ベッドの周りを防音する方法はある?うるさくて眠れないと悩んでいる方は寝室の防音を検討しよう

防音工事と聞くと、楽器やカラオケなど、非常に大きな音を生じさせる方が特別に行うものというイメージが強いと思います。しかし近年では、こういった大きな音ではなく、日常生活の中にある生活音による問題を解消するための相談が増えています。特に、寝室のベッド周りの防音対策については、切実な願いとして我々のような防音工事業者に相談してくる方が増えています。

人が健康に過ごしていくためには、質の良い毎日の睡眠を欠かすことはできないのですが、さまざまな音の悩みによってたっぷりと睡眠時間を確保することが出来ないと悩む方は多いです。実際に、夫婦が寝室を別にするきっかけは、いびきなどの音の問題で、快適な睡眠環境が壊れてしまうから…という場合が多いのではないでしょう。それでは、快適な睡眠環境を作るため、別途周りだけに防音対策を施すことは可能なのでしょうか?実は、寝室の音の問題で寝不足に陥っているという場合でも、原因となっている音はさまざまな種類があるため、適切な防音対策は変わってしまいます。

そこでこの記事では、音の悩み別に、快適な睡眠環境を作るための防音対策について解説します。

快適な睡眠環境を構築するためのポイント

人が健康に過ごすための睡眠時間は個人差があるものの、1日に6~8時間程度が理想的と言われています。つまり、健康的な生活を維持していくためには、日常生活の1/3程度を寝室で過ごすことになるわけです。そういった事実を考えると、寝室は可能な限り快適な環境を作り、より良い寝心地を実現するためにさまざまな対策を施すのは至極当たり前の事と考えられます。実際に、近年ではさまざまなタイプの快眠グッズが開発されていて、睡眠環境を良くするために何らかの快眠グッズを使ったことがあるという人は多いと思います。

ただ、こういった快眠グッズを用意したとしても、もともとの寝室の環境が悪ければ快適な睡眠を妨げられてしまいます。特に、就寝時に気になるのが『音』の問題で、些細な音でも睡眠の邪魔に感じてしまうという方は非常に多く、そういった音を効果的に遮ることができれば、快眠グッズなどもより効果的に働くでしょう。

寝室で問題になる音の問題とは?

それでは、快適な睡眠を邪魔する音が、どのようなものなのかをご紹介します。一般の方からすると、睡眠の邪魔をする音は総じて『騒音』とひとまとめにしてしまうと思います。ただ、快適な睡眠環境を作るため、音の問題を解消したいと思えば、身近にある音の種類についてきちんとつかんでおかなければいけません。私たちの身の回りには、「空気音」と「固体音」の2つの種類がありますので、それぞれの特徴を簡単に解説します。

  • 空気音とは
    空気音は、音の発生源から空気を伝わって届く音の事を指します。代表的なものでは、部屋の外にいる人の話し声やTVなどの音声、車や飛行機などの通過音などです。こういった空気音を遮るには、音が伝わるための空気をシャットアウトすることが大切です。
  • 個体音とは
    固体音は、音の発生源から床や壁など、固体物を伝わって届く音です。例えば、洗濯機や冷蔵庫の振動音や、上の階に住む人の足音、トイレやお風呂などの排水が排水管を振動させて聞こえる音などが固体音です。固体音は、建物自体を伝わって拡散する音ですので、上述した空気音よりも対策が難しいという特徴があります。防音工事で対策を施す場合、大掛かりな対策になりがちですので、就寝時はこうした音をなるべく減らすという習慣的な工夫も必要と考えてください。

私たちの周りには常に上記のような音の問題が存在します。さらに注意が必要なのは、床に設置していたり、壁に密着させているよな音の出る設備からは、空気音と固体音の双方が生じます。例えば、テレビを壁に密着させて設置している場合、空気音だけでなく壁を伝わる固体音も生じるので、壁から15cm程度離して設置するのがオススメです。この他にも、楽器のピアノやエアコンの室外機などは、空気音も固体音も生じます。これらの音の問題を解消するためには、当然、二つの音に対して防音対策が必要です。

快適な睡眠環境とは?

