カラオケスナックや飲食店など、テナントの防音工事にかかる大まかな費用と相談の流れ
今回は、カラオケなどの設備を設置するスナックやカラオケ喫茶、深夜までお客様が出入りすることになる飲食店など、テナントの防音工事について解説していきます。
スナックやカラオケ喫茶、居酒屋などについて、コロナ問題も落ち着いてきた現在では、深夜まで営業する以前の姿が戻ってきています。ただ、こういったテナントについて、夜間の営業を行う場合には、周囲に音で迷惑をかけないようにしなければいけません。例えば、テナントビルに入居する飲食店などであれば、お客様の会話による騒音や足音、イスを引く音などを原因に階下のテナントと騒音トラブルが発生するケースが少なくありません。さらに、スナックやカラオケ喫茶になると、大きな音が生じるカラオケ設備を導入する割に、防音の面にあまり力を入れていない店舗が多く、店の前を通るとカラオケの音が筒抜けになっている…なんてことも珍しくありません。そして、そのような場合、近隣住民からクレームが入り、防音工事などの対策を行わなければ営業ができなくなる…なんて事態に発展することもあるのです。
そこでこの記事では、これから飲食店の開業を検討している方に向け、テナントの防音工事にどれぐらいの費用がかかるのか、また防音工事の相談の流れなどを解説します。
そもそもテナントの防音工事は必要なのか?
防音工事と聞くと、ピアノやドラムなど、大きな音が生じる楽器を自宅で演奏する方が行うもので、テナントの場合、ライブハウスやカラオケボックスなど、大きな音を長時間鳴らす可能性がある店舗が特別に行うものと考えている方が多いです。そのため、一般的な飲食店や、カラオケを使用する場合もあるけど、短時間で収まるようなスナックの場合、高いコストをかけてまで防音工事など行いたくないと考えてしまうものです。
しかし、特別大きな音を生じさせるわけではない一般的な飲食店などのテナントでも、騒音に関するトラブルは起こり得るのです。例えば、以下のような事が原因となる騒音トラブルが考えられます。
- ・店内のお客様の会話の声が外で響いて、周辺住民から苦情が出る
- ・イスを引く音、足音などで階下の店舗から苦情が来る
- ・カラオケの音が外に漏れて苦情が来る
- ・室外機や換気扇などの音がうるさいと苦情が来る
このように、飲食店などのテナントでも、さまざまな音が原因となるトラブルが考えられます。特に注意が必要なのは、今まで音に関する苦情は何もなかったとしても、周囲のテナントが入れ替わった、住宅が増えたなど、周辺環境が変わったことで、苦情やトラブルが新たに発生するケースもあるようです。このような場合「今まで何も言われなかったのに…」という言い訳は通用せず、やはり騒音主側に何らかの対応が求められるはずです。
また、お店を長く営業していけば、さまざまな設備の経年劣化が進みます。そして、エアコンや給排水設備などは、劣化による不具合から騒音を発生させるようになることもあるので注意しましょう。このように、テナントは、さまざまな音が原因となるトラブルが考えられるので、防音工事が必要になる場面が自分にも訪れるかもしれないと考えておきましょう。
テナントの防音工事、施工までの流れ
前項でご紹介したように、飲食店などの一般的なテナントは、さまざまな音の問題を抱える危険があります。したがって、本来は、お店を開業する前に音の問題を抱えないレベルの防音工事を行っておいた方が良いでしょう。
ここでは、お店を開業することになり、周辺環境や業種の関係で防音工事が必要と考えた時、どのような流れで防音工事の施工まで進むのかについて簡単にその流れをご紹介します。
STEP1 防音工事業者を探す
まずは、防音工事を請け負ってくれる防音工事業者を探す必要があります。飲食店を開業する時には、お店のコンセプトに合わせて複雑な店内デザインを設計するケースもあります。そのため、飲食業界などでは、店舗設計を専門とする内装業者がありますので、そういった会社に相談する方が多いと思います。
