ユニット型防音室と火災報知器の関係性
サンテレビ「アサスマ! 」で防音工事の匠が紹介されました!
今回は、自宅に防音室の設置を検討している方に向け、特に、ユニット型防音室と火災報知器の関係性について解説します。
現在では、消防法により住宅への住宅用火災警報器などの設置が義務付けられています。そのため、自宅に防音室を設置する際には、同時に火災報知器の設置を考えなければならないのです。専門業者に依頼して、既存の部屋を防音室に作り変える場合、もともと火災報知器が設置されていた部屋なら、防音工事後にきちんと火災報知器が作動するように取り付け直してもらうことができます。
しかし、ユニット型防音室の場合、部屋の中にプレハブ小屋のような物を設置するという方法であるため、ユニット型防音室の中に火災報知器を設置する必要があるのかで悩んでしまう人が多いのです。ちなみに、ユニット型防音室を製造しているメーカーのwebサイトでは、ユニット型防音室を購入し、設置した後に利用者が火災報知器を設置することを推奨しています。この書き方だと、「設置しなくても構わないのではないか?」と感じますし、本来のところどのような対処をすれば良いのかで迷ってしまいますよね。
そこでこの記事では、ユニット型防音室と火災報知器の関係性について解説します。
ユニット型防音室と火災報知器の基本的な考え方
ここで言うとユニット型防音室とは、ヤマハのアビテックスやカワイのナサールなど、楽器演奏などを目的として導入する本格的な組み立て式防音室を指しています。最近では、テレワークなどを目的に、ダンボールなどが素材となった簡易的な防音BOXなども登場していますが、このタイプではなく、しっかりと密閉空間を作れるような防音室のことです。このタイプの防音室は、以下のような特徴を持っています。
- ・床、壁、天井、ドア、換気扇がある(小型の物は換気扇がないものもある)
- ・音漏れしないよう密閉された空間が作れる
本格的なユニット型防音室は、上記のような特徴を持っていることから、一般的は個室という扱いになり、法的にも一つの部屋とみなされます。もちろん、サイズや防音室の仕様などによっては個室ではないと判断されるものもあるのですが、アビテックスなどの高性能なユニット型防音室は、ほとんどの場合「個室」という扱いになるでしょう。一部、ダンボール製の簡易防音BOXなどについては、空間が非常に狭い、扉が完全に閉じられない(扉がないものもある)という特徴から部屋という扱いを受けないものもあるといった感じです。
そして、消防法や各地方自治体などが定める火災予防条例などにより、全ての住宅の各個室に住宅用防災機器(火災警報器)の設置およびその維持が義務付けられています。つまり、これに従うと、一つの部屋としてみなされる防音室も火災報知器の設置が求められると考えられているのです。
防音室に火災報知器を設置しないリスクと設置費用について
前項でご紹介した通り、楽器演奏に耐えられるレベルの高性能なユニット型防音室に関しては、壁や天井、床で囲まれる密閉された空間となるので、火災報知機の設置が必要な個室という扱いになります。ただ、実際にユニット型防音室に火災報知器が設置されているのかというと、そうではないケースも少なくないようです。これは、火災報知器の設置義務に関しては、違反したとしても罰則が規定されていないということが大きな要因と言えるでしょう。
それでは、ユニット型防音室に火災報知器を設置しなかった場合、どのようなリスクがあるのかも見ていきましょう。また、リスク回避のため、火災報知機を設置する場合、どの程度の費用で設置可能なのかもご紹介します。
火災報知機を設置しない場合のリスク
ユニット型防音室に火災報知器を設置していないという場合のリスクとしては、万一、防音室内で火災が発生したとしても、火災報知器が設置されていなかったことを理由に火災保険が降りなくなるということがあげられます。火災報知器を未設置だった場合には、「重過失」や「故意」とみなされる可能性があり、この場合は損害保険金が支払われない、または減額される可能性が非常に高くなるのです。
