賃貸住宅に防音環境を作る時の注意点について
サンテレビ「アサスマ! 」で防音工事の匠が紹介されました!
今回は、空室対策などを目的に、賃貸物件の防音化を検討している方が注意してほしいポイントをご紹介していきます。
少子高齢化による人口減少が指摘されている日本では、住宅の供給過多が起きていると言われていて、全国的に空室率が上昇していると言われています。特に、築年数が経過した賃貸物件の場合、見た目や設備の充実度が新築物件よりも劣ってしまうという問題が生じ、時間経過とともにどうしても空室率が上昇してしまうという問題に頭を悩まされる方が多いです。築年数が経過した物件の場合、家賃の値下げによる空室の解消を目指すという方法が採用されることが多いのですが、この手法を選ぶと、賃貸収入の減少に直結してしまうという、別の問題が発生します。
そのため、昨今の賃貸市場では、物件に付加価値を付ける、新たな層をターゲットとするといった方法を採用することにより、空室の解消を目指すというケースが多くなっているのです。その中でも、防音室の設置などによる物件の防音化は、需要の高さの割に供給量が圧倒的に足りていないという状況から、非常に強力な空室対策になるとされています。そこでこの記事では、不動産市場で採用されることが多い、空室対策と、その中でも防音対策による空室の解消を目指す際の注意点をご紹介します。
最近よく見かける空室対策手法とそれぞれの問題点
まずは、賃貸物件の空室対策手法について解説していきます。ここでは、昨今の不動産市場で注目されている空室対策と、その方法を採用する場合の問題点について解説します。
家賃の値下げ
賃貸物件の空室対策の中でも、最も手軽に実施できるのが家賃の値下げです。賃貸住宅を探している方は、同じような条件の物件を比較検討しながら、最終的に入居する物件を決めます。その際、最も重視するのが「家賃の安さ」です。例えば、築年数や間取り、搭載設備や立地条件などが似通った物件が二つ候補にある場合には、ほとんどの方が家賃を安い物件を選ぶはずです。家賃の値下げによる空室の解消は、イニシャルコストをかける必要もないため、一見すると物件オーナー側の負担も少なくなると考えられます。
しかし、家賃の値下げによる空室対策は、以下のような問題があるため、基本的には「最終手段」とすべきとみなされています。
- ・収益性の悪化
長期的に見ると、キャッシュフローが悪化するため、賃貸経営そのものが厳しくなります。一度下げた家賃をもとの水準に戻すことは非常に困難です。 - ・既存入居者からの不満
既存入居者と新規入居者との間に家賃格差が生じると、既存入居者側の不満が溜まります。この場合、既存入居者からの家賃交渉や退去要求に繋がる可能性があります。 - ・入居者層の悪化
家賃の安さを優先する層が増え、近隣トラブルリスクが高まる可能性があると言われています。
家賃の値下げは、賃貸経営自体を難しくさせる要因となるなるため、安易に行うべきではないとされています。
ペット可や外国人可など、入居ターゲットの拡大
今までは入居を断っていた層をターゲットにするという方法も、空室対策のことだけを見ると非常に効果的です。ターゲットの母数が増えれば、それだけ入居してもらえる可能性が高くなります。
ただ、この方法に関しても、以下のような問題が考えられます。
- ・退去時のクリーニング費の増加
ペット可や、文化が異なる外国人をターゲットにするという場合は、物件内の汚損や異臭の付着等の問題が生じる可能性があります。この場合、退去時の原状回復費用やクリーニング費用が大幅に増加かもしれません。 - ・騒音トラブルの増加
ペット可の場合は、鳴き声や足音などにより、騒音トラブルの可能性が高くなります。外国人をターゲットにする場合も、文化の違いから隣人トラブルになる可能性が高いでしょう。 - ・既存入居者の退去
既存入居者の中には、「ペット不可(外国人不可)だから」という理由で選んでいる人もいます。この場合、ペット可になったことで、退去者が増え、逆に空室が多くなってしまう恐れもあります。
