防音工事を依頼するまでの流れと、各工程での注意点について!

近年では、マンションなどの集合住宅は当然として、独立した建物である戸建て住宅においても、夜間の楽器演奏などを想定する場合、防音室を設けるのが一般的となっています。一昔前のように、庭付き一戸建てで各住宅ごとの距離がそれなりに離れているという条件であれば、多少の音漏れなら許容範囲と判断されていたのですが、現在は戸建て住宅でも生活音で騒音トラブルが生じるケースも多くなっており、楽器の演奏などになると、本格的な防音室が必要不可欠になっています。

ただ、防音室を専門業者に依頼するとなると、やはりそれなりのコストと時間がかかってしまうことになりますし、普段あまり関わり合いが無い業者であることから、優良業者を選択するためのポイントなどもイマイチ分からないという点に困ってしまう方が多いです。
そこでこの記事では、防音工事が必要と考えた方が、実際に業者と打ち合わせを進めて契約するまでの流れの中で優良業者か判断するために、各工程での注意点を簡単にご紹介していきます。

防音工事を依頼するまでの流れと各工程のチェックポイント

それでは、「自宅で楽器の演奏を考えている」「ホームシアターの設置を考えている」など、自宅に本格的な防音室を導入しようと考えている方に向けて、業者探しから実際に防音室が出来上がるまでの流れをご紹介していきましょう。現在では、ほとんどの業者がインターネットでの集客に力を入れるようになっていますし、ネットで検索すれば、近くにある防音工事業者のHPがたくさん表示されると思います。それらを確認して、依頼する業者を決めればいいのですが、中には防音工事の専門知識を持っていないような業者が増えていますので、意外に注意しなければならないポイントがたくさんあるのです。

ここでは、防音工事を依頼するまでの各ステップと、その時点での注意点を簡単に解説しておきます。

STEP1 ネット検索、お問い合わせ

防音室を必要とする理由は人それぞれです。一般的には、楽器の演奏やホームシアターの設置などが主な理由ですが、コロナ禍の現在では、テレワークやリモート学習に対応するため、楽器用の防音室ほどではないものの簡易の防音室が欲しいといった問い合わせも増えています。何らかの理由で防音室の必要性を感じた場合、まずはPCやスマートフォンを利用して防音工事業者を探してみましょう。

注意が必要なのは、近年では生活音を防ぐために部分的な防音リフォームの需要が急激に高くなっています。そのため、もともと防音工事を専門としているわけではないリフォーム業者などが、防音工事業者としてネットで集客するようになっています。そして、ネットの情報だけではなかなか「防音工事の専門業者なのか?」が判断できないのです。したがって、この段階では、以下の点に注意しておきましょう。

  • ・1社にだけ問い合わせするのではなく、複数の会社に問い合わせをする
  • ・問い合わせ時の応対を確認。ぶっきらぼう、不親切な対応の業者は、工事に入っても心配
  • ・問い合わせ前に、業者名で検索を!悪い口コミが異常に多ければ注意が必要
  • ・モデルルームがあるか、HPにのせていない実績なども見せてくれるかを確認

防音工事の専門知識を持っているかどうかは、HPを見ただけではわかりません。したがって、少し手間はかかりますが、複数の会社に相談し、対応や提案内容、実際の工事内容とコストを比較検討できるようにしておきましょう。なお、防音室は非常に高額な工事費がかかりますので、お金をかけたらどのようなものができるのか確認するため、防音室の体験ルームなどが用意されているのかも確認しておきましょう。これが無い業者は少し危険です。

STEP2 現地調査(現況のヒアリングと音響測定)

メールでのお問い合わせの場合でも、現地調査に赴く前に、現況のヒアリングや、防音室を作りたい目的などのヒアリングをすることになります。上述したように、防音室を必要とする方でも、「なぜ?」と言う目的は異なりますし、防音室にかけられるご予算なども異なります。したがって、まずは状況を確認していきます。

そして、現場にお伺いして、実際の状況などを確認します。この時には、工事を行う建物だけでなく、周辺の音環境なども測定していき、お客様の状況に応じた遮音プランニングを進めていきます。以下のような業者は注意が必要だと考えてください。

