ダンススタジオ用防音室について。

学校教育として『ダンス』が男女ともに必修化されたこともあり、街中にダンススタジオが開設されるのをよく見かけるようになっています。最近では、大きなダンスコンテストがテレビなどで放送されることも増えていますし、学校教育以外でダンスを習い事に選んでいるという方が多くなっているのだと思います。

それでは、これからどこかテナントを借りてダンススタジオを開設しようと思った場合、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?もちろん、最も気になるのは「きちんと集客ができるのだろうか?」というポイントだとは思いますが、実は音や振動が生じてしまうダンススタジオは、その他にも注意しておかなければ近隣住民とのトラブルを抱えてしまうリスクがあるのです。
街中に存在するダンススタジオは、商業ビルの一室を借りて営業するケースが多いのですが、ダンスの練習の際には大きな音で音楽をかける、ダンスの種類によっては飛び跳ねるような動きがあり、階下に振動が伝わってしまうなど、騒音問題が生じてしまう可能性が非常に高いです。実際に、弊社にもダンススタジオの開設を予定しているという方からの問い合わせは非常に多くなっています。

そこでこの記事では、これからダンススタジオの開設を検討している方に向け、どのような防音対策が必要なのかについてご紹介していきます。

ダンススタジオはどんな音の対処が必要?

それではまず、ダンススタジオを営業する場合、どのような音に対処しなければならないのかを考えてみましょう。ダンススタジオは、何らかの音に合わせて振付を行うのが一般的ですし、ダンスの練習の際には、大きな音で音楽をかけています。そのため、「こういった楽曲の音が外に漏れないようにしなければならないのかな?」と考えがちですが、その他にも対処しなければならない音が存在します。

ここでは、ダンススタジオに存在する騒音トラブルの原因をご紹介しておきます。

空気伝播音

ダンススタジオが考慮しなければならない音の一つが『空気伝搬音』と呼ばれるものです。これは、空気中を伝わっていく音のことを指しています。

上述したように、ダンススタジオでレッスンをする場合、何らかの音楽に合わせて振付を行うので、スピーカーから出る空気伝搬音に対する防音対策が必要不可欠です。空気伝搬音に対する防音対策としては、窓の防音対策やドアを防音ドアに交換する、壁を防音仕様の壁に作り替えるなどと言った方法が考えられます。例えば、一般的なテナントのドアは閉めていても隙間が多く生じてしまうので、大きな音で音楽を流すと、ドア部分から他のテナントに音が漏れて行ってしまうのです。防音ドアは、きちんと閉めていれば、パッキンで小さな隙間まで埋める仕様となっているので、ドア部分だけでも30~50dB程度の防音効果を得ることができます。

注意しておきたいのが、ダンススタジオを開設するテナントの周辺環境によって必要な防音対策が変わるという点です。例えば、両隣に他のテナントが入っている場合には、ドアや窓の防音対策だけでなく、他のテナントとの境界壁の防音対策も必要です。これが、他のテナントが隣接していないワンフロアタイプであれば、壁の対策などはそこまで必要ありません。つまり、テナント選びの段階から、防音のことを考慮しておくことが、初期コストを抑えるコツになるということです。

固体伝播音

ダンススタジオを開業する場合、空気伝搬音以上に固体伝搬音に注意しなければいけません。固体伝搬音は、建物の床や壁に振動や衝撃が伝わり、それが音になって聞こえてしまうものを言います。

レッスンするダンスの種類によっては、ステップやジャンプという動作を頻繁に行うことになり、床への振動が非常に多くなってしまう場合があります。マンションやアパートなどの騒音トラブルでは、「上の住人の足音が気になる」と言ったことが原因になる場合が多いのですが、ダンスによる振動はそれ以上の騒音として伝わってしまうことでしょう。
そのため、2階以上にあるテナントを借りてダンススタジオを営業する場合は、ダンスによる振動で階下のテナントから苦情を言われてしまうなんてことがあるのです。固体伝搬音の対策については、下で紹介する床の防音対策が必要不可欠と考えておきましょう。

なお、防音対策については、そもそも周辺環境にどのような音が存在するのかによって大きく異なります。例えば、階下のテナントが静かな学習塾とBGMが流れている飲食店では、前者の方が高性能な対策が必要になり、コストもかかってしまうことになります。したがって、固体伝搬音対策の点からも、最初のテナント選びが重要と考えておきましょう。

ダンススタジオは床の防音対策が重要

ダンススタジオの防音対策では、床の対策が非常に重要になります。ダンスは、音に合わせてステップを踏んだり、ジャンプしたりしますので、床への衝撃が非常に大きく、固体伝搬音によって階下のテナントなどから苦情が来てしまう可能性が高くなるのです。

ここでは、ダンススタジオを開業する際に、おさえておきたい床の防音対策をご紹介しておきます。

防音マットを設置する

最も簡単な床の防音対策が、防音マットを設置するという方法です。これは、特別な工事などは行わず、防音マットを敷くだけですので、コストをあまりかけずに床の振動対策が実現します。

