騒音トラブルが増加している現在、どんな音がトラブルを引き起こすかを知っておきましょう!
近年では、人が生活していく上で必ず生じてしまう生活音が原因となる騒音トラブルが急増していると言われています。これは、東京や大阪など、都市部では各生活空間が構造物でつながってしまっているマンション暮らしの方が増えたことや、戸建て住宅でも、隣家との距離が非常に近くなっていることが大きな要因になっているのだと考えられます。
そしてさらに、2020年からは新型コロナウイルス問題が発生したことで、日本国内でもテレワークが浸透してきており、人々の在宅時間がどんどん伸びているということが騒音トラブルを急増させている原因だと言われています。実際に、テレワークがスタートしたことで、昼間の自宅近くの喧騒に初めて気づいて、とても仕事できるような環境ではなく、住み替えを検討し始めたという方もかなり多くなっているというデータもあるそうです。
このような状況の中、近隣の方と騒音トラブルを抱えないようにするためには、「どのような音が騒音と捉えられるのか?」また「人がうるさいと思う音量は?」といった騒音の基礎知識を学んでおくことが非常に重要になると言われるようになっています。そもそも音というのは、目に見えない問題ですし、感じ方も人それぞれのもので、騒音源になっている人も自分が他人に迷惑をかけているという意識など持っていないということの方が多いです。そこでこの記事では、一般的に言われている、音量ごとの人の感じ方をご紹介します。
集合住宅でのトラブルは生活音が一位に
マンションやアパートなどの集合住宅は、多種多様な生活習慣を持った人が集まりますので、些細なことでトラブルに発展してしまう危険が潜んでいます。特に注意が必要と言われるのは、集合住宅では誰もが生じさせてしまう生活音が原因となる近隣トラブルが非常に多く、定期的に国が行っているマンション総合調査結果では、平成30年では生活音によるトラブルが第一位になっています。
集合住宅で発生するトラブルに関しては、長年「違法駐車・違法駐輪」がトラブル原因の第一位だったのですが、平成30年度版では生活音が原因のトラブルが圧倒的に多くなっています。
- 第1位 生活音(38.0%)
- 第2位 違法駐車(28.1%)
- 第3位 ペット飼育(18.1%)
- 第4位 共用部分への私物の放置(15.1%)
- 第5位 バルコニーの使用方法(12.9%)
参考資料:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」
平成30年度マンション総合調査結果によると、居住者間のトラブルの原因が上記のような割合になっています。この中でも音に関する問題として『生活音』や『ペットの飼育』というものが存在してしており、両者を合わせれば、半数以上の方が音の問題で悩んでしまった事があるという結果になっていますね。ちなみに、集合住宅での音の問題に関しては、音源となっている方は自分が他人に迷惑をかけているという意識がない場合がほとんどです。例えば、普通に室内を歩いている、掃除機をかけている…なんてことで騒音トラブルになってしまうこともあり、全てのトラブルが悪意を持って行われていることではないのです。
ただし、自分が気付かないうちにトラブルメーカーになってしまう…というのは誰もが嫌でしょうし、そうならないためにも、他人に不快な思いをさせてしまう『騒音』がどういったものなのかを知っておきましょう。
騒音は基準が設けられている
騒音というのは、人が聞いていて「騒々しい」「不快だ」と感じてしまう音のことを指しています。しかし、音の感じ方は人それぞれですし、同じ音を聞いたとしても「うるさい!」と感じる方もいれば、何も思わないという方もいるという点が難しい問題です。したがって、音の問題に関してはどの程度の音を聞けば一般的に「うるさい」と感じられるのかという基準が設けられています。これがないと、際限なく音を出してしまう人が出てこないとも限らないので、環境省などが騒音レベルなる物を公表しているのです。
なお、音の大きさに関しては、『dB(デシベル)』という単位で表されています。そして、騒音計など、音の大きさを計測できる機器が存在しており、騒音の大きさをいくつかのレベルに分けているのです。ちなみに、音の大きさに関しては、防音工事などでもどの程度のレベルまで音漏れを防げるようになったのかを示す指標などに使っています。