  • ・現地調査もなしにヒアリングだけでプランを出すという業者はNGです
  • ・現地調査で部屋の寸法だけを計測する業者も危険です。

STEP3 お打ち合わせ⇒ご提案

現地調査にて、各種測定を行った後は、お客様とお打ち合わせを行っていきます。防音室を設けようと思った理由や、要望(外に音を出したくない、家族にも迷惑をかけたくないなど)ご予算など、防音工事の施工を行う上で必要なお打ち合わせを進めることになります。防音工事は、単に「音漏れがしないように!」と言う点だけを考えれば良いのではなく、楽器の演奏が苦にならないような音響環境を作る事や、お客様の好みに合った内装デザインに仕上げることなど、注意点がたくさんあるのです。現地調査時にはこういった事を細部まで打ち合わせすることになります。

そして、現地調査時のデータやお客様のご要望から、実際の防音室の提案書と見積書の提出となります。この段階での注意点は以下のような感じです。

  • ・可能であれば、現地調査の前後に業者の防音体験ルームなどに足を運びましょう
  • ・他社の提案書を見せると「うちなら同じ内容で50万円下げれます!」と言うような業者はNGです

防音の専門知識が無い業者が増えている現在、他社の提案書をお客様から見せてもらい、「うちなら同じ内容で30%下げれますよ!」と他社の設計でそのまま工事をしようとする業者が増えているようです。はっきり言っておきますが、このタイプの業者は、自社で音響設計などができない内装業者なのだと判断したほうが良いですよ。「でも、設計書通りにすれば、安く同じものができるのでは?」と考えるかもしれませんがこれも違います。防音室の性能は、目に見えない部分の隙間をきちんと埋めていくように施工しなければならないので、「どこに注意しなければならないか?」を知らない業者が施工をしてしまうと、音漏れ箇所を残したまま施工を完了させてしまい、本来の性能が出ない…なんてことも多いのです。そもそも、他社の設計で工事をしますというのは、専門家としてのプライドもモラルもないという証拠ですので、こういった業者がまともな施工をするわけがありません。最も悪質な場合、目に見えない箇所に使用する材料のグレードを下げられてしまうなんて恐れもあります。

STEP4 ご契約

いくつかの業者の提案を比較し、最も要望や予算に合う業者と契約しましょう。提案書が出てきた段階で、工期などもある程度分かっていますので、契約後は施工をしてもらうだけになります。つまり、ここまでの段階で、きちんと優良業者を選んでおけば、防音工事に失敗するようなことはありません。逆に言えば、防音工事に失敗するケースは、「価格の安さから他社の設計を使うといった業者と契約する」など、業者選びでミスをしているのです。

最終段階で注意すべきポイントは以下のような点です。

  • ・即決を迫ってくる業者は危険
  • ・契約をとるために、意味不明な大幅な値下げをしてくるような業者はNG

防音工事は決して安価な工事ではないので、どうしてもコスト面に着目してしまいがちです。特に、見積りを提出されて「さすがに300万円は予算オーバーなので…」と断ると、突然50万円以上の値引きを提案してくるような業者がいますが、こういった業者は注意が必要です。優良業者であれば、最初に伺った予算内の見積りと、「ここまでかければさらに安全です」と言ったプランを提出する場合が多いのですが、打ち合わせ時に予算を聞いているのにそれをオーバーした見積りだけを提出するようなことは基本ないと考えて構いません。
そして、「予算オーバー」と断った時に、それなら〇万円値下げしますといった対応は、「最初に提出した見積りは何だったのか?」となってしまいますよね。こういった業者は、自社の利益だけを考えている業者ですので、値下げ分を材料のグレードを下げるなどと言った対処をして、結局損をするのはお客様だけ…と言った結果を招いてしまいます。

まとめ

今回は、自宅に防音室が必要と考えている方に向け、防音工事を依頼するまでの流れについて解説してきました。この記事では、防音工事の契約を完了するまでにスポットを当ててご紹介しているのですが、防音工事の成否にかかわってくるのは正にこの段階で優良業者を選ぶということが最も重要なのです。

と言うのも、優良業者と契約してしまえば、後は勝手に性能の高い防音室を作ってくれるのを待つだけですし、逆に悪徳業者と契約したのであれば、性能の低い防音室が出来上がるのを待つしかないわけです。そもそも、防音に関する専門知識が乏しい業者と契約してしまった場合、どうしたってまともな防音室が出来上がるわけないのですし、後悔する結果にしかなりませんよね。

防音工事は、高額な見積もりが出てくるものですし、誰もが「できるだけ安く!」と言う点に着目するのですが、その行為が意外な落とし穴になっていると考えてください。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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