マンションでの騒音トラブルを、日本の法律面から考えてみよう!

今回は、近年増加していると言われているマンションでの騒音トラブルについて、そもそも生活音に関する騒音トラブルと日本の法律はどのような関係性になっているのかを考えてみましょう。

騒音トラブルと聞くと、ピアノやバイオリンなど、自宅でも楽器の演奏をしている方の家から音が漏れてしまい、ご近所さんが迷惑することから発生するものというイメージがあるのではないでしょうか。しかし近年では、このような特別に大きな音が騒音トラブルの原因になっているのではなく、子供が部屋の中を走り回る音や、掃除機や洗濯機の音など、日常生活を進めるうえで、どのご家庭でも生じてしまうような音が原因となってしまうことが増えていると言われているのです。

これについては、昔より、現代の人が神経質になってきた…なんて問題でなく、マンションなどの集合住宅に暮らす方が増えてきて、各ご家庭ごとの生活空間が近くなってきたことが原因です。実際に、賃貸マンションなどで一人暮らしを経験したことがある方であれば、上階から足音が聞こえる、隣からテレビの音が聞こえる…なんて経験は誰にでもあると思います。

それでは、こういった生活を進めるうえで、どうしても生じてしまうような生活音による騒音トラブルは、法律的にどちらが悪いというべきものなのでしょうか?ここでは、近年の騒音トラブルと法律の関係性をご紹介しておきます。

そもそも騒音による起訴沙汰なんてあるものなの?

マンションなどに住んでいる方で、何らかの音の問題に悩んだ場合は、まず管理会社などに相談することになるでしょう。そもそも、集合住宅などでは、住居人が快適に暮らせるようにするための義務が管理会社にあるため、騒音問題が発生した際に、音を出している側に何らかの対応はしてくれます。しかし、個人間のトラブルを管理会社などが解決しなければならないという義務はありませんし、努力はしてくれるものの、解決できない場合は「仕方ないこと」として、個人間のトラブルを仲裁まではしてくれません。

したがって、こういった騒音問題が発生した場合には、どちらかが引っ越すか、現状のまま諦めるか、最悪の場合裁判沙汰にまで突き進んでしまう訳です。特に、迷惑をかけられている方からすると、「なんで自分が引っ越さなければいけないのか…」「何か負けた気がする…」など、感情的になってしまうこともありますし、現実的な面では引っ越し代の負担が大きくなってしまうという問題があります。

それでは、こういった騒音問題で、裁判沙汰にまで発展するようなことはあるのでしょうか?

騒音が原因の裁判も少なく無い

実は、近年では、ご近所さんが出す音に悩んでしまい、裁判にまで発展してしまう…なんてケースは少なくありません。例えば、家庭の給湯器として広く普及しているエコキュートなどは、深夜に稼働するという特徴があるため、エコキュートの稼働音で睡眠障害になってしまった…なんて訴えが、かなりの数あると言われています。

さらに、こういった設備的な問題ではなく、お子様の足音が原因となった騒音トラブルでは、訴えられた側が約40万円の損害賠償を命じられたという判決まであるのです。ただし、この判決に関しては、音の問題に悩んでいたご家庭が、何度も「騒音の対応をしてほしい」とお願いしたものの、騒音主の対応が非常に悪かった…という側面が大きかったと言われています。実際に、こういった生活音に対する苦情に対して、真摯に対応していたのであれば、このような判決にはならなかったという意見も少なく無いようです。

このように、自分たちは普通に生活しているつもりでも、それにより生じる音が原因で、裁判沙汰にまで発展してしまう恐れがあります。こういった事象に関しては、「私は関係ない!」なんて誰にも言えない時代になっていますので、普段から音の問題に注意するべきでしょう。

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騒音と法律の関係

ここまでの情報で分かるように、普通に生活を進めているつもりでも、いつの間にか近隣住民に迷惑をかけてしまい、騒音トラブルを抱えてしまう可能性が誰にでもあるのです。もちろん、あなたが騒音主にならなくても、近隣住宅の音に悩まされてしまう側に陥ることも考えられるでしょう。

このような場合でも、本来は裁判沙汰にまで発展させることはあまりオススメできません。ただし、そこまで行ってしまう可能性は否定できませんし、裁判で騒音問題が裁かれるときに、どのような考え方がされるのかは知っておくべきでしょう。このポイントを押さえておけば、音に悩まされている時、どういった証拠を集めておけば良いかがわかるはずです。

裁判では受忍限度と対応が重要

それでは、裁判で騒音トラブルが裁かれる場合について、法律面での視点から考えてみましょう。このような騒音トラブルの場合は、「騒音への対応」と「受忍限度」が争点になると考えられます。もう少しわかりやすく言うと、騒音主が音に対してどれだけの対応をしたのか?また、苦情主は本当に受忍限度を超えているのかということです。

これの事に関しては、裁判でさまざまな証拠や検証を行い、裁いていくことになります。つまり、お互いが「どこまでの対応をしたか?」「受忍限度を超えているのか?」という論点から、さまざまなことを考えておくことで、裁判に発展する前に妥協点を見つけることもできると思います。基本的には、騒音主側が「近隣に迷惑をかけているかも?」苦情主が「自分が神経質すぎるのかな?」という感情を持てば、トラブル解決のきっかけになるかもですよ。

ちなみに、法律的な受忍限度と対応については、以下のような考え方になります。

  • 受忍限度について
    受忍限度は、個人的な「我慢の限界」ではありません。音の感じ方は個人によって異なりますし、誰かが「うるさい!」と思えば騒音主が悪いなんて事にはなりません。基本的には、騒音による健康被害の有無、音の大きさや時間帯・頻度などに関する公共性、音を出す期間の長さなどから判断されます。要は、第三者が「その音に妥当性はあるかどうか」を客観的に判断するための指標です。
  • 対応
    これは、近隣に配慮するための音の対応をどの程度行っているのかです。「クッションマットを敷いたから対応した」などと考えるかもしれませんが、これとは全く違います。例えば、クッションマットを敷いたとしても、子供がドンドンと飛び跳ねたり、走り回れば、階下に音が響くことは誰でもわかります。つまり、クッションマットを敷いたなどと言った対応は、逃げ道にはならないのです。

まとめ

今回は、近年急増していると言われている、生活音に関する騒音トラブルについて、裁判沙汰にまで発展してしまうケースがあるのかや、裁判ではどのような視点で考えられるのかをご紹介してきました。この記事でご紹介したように、過去には、子供の足音が原因となる騒音トラブルにより、裁判にまで発展し、騒音主に対し損害賠償が認められたというケースもあるのです。子供の足音に関しては、どのご家庭でも考えられることですし、あなたのご家庭から生じている音が階下の住人に多大な迷惑をかけている可能性もあると考えなければいけません。

もちろん、近隣のご家庭からの音が気になったからと言って、何でもかんでも裁判にまで発展させることは良い事だとは言えません。まずは、騒音主側と苦情側どちらもが、どこまでの対応・我慢ができるのかをしっかりと考える必要があるでしょう。生活音に関しては、誰でも生じさせてしまうものですので、近隣に配慮するためには、ライフスタイルに適した部分的な防音リフォームを施すなども有効だと思いますよ!

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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