ここでは、皆さんがおさえておきたい騒音レベルとその音を人がどう感じるのかについて解説しておきます。
【20~30dB】人にはほとんど聞こえない程度
「20~30dB」の音に関しては、無音とはいかないまでも、人の耳には「ほとんど音が聞こえない」と言われるレベルとなります。
例えば、深夜の郊外の静けさや木の葉が触れ合う音、人のささやき声がこのレベルの音量と言われています。集合住宅で、この程度の音が問題になるようなことはないと考えても構いません。
【40~50dB】日常生活の中に良くある音の大きさ
「40~50dB」の音量は、皆さんが日常生活を進めていく中で、非常に多くあるレベルの音量と考えてください。基本的に、このレベルの音量までが、人が音によるストレスを感じないとされています。
例えば、街中や閑静な住宅街の昼間、図書館などで感じる音が40dB程度の音量と言われており、この程度であれば静かに過ごせていると考えるでしょう。50dBとなると、人が普通の会話をする、家庭用クーラーの駆動音、換気扇が発する音などで、このレベルであれば、特に気にしないという方がほとんどだと思います。
ただし、これらの音を耳にした人の状況も関係するということを忘れてはいけません。音の感じ方は、「どこにいるのか?」「何をしているのか?」と言ったそれぞれの環境によって適正レベルが変わると言われています。一般的には、室内にいる人が騒音と感じるのが50dB程度からと言われており、リビングや寝室でゆっくり過ごしている、テレワークで仕事をしているというのであれば、40dB程度が望ましいかもしれませんね。
【60~70dB】 人がうるさいと感じる音量
「60~70dB」程度の音になると、ほとんどの人が「うるさい!」と感じてしまうようになります。つまり、このレベルの音を出していれば、近隣との騒音トラブルになる可能性があると考えてください。
日常生活上にある音で言えば、洗濯機やテレビ、トイレを流す際の音などがおおよそ60dB程度で、掃除機の音などが70dB程度と言われています。70dBとなると、人が極端に多い街中の音レベルと言われますので、このレベルになると、会話のために声を張り上げなければならない…と言った感じなので、高確率で騒音トラブルになるでしょう。
集合住宅では、深夜に洗濯機を回す、掃除機をかけるなんて行為がマナー違反だと言われるのは、これが原因です。
【80~90dB】集合住宅では出してはいけないレベルの音
「80~90dB」程度となると、ほぼ間違いなく騒音トラブルになりますので、「出してはいけない!」と考えなければいけない音量です。正直な話、集合住宅でこのレベルの音を出していれば、「悪意がある」と捉えられても致し方ないと思います。
このレベルの音量の例をあげると、誰もが「うるさい」と感じるパチンコ店の店内や地下鉄の車内などで80dB程度と言われています。つまり、自宅でリラックスしようとしているのに、パチンコ屋にいるような音が常に聞こえてくる…なんて状態です。誰でも苦情の一つは言いたくなるのが当たり前ですよね。
ちなみに、ピアノなどの楽器音は、これと同等かさらに大きな音となります。自宅での楽器の演奏がNGだと言われるのは、騒音レベルのことを知れば当たり前と考えられるようになりますよね。最近では、大型犬などを室内で飼育する方も増えていますが、犬の鳴き声は90dBを超えるような場合もありますので、ペット飼育が集合住宅でのトラブル原因上位に来るのも頷けます。
こういった事から、集合住宅で楽器の演奏を考えている、ペットの飼育を考えているというのであれば、隣家に迷惑をかけないよう、自宅の防音工事を進めなければいけないと考えてください。
まとめ
今回は、集合住宅に住む方などが、自ら騒音トラブルの原因にならないため、人が不快に思う『騒音』がどのような物なのかをご紹介してきました。音の難しさというのは、ある人が「美しい音色」だと感じるような音でも、他の人からすれば単なる『騒音』に感じてしまう場合があるということです。特に、音の問題が難しいのは、普段であれば全く気にならないような音でも、その人の心理的状態や置かれている環境などによって感じ方が変わってしまう厄介なものだということです。
音は人によって感じ方が違ってきますので、基本的には不快に思う人が出ないよう、『音漏れを防ぐ』のがマナーだと考えましょう!