ただ、店舗工事を専門とする業者は、内装デザインや厨房機器などについての知識は詳しいのですが、こと防音工事についてはほとんどの業者が素人だと考えた方が良いです。実際に、飲食店様からのお問い合わせでは、内装工事業者に言われた通り、防音仕様の建材を使ったのにクレームが…と言った相談が多く、現地調査を行ってみると、単に防音仕様のドアなどを設置しているだけで、その他の防音対策が何も行われていない…などと言ったケースがほとんどです。
防音工事は、店舗の内装工事とは全く別物の工事となりますので、防音部分に関しては専門業者に依頼するのがオススメです。多くの防音工事業者は、内装デザインに関する知識を持っていたり、協力業者を持っていますので、防音の必要性があるテナント工事は、防音工事会社に相談するのがオススメです。なお、物件がまだ決まっていない状況から相談すれば、防音工事費などを抑えられる物件探しをアドバイスしてもらうことも可能です。
STEP2 希望や条件を確認する
防音工事業者が決まれば、具体的な打ち合わせに入ります。どんな音を使用するのか、どの程度の防音が必要なのかといったテナント側の希望を業者にぶつけてください。
テナント側の希望を伝える際には、コストをおさえようと考え、生じさせる音を小さめに説明する方がいるのですがこれはNGです。最初に、最大限の防音性能を伝えておき、それを実現するための手法をしっかりと作ってもらわなければ、コストをかけたのに苦情が出る…と言った最悪な結果を招きます。防音工事は、必要とする防音レベルによって、工事内容やコストが変わりますので、最初に最大限の防音レベルを伝え、そこから予算と調整していくのがオススメです。そうすれば、コストを下げるための対策などについて、防音工事業者からアドバイスを受けることができます。
STEP3 現場や周辺環境の調査
「どんな音を使用するのか、どの程度の防音が必要なのか」がわかれば、防音工事を施す現場の詳細を調査します。まず、テナントの構造確認が必要です。例えば、鉄筋コンクリート造のテナントでも、1階の店舗と2階以上の店舗では、必要な防音対策が変わります。また、スナックなどであれば、木造の建物に出店するケースも考えられます。
さらに、テナントの構造だけでなく、お店を開業する場所の周辺環境について、どの程度の環境騒音があるのかを調査します。防音工事は、周辺環境が静かな場合と、騒音がある場合では必要な防音レベルが変わります。例えば、騒々しい飲み屋街に出店する飲食店の場合、周囲がうるさい分、多少の音漏れがあっても苦情に繋がりません。逆に、住宅街に出店する場合、夜間の環境騒音は小さくなるのしっかりと防音を行わなければ、騒音トラブルの可能性があります。
STEP4 工事内容や設計、仕様素材の選定とお見積り
詳細な現地調査が完了すれば、お客様の要望にかなう防音工事の内容を設計し、お見積りをします。
防音工事の見積りは、テナントの広さ、建物構造、工事内容、仕様、素材などによって大きく異なります。なお、不明点などがあれば、この段階で理解できるまできちんと確認することも大切です。
STEP5 防音工事開始
STEP4で提出された工事内容・見積り金額に納得できれば、その業者と契約し、施工を開始します。なお、防音工事にかかる期間は工事内容によって異なります。
テナントの防音工事。大まかな費用目安とは
それでは最後に、テナントの防音工事について、いくつかの業種に分けて防音工事にかかる大まかな費用をご紹介します。一口にテナントと言っても、大きな音を出すわけではない一般の飲食店であれば、防音工事にそこまで高額な費用がかかるわけではありません。
しかし、ライブハウスやダンススタジオなど、非常に大きな音が生じるようなテナントの場合、かなりのコストを覚悟しておかなければいけません。防音工事は、壁や床、天井に防音材を設置したり、ドアや窓などについては防音性能をもつ建具を採用するなど、さまざまな対策が行われます。以下に、それぞれの業種について、大まかな防音工事費用をご紹介します。
- ・2階以上に出店する飲食店:足音や椅子を引く音の対策など 50万円~
- ・カラオケ設備を導入するスナックなど 200万円~
- ・ダンススタジオ 500万円~
- ・ライブハウス、レコスタなど 700万円~
なお、防音工事は、工事を施す物件の構造や立地、面積などによってかかる費用が大幅に変わります。現在、お店の出店を計画していて、防音工事を検討している方は、お気軽に防音工事の匠までご連絡ください。