なお、延べ面積500平方㎡以上のマンションの場合、自動火災報知設備と呼ばれる特殊な火災報知器の設置が義務付けられています。そのため、ユニット型防音室の中でも、個室とみなされるレベルの防音室を設置する場合には、管理組合などから火災報知器の設置を求められるはずです。設置の要望があったのに、これを設置しなかった場合、防音室の撤去が求められたり、最悪の場合、強制退去などの非常に強い対応がなされてしまうのです。火災報知器の設置に関しては、賃貸借契約書や売買時の重要事項説明書に必ず記載されているため、「知らなかった」などの言い訳が通用しません。また、「室内の問題だから、設置していないことはバレない」と考えるかもしれませんが、定期的な消防点検時に、防音室の設置とそこへの火災報知器の未設置が発覚するため、いずれ設置を求められる可能性が高いと考えておいた方が良いです。
ちなみに、マンションなどに設置される自動火災報知器は、建物全体を一括管理できる仕組みになっていて、設置は消防設備士などの有資格者が行わなければならないとされています。一般的な住宅用火災報知器は、住人の方が自ら設置することも出来るのですが、自動火災報知機の場合は、専門業者に依頼しなくてはならないため、費用が高くなります。
火災報知器を設置するための費用について
それでは、火災報知器をユニット型防音室内に設置しようと考えた時、どの程度の費用がかかるのかについてもご紹介します。
火災報知器の設置費用に関しては、戸建てや小規模な集合住宅の場合は、比較的安価に設置することが可能です。戸建てや集合住宅でも延べ面積が500㎡以下の建物の場合、電池式の住宅用火災報知器の設置で構いません。このタイプは、ご自身で設置、取り外しが簡単にできますし、ホームセンターなどで安く販売されているため、コストを抑えられます。一般的には、3,000円程度で設置が可能だと思います。
ただ、延べ面積が500㎡以上のマンションなどになると、上述したように自動火災報知器の設置が必要です。これは、建物単位で各火災報知器が一括管理されているタイプとなるので、設置するためには感知器を増設する工事が必要になるので、コストがかかってしまいます。一般的に、自動火災報知器の設置には、3~7万円前後の費用がかかるのでその点に注意する必要があります。
ユニット型防音室への火災報知器の設置割合について
ここまでの解説で、高性能なユニット型防音室を設置する場合には、一つの部屋とみなされてしまうことになるため、防音室内に火災報知器の設置が求められるということが分かっていただけたと思います。特に、一定以上の規模となるマンションの場合は、自動火災報知器の設置まで求められるため、それなりのコストがかかってしまうと考えなければいけないのです。
それでは、実際のところ、ユニット型防音室を設置している方は、防音室内に火災報知器を設置しているのでしょうか?これについては、ほとんどの場合、火災報知器が未設置の状態となっていると言われています。設置されているユニット型防音室もあるようですが、それは3畳以上の大きな防音室に限られ、小型の防音室になると9割以上の確率で未設置とされています。この状況については、以下のような理由からだとされています。
- ・火災報知器の設置義務を知らない
- ・罰則がないから費用をかけたくない
- ・防音室メーカーが「推奨」にとどまっていて、義務としていない
- ・戸建てなどの場合、消防点検がないから未設置が発覚しない
- ・小型の防音室であれば、発覚しても見逃されるケースが多い
上記のような理由から、ユニット型防音室への火災報知器の設置を無視しているという方が多いのです。ただ、ユニット型防音室は、使い方によって火災の原因となってしまう場合もあるので、注意しなければいけません。
例えば、防音室内に電気機器を設置している場合、電気系統のトラブルで発火する可能性がありますし、タバコを吸う方であれば、火の不始末により火災に発展する可能性があるのです。この場合、先ほど紹介したように、火災保険がおりなくなる可能性があります。
火災報知器の設置義務は、罰則規定などはないものの、あくまでも自分や同居する家族の命を守る、財産を守ることが目的のものなので、きちんと設置するのが望ましいです。
まとめ
今回は、ユニット型防音室と火災報知器の関係性について解説しました。
記事内でご紹介した通り、高性能なユニット型防音室は、一つの独立した部屋とみなされるため、火災報知器の設置が求められます。特に、延べ面積が500㎡以上のマンションなどになると、管理規約などで設置に関するルールが設けられていて、未設置の場合は何らかのペナルティが与えられる可能性があります。定期的に消防点検が実施されますし、未設置である状態もバレてしまうので、最初から設置しておくのが推奨されるでしょう。
なお、我々のような専門業者が作る防音室に関しては、法令に則って設計が行われるため、火災報知器の設置が求められる仕様の場合は、きちんと設置されるので安心しましょう。