ここまでの説明で分かるように、快適な睡眠環境を実現するには、さまざまな音の問題を解消しなければいけません。特に、現代人の生活は多様化しており、ご家族間のライフスタイルが全く異なることで、音の問題を抱えるケースが多いようです。例えば、親世代が睡眠に入る時間帯に子供たちが起きていることから、さまざまな音に睡眠を邪魔されるというケースが多いです。

それでは、そもそも快適な睡眠環境を実現するためにはどの程度の音の大きさを目指せば良いのでしょうか?音の大きさは「dB(デシベル)」という単位で表されるのですが、世界保健機構が定めた基準では、夜間に聞こえる騒音で「睡眠に影響を及ぼす音の大きさ」が30dB以上としています。ちなみに、30dBというのは、図書館の中よりも静かな環境ですので、かなり静かです。

現在、寝室で音の問題を抱えていて、何らかの防音対策を行おうと考えている方は、ひとまず前述の「30dB」を基準に考えると良いでしょう。具体的な対策については、「住宅の外からの音なのか?」「住宅内の音なのか?」によって変わります。同居している人とライフスタイルが異なるため音の問題を抱えている場合は、ドアを防音ドアに交換するなどと言った対策が有効です。外からの音であれば、窓や換気口に対策を施す必要があるでしょう。なお、多くの方が静かで快適な住環境を求めるようになった現在では、ドアや窓、吸排気設備なども防音効果を謳っている製品が多くなっています。詳しくは下で紹介しますが、こういった防音効果の高い建具を利用して寝室の防音性を高めると良いです。

寝室に必要な防音対策とは

それでは、快適な睡眠環境を実現するための寝室の防音対策をいくつかご紹介します。上述したように、私たちを取り巻く騒音にも、空気音と固体音の二つの音が存在します。そして、防音対策を施す場合、空気音への対策の方が軽減効果を出しやすいです。固体音は、住宅そのものを音が伝わっていきますので、対策を施す場合、大掛かりな工事が必要です。したがって、できるだけ低コストで快適な寝室を作りたい場合は、寝室の音の侵入口になる窓・ドア・換気口などの開口部を中心に防音対策を施しましょう。

家族間の音の問題を解消する防音対策

睡眠を邪魔する音の問題については、同居する家族が家の中で生じさせている音が問題になっているケースが多いです。例えば、家族間のライフスタイルが大きく異なる場合、就寝中に話し声やTVなどの音声に悩まされてしまうなんてことが考えられます。この他にも、親世代の寝室の真上にお子様の部屋が配置されているといった間取りの場合、足音や話し声、トイレの排水音などを騒音と感じ、睡眠を邪魔されるなんてことが考えられます。

このような、家族間の音の問題については、以下のような対策が有効です。

  • ドアを防音ドアに交換する
    家族間の音の問題は、室内ドアの防音性の低さが関係しています。一般的な室内ドアは、閉めていても換気がなされるよう、どの下部などに隙間が設けられています。そのため、音を防ぎたいとキチンと閉めていても、その隙間から音が侵入してくるわけです。防音ドアは、ドア枠にパッキンを取り付け、閉めた時にパッキンを潰すことで隙間を無くします。つまり、TVの音声などの空気音を大幅に削減することが可能です。
  • 天井の防音対策
    戸建て住宅でも、間取りの関係で足音が気になる…なんてケースは少なくありません。この場合、寝室部分の天井、もしくは音の発生源となっている床部分の防音工事が有効です。天井を一度解体し、中に遮音シートや吸音材を設置することで、足音が伝わるのを軽減することが可能です。
  • トイレなどの排水管に防音対策
    家族間の音の問題で、盲点となるのがトイレやお風呂の排水音です。ライフスタイルの違いから、親世代が寝ている時間にお風呂に入るなんてことになると、排水管の中を水が流れる時に振動音が、家全体に響てしまうケースがあります。特に、寝室の外壁などの配管が通っていれば、睡眠を邪魔するレベルの音量になるでしょう。この場合、音の発生源となっている配管部分に振動対策などを施し防音します。

上記のように、寝室で問題となる家族間の騒音は、問題となっている音に対してピンポイントの対策を施すことで解消することが可能です。費用的にも、数万~数十万円程度で対策可能です。

外部騒音の侵入なら窓や換気口の対策

住宅の立地の関係で、夜間でも外部騒音が侵入して「うるさくて眠れない…」なんてことになるケースがあります。例えば、夜も交通量がそれなりに多い道路沿いに家がある、繁華街が近くにあるなんて場合は、騒音で夜も眠れない…なんてことになるケースがあります。また、近年の戸建て住宅は、家と家の距離が近くなっていることもあり、お隣さんとのライフスタイルの違いから騒音トラブルを抱えるケースも増えています。