入居条件の緩和という方法についても、初期負担をあまりかけずに実施できる空室対策です。しかし、既存入居者の理解をきちんと得てから実行しなければ、退去者の増加によって、余計に空室が増えてしまう可能性があります。
防音化など、リフォームの実施
物件そのものに付加価値を付けることで、選ばれる物件を目指すという空室対策も存在します。冒頭でご紹介しているように、物件の防音化などは、需要の高さの割に供給量が少ないため、非常に有効な空室対策となるのです。
ただ、リフォームによる空室対策は、以下のような問題があります。
- ・コストの問題
単純にリフォームのために多額のコストをかけなければならない点が大きな問題となります。 - ・投資の回収不可
リフォームを実施したとしても、確実に入居者が決まる、また家賃を値上げできるとは限りません。オーバークオリティやエリアニーズとのミスマッチが起こると、リフォーム費用の回収が難しくなります。
リフォームによる空室対策は、エリアニーズとマッチしているのか、投資を回収することが本当にできるのかを、不動産会社の担当者などに相談しながら慎重に検討しましょう。
防音化による空室対策の注意点
それではここから、賃貸物件に防音室を設置して、防音物件にすることによる空室対策を検討している方に向け、防音工事を実施する時に注意したいポイントをいくつかご紹介します。
防音室の種類について
防音物件にすることによる空室対策でも、いくつかの手法が存在します。例えば、物件内に防音室を用意するという方法でも、ユニット型防音室を設置する、簡易的な吸音ブースを設置する、専門業者に依頼して既存の部屋を防音室に作り変えるなど、いくつかのパターンが存在するのです。防音室の実現方法によって得られる性能が大きく異なるため、どういった顧客をターゲットとして防音化するのかを慎重に検討しなければならないと考えてください。
以下に、賃貸物件に防音室を設置する方法と、それぞれの特徴について簡単にご紹介します。
- ・簡易組み立て式(簡易吸音ブースなど)の設置
部屋の中に防音ブースを設置するという方法です。本格的なユニット型防音室と比較すると、安価に用意できる点がメリットです。ある程度の性能を持つ防音ブースでも、数万~30万円程度で購入できますし、設置も容易なので工事費を削減することができます。ただ、防音性能がそこまで高くないので、テレワークや動画配信など、主に話し声の防音程度にしか使えないと考えておきましょう。簡易ブースの場合、「楽器可」などの対応には不十分です。 - ・ユニット型防音室の設置
楽器メーカーなどが販売している、本格的なユニット型防音室を設置するという方法です。1畳程度の小型のものから、ピアノなども設置できるレベルの大型の製品まであります。楽器の練習環境を求めている入居者にとっては、非常にありがたい設備になるため、強力な空室対策になるでしょう。ただ、部屋の中に大型のプレハブ小屋を設置するといった方法になるため、居住スペースが狭くなるという問題点が生じます。また、費用についても、小さなユニット型防音室でも設置工事費を合わせると100万円近くするので、コストがそれなりにかかってしまいます。部屋数のある物件であれば、便利に使える高付加価値な設備になりますが、間取りタイプによっては逆に邪魔になるため、選ばれにくくなる恐れがあります。 - ・専門業者に防音工事を依頼する
専門業者に防音工事を実施してもらい、物件そのものの防音性能を高めるという方法もあります。コスト的には「最も高くなりそう?」と感じるかもしれませんが、防音工事の場合は、お客様の要望によって実現する防音性能を細かく調整することができ、理想の防音物件を安く実現することも可能なのです。例えば、楽器防音レベルになると、数百万円レベルのコストがかかりますが、テレワークや近隣騒音を防止する程度の対策なら、数十万円程度のコストで実現可能です。また、専門業者による防音工事の場合、部屋そのものが防音室に生まれ変わるため、居住のためのスペースに大きな影響を与えない点もメリットでしょう。通常の居室の外観を維持したまま、防音性能を高めたいというオーナー様の場合は、防音工事がおすすめです。
