マンションの防音対策!何気ない生活音が騒音トラブルの原因になる?
今回は、マンションなどの集合住宅で暮らす方のため、何気ない生活音による騒音トラブルを防ぐには「どのような防音対策を行っておけば良いのか?」についてご紹介していきたいと思います。
近年、都市部などではどんどん新築マンションの建設が進んでおり、戸建て住宅ではなくマンションに住んでいるという方の割合が増加しています。平成25年に総務省が行った調査では、全国でなんと半数近くになる約42%の方が集合住宅に住んでいるとの結果が出ていましたし、現在ではさらにマンション生活をしている方が増加していると考えられます。
このような状況もあり、ここ数年テレビや雑誌などでもマンションの騒音問題が取り上げられることが増加しています。戸建住宅であれば、隣家とそれなりに距離が離れていることもあり、ちょっとした生活音で近隣住民とトラブルになる…なんてことも少ないのですが、マンションは生活空間が非常に近いということもあり、ちょっとしたことがきっかけでトラブルになってしまう…なんてことがあるのです。
そこでこの記事では、これからマンション生活を始める方や、現在マンションに住んでいる方のため、生活音をきっかけとした近隣トラブルを防ぐための具体的な防音対策をご紹介したいと思います。
マンションの防音対策について
それでは、マンション生活をする方が考えておきたい防音対策の具体例についてご紹介していきたいと思います。マンション生活では、隣家との生活空間が非常に近くなってしまうため、楽器を弾く、ホームシアターを導入するなど、特別な事象が無くても騒音トラブルが発生してしまうことがあるのです。
したがって、生活音をによるトラブルを未然に防ぐため、マンション生活をスタートする前から何らかの対策を行いたいと考える方は意外に多いのです。それでは、マンションの防音対策はどのようなことを行えば良いのでしょうか?一般的な手法としては、壁や床、窓の防音性能の強化があります。ただし、生活音と言っても、話し声やテレビの音、床をどんどん歩く足音など、さまざまな種類の音があり、防ぎたい音によって必要な対策が異なるのです。
ここでは、場所別の防音対策をご紹介していきたいと思います。
壁の防音対策
人の話し声やテレビの音声といった生活音の音漏れに関しては、多くの場合壁の防音性能に原因があります。したがって、隣の住戸と自分の部屋を遮るための戸境壁を、遮音等級『D-55以上』にするのが理想的です。
空気伝搬音の騒音トラブルに関しては、戸境壁の厚さが不十分であったり、天井と床との取り合いに隙間がある(ALCパネルや乾式遮音壁を戸境壁に用いているマンションで見られる現象です)などと言った事が原因になっている場合が多いですので、壁の遮音性能を高めるためのリフォームが必要と考えましょう。他にも、マンションの戸境壁は、コンクリートに下地ボードを貼って、表面にクロスを貼ることで仕上げるという手法が一般的なのですが、戸境壁を作る際に接着剤の厚みなどでボードが浮いてしまい、太鼓のように音が反響しやすくなってしまっている…なんて場合もあります。
マンションにおける壁の防音対策としては、コンクリートの上に木下地を組み、そこに吸音材を挟み込んで遮音シートを貼り、その上に下地ボードといった形状にすれば、大きく防音性能を向上させることができます。他には、室内側に壁を増設するという手法もあるのですが、この手法であれば、部屋が少し狭くなってしまいます。
こういった壁の防音性能を向上させるリフォームは、「隣家の生活音に悩んでいる…」「自宅が出す生活音が隣家に迷惑をかけないように…」というように、外からの音も中から漏れ出る音、両面の対策となります。ちなみに、6畳程度の部屋において、戸境壁の防音対策をする場合、工期が2~4日程度、費用は18~25万円程度が相場です。
窓の防音対策
外から入ってくる自動車の走行音や通行人の声などに悩んでいる…といった場合、窓部分の防音対策が有効です。注意が必要なのは、国土交通省が公表する「マンション標準管理規約」では、窓のサッシや窓ガラスは共用部分となっていますの、防音対策として勝手に窓ごと交換することができない場合もあります。近年では、窓に関しては「窓のサッシは必要に応じて居住者負担で交換する」などとなっている場合もありますが、念のため管理組合などに確認しておいた方が良いでしょう。
上記の様な理由で窓サッシの交換が難しい場合には、窓の内側にもう一枚窓を設け、外からの音を2重で遮るようにする2重窓という対策があります。この方法であれば、居住者の責任で行っても問題ありません。
