…なんてことがあります。防音室の壁がカビてしまうのは、主にこれが原因です。

床下のカビを防ぐには?

それでは、床下のカビを防ぐ為にはどういった対策を行えば良いのでしょうか?築年数が経過した家などでは、室内にカビが生えているような場所がないにもかかわらず、なぜカビ臭さを感じてしまう…なんてことが多くなってきます。この場合、高確率で床下にカビが繁殖していると考えられます。

床下のカビ対策は、防音室のカビ対策にもつながりますので以下の対策を頭に入れておきましょう。

①換気を悪くしない

床下でカビが繁殖してしまう…というのは、通気口などがふさがれてしまい、換気ができなくなっていることで、湿気がこもってしまう…というのが大きな原因です。一般的に、断熱材は結露を防いで、室内のカビの繁殖を防ぐと言われているのですが、断熱材にカビが生えてしまえば本末転倒もいいところですよね。
床下の状態などほとんど気にすることがないと思いますが、きちんと空気が流れていくように、通気口を塞がないようにしてください。例えば、通気口の前に荷物を置かない、通気口の前に雑草などが生えていれば、刈り取ってしまいましょう。可能であれば、除草シートなどで新しく草が生えてくるのを防ぐのがオススメです。

②強制的に除湿する

建物の築年数や立地条件などにより、床下に湿気がこもりやすくなっているという建物もあります。そのような場合、通気口を開けておいて通風ができるようにしておくだけでは換気が間に合わないことも考えられます。

したがってこのような場合には、台所や洗面所などに設置されている点検口から、床下に乾燥材などをまいておくという対策もオススメです。ただし、床下が土壌むき出しになっている建物の場合、乾燥材を多少まいてもあまり意味がありませんし、業者に依頼して防湿シートなどを敷いて地面からの湿気を抑えるのがオススメです。

他には、床下換気扇を設置して、強制的に床下の空気を循環させ、湿気がこもらないようにするという対策が有効です。床下の換気については、床下と外の空気の入れ替えを行う「給排気型」とその場の空気の流れを良くする「拡散型」がありますので、床下の構造に適したものを設置すると良いでしょう。

防音室の壁が床下のような状況になっている

ここまでは、意外に見落とされがちな床下のカビ被害の原因と対策をご紹介してきました。実は、建物の床下は湿気がこもりやすくなってしまい、建物構造や立地条件によっては、数年で断熱材がカビだらけになってしまう…なんて被害が生じてしまうのです。そして、住人さんは床下の断熱材など目にできませんし、そのような事態に全く気付きことができず、建物の寿命が静かに短くなって行ってしまうのが実情です。

そして、近年問題となっているのが、知識のない業者が行う防音室の工事で、防音室の壁内に設置される断熱材が床下の断熱材と同じようにカビだらけになってしまっているということです。防音室を作る際には、吸音材としてグラスウールやロックウールが壁内に設置されるのですが、当然もとは断熱材ですので、断熱性が高くなります。そして、冬場になると、室温と壁内の温度の違いで結露が生じてしまい、壁内部の湿度がどんどん高くなってしまう訳です。しかし、壁ですので換気することもできませんし、住人さんは目に見える部分ではないことから、断熱材の状態すら気付くことができません。

その結果、数百万円かけて作った防音室なのに、数年で断熱材がダメになり本来の防音効果を発揮しなくなってしまう訳です。実際に、弊社に頂いたお問い合わせの中には3年程度前に施工した防音室で、壁を開けてみると断熱材がカビでボロボロになっていた…なんて事例が増えています。

防音工事の匠では、防音室の壁に換気口を設置し、壁内の換気を行える施工法を開発しています。弊社が行う防音室であれば、壁内部の断熱材が湿気でカビてしまう…なんてことがなくなりますので、防音室としての寿命も格段に長くなります。また、壁内のカビを放置してしまうと、防音室だけの問題ではなく、家全体にカビが回ってしまうことになり、建物の寿命を縮めてしまうことも考えられます。他にも、家族の健康被害の可能性やアレルギーの発症など、良い事は何もありませんので、防音室を作る時には、防音性能だけでなく、こういった部分にも注意しておきましょう。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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ピアノ防音室

実際に防音工事の匠が施工した防音室で防音性能を体験することで、当社の防音室の機能・音響などを体感していただけます。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建物にショールームがある会社さんが多い中、特に施工後にショールームと性能や音の反響がちがうといったトラブルが戸建てのお客様に多い業界ですが、町家再生事業として難易度の高い防音室を防音性能が最も出にくいとされる木造町家のショールームをご用意いたしました。

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