このように、防音室の設置による空室対策にも、いくつかの手段が存在します。どのレベルの防音環境を求めているのかによって、最適な手段を選ばなければならない点に注意しましょう。ちなみに、防音物件は、需要が非常に高いわりに供給量が少ないという現状なので、高い性能を実現できれば、家賃に費用を転嫁することは普通に可能だと思います。
ユニット型の場合は設置形態にも注意
ユニット型防音室の設置による防音化を検討した時には、設置形態に注意しましょう。実は、ユニット型の場合は、設置形態を工夫することで費用対効果を高めることができるのです。ユニット型防音室の設置形態は以下の方法があります。
- ・新品の購入
初期費用はどうしても高くなってしまいます。ただ、新品の場合は長く使用できることから、家賃を高く設定することで、長期的な収益増を見込むことが可能です。新品の場合は、減価償却資産として計上できるメリットもあります。 - ・中古品の購入
ユニット型防音室は、中古市場が確立されているので、状態の良い中古品を選択して設置するという方法があり、初期コストを抑えられます。ただ、新品よりも寿命が短い、性能が落ちている可能性がある点に注意が必要です。家賃の値上げによる投資回収については、基本的には可能だと思います。 - ・レンタルで導入する
ユニット型防音室は、レンタルによる導入も可能です。ニーズの変化に合わせて、撤去することも可能で、初期費用を大幅に抑えられます。ただ、中長期的に見ると、防音室にかかるコストはどうしても高くなります。レンタル費用を「家賃に上乗せすれば持ち出しを防げる」といった意見もありますが、この方法の場合、家賃がかなり高くなってしまうので、空室対策としての効果が薄れてしまう可能性があります。
上記のように、ユニット型防音室の設置は、その方法にもいくつかの種類があります。基本的には、新品の製品を購入するのがおすすめです。
構造や法律上の注意点について
賃貸物件への防音室の設置は、構造や法律上、注意しなければならない点がいくつかあります。以下の点はよく確認しながら、設置可能なのかどうかを確認しましょう。
- ・床の耐荷重
防音室は、重量がかなりあります。そのため、集合住宅の場合、床が重量に耐えられるのかが問題になります。例えば、最も小さなユニット型(1畳以下)でも300kg程度の重量になるで、2階以上の部屋に複数台設置するとなると、かなりの重量アップになります。この辺りは、専門知識を持つ建築士などと相談しながら、設置可能なのかどうかを検討しましょう。 - ・天井高について
ユニット型防音室を設置する場合、天井高も確認してください。狭い部屋に設置する場合、2.4m程度の高さを確保しておかないと、圧迫感が強くなってしまうと思います。 - ・部材の搬入などについて
ユニット型でも防音工事の場合でも、対象となる部屋までの材料の搬入経路に注意しましょう。玄関や廊下、エレベーターや階段など、部材が搬入可能な幅があるのかをチェックする必要があります。 - ・火災報知器について
防音室は、独立した小部屋となるため、室内に火災報知器の設置が推奨されています。また、防音室内にいる時には、外部の物音が聞こえにくくなるので、インターホンの対応のことなども考慮する必要があります。
まとめ
今回は、賃貸住宅の空室対策としても注目される、物件の防音化について、実際に賃貸住宅に防音室を設置しようと考えた時の注意点について解説しました。
記事内でご紹介した通り、防音室にもいくつかの実現方法があるため、求めている防音性能や物件の形態、入居ターゲットの相などを考慮しながら、どの方法による防音化が最適なのかを慎重に検討すると良いでしょう。
基本的には、防音仕様の賃貸物件は、需要の割に供給量が少ないとされているため、空室対策としては非常に高い効果を期待することが出来るでしょう。ただ、それなりのコストがかかることは間違いないので、投資をきちんと改修できるのか、また防音物件を求める人がいるエリアなのかについては、慎重に確認したうえで、実施するかどうかを決定しましょう。