なお、窓に対する防音対策は、防ぎたい音のレベルによって窓の種類を考えなければいけません。例えば、通行人の声など街の喧騒を避ける程度であれば遮音等級『T-1』以上で十分です。しかし、幹線道路沿いのマンションや線路沿いなど、大きな音を防ぎたいと考えているのであれば『T-2』以上の遮音等級を持つものが望ましいです。
2重窓による防音対策は、楽器の演奏やペットの鳴き声が漏れないように…などと言った対策にも有効です。内窓の設置は、基本的に1日で工事が済み、費用は7~15万円程度が相場となります。
床の防音対策
小さなお子様がいるご家庭では、子供が飛び跳ねる…部屋を走り回る…なんて時に、階下の住人に迷惑をかけていないか…と不安になってしまう方も多いのではないでしょうか。子供は自由に遊ばせたいと思うものの、マンションでの騒音トラブルの原因となることも多く、非常に悩ましい問題になってます。
こういった足音が階下まで響いてしまうのは、床に原因があるのです。子供が飛び跳ねて「ドスン」という衝撃は、上述した話し声やテレビの音声とはメカニズムが違い、振動が床から階下の天井に響いてしまう…というのが原因なのです。したがって、こういった階下への騒音を防ぐためには、遮音性能の優れた床にするのがオススメです。
最も簡単な対策としては、カーペットや畳、コルクなどを床材としてしいて、衝撃をある程度吸収してしまうという方法です。また最近では、フローリングでも遮音等級が『LL-40/LL-45』の遮音フローリングなるものが登場していますし、そういった遮音性能の高いタイプに変更すれば、足音が階下に響いてトラブルになる…ということを防ぐことができるでしょう。
ちなみに、音の響きやすさは床の構造によって大きく変わりますので、その辺りは専門業者と相談し、必要であれば本格的な床のリフォームをしてみてはいかがでしょうか?
なお、上階の足音に悩んでいる…といった場合には、天井のクロス下地に防音性能の高いボードを採用する、遮音シートなどを貼るといった方法で、音をやわらげることができます。それでも解消できないほどの音であれば、管理組合などを通じ、上階の方に床面の遮音対策などをしてもらうようにお願いすると良いでしょう。
床面の防音対策は、手法によって費用や工期が大きく異なります。遮音性の高いカーペットなどをネットで購入し自分で設置するだけでも効果が得られる場合もありますので、試してみるのも良いでしょう。遮音フローリングなどを取り入れる場合には、10畳程度のお部屋で30万円ぐらいが相場です。
意外と簡単にできる防音対策
最後は、誰でも意外と簡単にできる防音対策についてご紹介しておきましょう。上述したように、マンション生活での騒音トラブルを防ぐためと、壁や床、窓などの防音対策をしようと思えばやはりそれなりのコストがかかってしまうものです。「近隣トラブルを避けるには致し方ない…」という面もあるのですが、実は費用をかけずに防音効果を期待できる対策もあるのです。
方法としては非常に簡単で、「家具の配置を変更する」という対策です。実は、背の高い本棚や洋服ダンスなどを隣家との壁に設置しておけば、本や洋服が音を吸収してくれるようになるため、防音効果を期待することができるのです。また、道路に面している窓には、遮音性能の高いカーテンを設置するなどと言った対策でも、外からの騒音を大幅に遮ることが可能なのです。他にも、オーディオ機器やテレビなど、音の出る設備を戸境壁側に設置する場合、壁から10cm程度離して設置するのもオススメです。壁にピッタリとくっつけてしまうと、振動が伝わってしまい、音の影響が大きくなってしまいます。
このように、少しの工夫で音が外に出るのを防いだり、外からの騒音を遮ったりすることもできるため、小さな音であれば「できるだけ防音効果を高めるように」と考えて家具の配置を決めましょう。もちろん、限度を超えた音に関しては、こういった方法で防ぐことができませんので、トラブルに発展する前に専門家に相談するのがオススメです。
まとめ
今回は、マンションにおける有効な防音対策の具体例をご紹介してきました。冒頭でもご紹介したように、近年ではマンション生活を送る人が非常に増えており、生活空間の近さから生活音で騒音トラブルに発展してしまう…というケースが多くなっています。
音の問題は、一度気になってしまうと、対策を施して音が小さくなってもクレームを入れられてしまうことがありますので、トラブルに発展する前に何らかの防音対策をしておくのがオススメです。なお、この記事でご紹介した対策については、テレビや会話、足音などの生活音を防ぐためのものです。したがって、自宅でピアノやドラムなどの楽器演奏を行いたいと考えている方にとっては、あまり意味がない手法となります。マンションなどで楽器演奏をする場合には、本格的な防音室を作る工事や、後付けできる防音キッドを購入して設置する必要があると考えておきましょう。