防音マットは、ゴムでできているものもあり、そういったタイプであれば弾力性があることから、ステップやジャンプなどの衝撃を吸収する事が可能です。そのためダンスによって生じる床への衝撃を和らげることができますので、階下に迷惑を掛ける固体伝搬音の発生を抑える効果が得られるのです。ちなみに、防音マットは、内部に適度の空気の層を有しているので、衝撃をしっかりと吸収することで、遮音性と防振性の両方を兼ね備えることができます。床の防音対策としては、ダンススタジオだけでなく、トレーニングジムやボクシングジムなどでも使用される機会が多いです。

ただ、ダンスの種類によっては、防音マットのような素材が動きを阻害してしまうこともあります。そのような場合は、費用をかけてでも下で紹介する対策を行うのがオススメです。

浮遮音構造

ダンスの種類の関係で防音マットでは対処できない、下のテナントが学習塾なので、簡易的な防音ではなく高性能な防音対策が必要という場合、専門業者による本格的な対策が必要です。床の防音対策として有名なのは、浮遮音構造と呼ばれる方法です。

浮遮音構造は、その名称からイメージできるように、床や天井、壁から一定の距離を置いた場所に別の床や天井、壁を設置するなど、部屋の中に一回り小さな部屋を作る方法です、ダンススタジオでは、ステップやジャンプの際に生じた衝撃音が、床や天井、壁を伝わり、階下に音となって聞こえます。
したがって、この振動の伝わりを遮るために、床や天井から浮いた場所に仕切りを設け、固体伝搬音が伝わりにくくするという手段です。

この防音対策は、非常に効果の高い方法ですので、ダンスによる騒音のクレームの心配はほとんどなくなると思います。ただ、工事が非常に複雑ですので、ややコストがかかる点は注意しましょう。

空気音への対策について

ダンススタジオの防音対策では、上で紹介した振動への対処が非常に重要です。ただ、空気音に対して何の対策も必要ないというわけではありません。特に、ヒップホップダンスなど、レッスンのために大音量で楽曲を流すという場合には、きちんと空気音への対策も施さなければいけません。

以下でいくつかの空気音対策をご紹介しておきます。

窓・ドアの防音対策について

まずは、窓とドアの防音対策です。上述したように、通常のドアや窓というのは、換気やスムーズに開閉できるよう、閉めていても隙間が生じるような作りになっています。そして、こういった隙間から音漏れが生じてしまい、苦情に繋がるなんてケースがあるのです。

窓やドア部分の対策としては、防音ドアへの交換や二重窓の採用などが考えられます。ただ、ドアや窓については、共用部分でありますので、どこまでやっていいのかを事前に確認しておかなければいけません。窓やドアそのもの交換できない、二重窓を導入できないなどという場合は、防音カーテンなどで対策を施すしかないでしょう。

壁の防音対策

隣のテナントに他の業種が入っているという場合、壁の防音対策も考えなければいけません。最も有効なのは、既存の壁を一度解体し、内部に吸音材や遮音材を設置して防音壁に作り直すという方法です。ここまでの対策を施しておけば、壁から隣のテナントに音が漏れて苦情になる…なんて心配は少なくなるでしょう。

ただ、本格的な壁の防音工事は、ややコストがかかってしまいますし、管理会社の許可が出ないなんて場合も考えられます。この場合は、壁に吸音パネルなどを設置して、室内での音の反響を抑えるなどと言った対策を行うと良いでしょう。
どちらにしても、一度防音工事の専門業者に見てもらい、必要な対策を提案してもらうと良いでしょう。

まとめ

今回は、近年街中でよく見かけるようになってきたダンススタジオの防音について解説してきました。この記事でご紹介しているように、ダンススタジオを営業する場合、ダンスレッスンのために音楽をかけることや、振り付けの影響で振動音が発生するなど、近隣のテナントに音でかなりの迷惑を掛けてしまう可能性があります。そのため、テナントを借りる時には、しっかりと防音対策を行う事が条件となるケースもあるようです。

なお、ダンススタジオをこれから開設しようと考えている方であれば、テナント選びに注意しましょう。ダンススタジオですから、可能な限り人通りが多く、目立つような場所にしたいと考える方が多いのですが、そのような場所は他の業種のテナントも多く、非常に高性能な防音工事が必要になると考えられます。また、ダンススタジオは、2階以上のテナントではなく、1階部分のテナントを選ぶことで、床の防音対策が容易になりますし、周囲にどういった業種のテナントが入っているのかをきちんと確認することで、開業にかかるコストを大幅に抑えることが可能です。

テナント選びの際に、防音に目を向けない方が多いのですが、ダンススタジオなど、防音対策画確実に求められるような業種の場合、集客だけでなく防音のしやすさにも注目しておくのがオススメです。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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古民家再生ショールーム防音工事の匠はショールームがあります

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鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建物にショールームがある会社さんが多い中、特に施工後にショールームと性能や音の反響がちがうといったトラブルが戸建てのお客様に多い業界ですが、町家再生事業として難易度の高い防音室を防音性能が最も出にくいとされる木造町家のショールームをご用意いたしました。

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