この場合、以下のような対策を施すと良いでしょう。

  • 窓の防音対策
    住宅の騒音の侵入口については、窓が弱点になっている場合が多いです。窓は、外壁と比較すると非常に薄い素材ですし、開閉がスムーズにできるよう隙間が生じるような構造になっているからです。この窓からの音の侵入を防ぐためには、二重窓や防音ガラスの設置などの対策が有効です。
  • 壁の防音対策
    築年数が経過した住宅の場合、壁が薄く防音性が低いために、音が壁を通過してうるさいと感じているケースも考えられます。昨今の住宅は、家の断熱性が重視され壁の中にしっかりと断熱材が設置されています。この断熱材は吸音材としても働きますので、外部騒音の侵入を防いでくれる効果が期待できるのです。つまり、壁の薄さに問題がある場合、壁の中に断熱材を施工し防音性を高めると良いでしょう。なお、この対策は、部屋の断熱性を高めることができるので、補助金が活用できる可能性があります。
  • 換気口の防音対策
    窓や壁の防音対策を行ったとしても、換気口の対策を無視すると、外部騒音の侵入に悩まされることになります。濃い気密化が進む現在の住宅は、24時間換気システムの設置が義務付けられています。換気口は外気を取り込むための設備ですので、空気と一緒に音が侵入してきてうるさいと感じてしまう可能性があります。換気口の対策は、防音仕様の物に交換する、換気口の中に消音材を設置するといった対策が有効です。

ベッドの周りだけ防音することは可能?

寝室の防音を考えた時には、部屋全体ではなく「ベッドの周りだけ防音できないものか?」と悩む方が少なくありません。これについては、夫婦で寝室を共にしている場合、パートナーのいびきが気になって眠れない…なんて声があるのです。一般的に、いびきの音量は50~60dB程度で、隣で寝ている人にとっては騒音に感じられる可能性が十分にある大きさとなります。さらに、いびきが大きな人の場合は、なんと80dB以上の音量になると言われていて、このレベルになると、寝ている時に耳元で犬が吠えている…と言った状況になります。

当然、耳元で犬が鳴いているような状況で問題なく眠れるような人は少ないですし、このような場合には、夫婦が寝室を別々にする聞い掛けとなってしまいます。それでは、このような音の問題については、有効な対策はあるのでしょうか?基本的には、防音工事で対策をするのではなく、市販されているような快眠系のグッズを利用するのがおすすめです。例えば、以下のようなアイテムがあります。

  • 耳栓をする
    ベッド周りだけ防音したいという場合に、もっとも単純で簡単な対策が「耳栓」です。最近は、就寝時に装着するように、長時間つけていても耳が痛くならないような耳栓が登場していますので、負担も少なくベッド周りの防音が可能です。注意が必要なのは、耳栓による対策の場合、目覚ましの音なども聞こえにくくなるので、音以外の目覚ましを用意しなければいけません。
  • イヤーマフを使用する
    イヤーマフは、ヘッドホンのような形状をした耳栓です。耳全体を覆うように装着するタイプですので、一般的な耳栓よりも高い防音効果を持っているとされます。問題点としては、耳栓と同じく、目覚ましが聞こえなくなる、睡眠時に邪魔に感じ余計に眠れなくなる人もいるので注意しましょう。
  • 安眠ドームを使用する
    安眠ドームとは、頭の部分だけを覆うテントのような製品です。頭をすっぽりと覆うことができるので、自分の耳に届く音を軽減することが可能です。ただ、息苦しくならないよう、大きな隙間が生じるような製品ですし、高い防音効果を期待できるものではありません。隣で就寝するパートナーの大きないびきの音が気になっている…などという音の問題の場合、安眠ドームで解決することは難しいです。基本的に、冬場に顔の周りが寒くならないようにするのに役立つ程度で考えておいた方が良いです。

上記のような安眠グッズは、ホームセンターやドラッグストアなどで販売されていますので、自分に合ったものを探してみるのも良いのではないでしょうか?ただ、睡眠を邪魔する音が、屋外から侵入する外部騒音、他の部屋で過ごす家族が生じさせる音と言った場合は、ベッド周りだけでなく、寝室ごと防音対策を施すのがおすすめです。

まとめ

今回は、近年増加している寝室の防音工事についてご紹介しました。寝室は、一日の中で1/3を過ごすことになる部屋ですので、可能な限り快適な環境にしておきたいと考える人が多いようです。しかし、各家庭の生活空間が近くなってきた、ライフスタイルが多様化しているなどと言った理由から、就寝時に音の悩みを抱える方が多くなっているようです。

この記事では、空気音と固体音、両方の音に対して有効な防音対策をご紹介していますので、現在抱えている音の悩みが、どの方法で解決できるのかを考えてみると良いでしょう。寝室の防音対策は、部分的な防音工事でもかなり状況が好転することがありますので、お気軽に弊社までご相談ください。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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