「家の防音性能は窓が重要!」と聞くけど、窓の何に注目すれば良いの?

新型コロナウイルスの影響もあり、日本人の社会生活は大きく変化していっていますね。政府による働き方改革でもなかなか浸透しなかったテレワークや在宅勤務といった新しい働き方が、大手企業だけでなく中小企業でも普通に受け入れられるようになっています。さらに、今年に入ってからは、半年近くも自粛要請が続いており、この記事を作成している現在でも、飲食店の時短営業や酒類の提供自粛など、コロナ問題以前では考えられなかったような状況が続いています。

そして、テレワークや飲食店の時短営業の影響は、一般住宅での近隣トラブルの増加にもつながっていると言われています。例えば、今まで日中は家にいることのなかった人たちが、在宅するようになり、周辺環境から聞こえてくる騒音によってご近所間のトラブルが発生する…などといったニュースがネット上でも多くなっているような気がしませんか?実際に、家で仕事をしている時に、隣の部屋から聞こえてくる話し声や、上の階の足音でイラっとした…という経験がある方も多いのではないでしょうか?

このような状況から、最近では一般住宅での防音目的のプチリフォームが非常に高い需要を誇っています。特に、外から聞こえてくる騒音は「窓が原因」と言われることが多いため、窓の防音性を上げるリフォームを検討している方は非常に多いのです。
そこでこの記事では、窓の遮音性を高めるためにおさえておきたいポイントをご紹介していきます。

静かで快適な環境を作るには『窓』が大切

新型コロナウイルスの影響でテレワークになったという方の中には、今まで気にもしなかった『音』の問題によりストレスを抱えてしまっている…という方が多いのではないでしょうか?

実際に、弊社に頂くお問い合わせの中でも、ピアノやドラムなど、楽器演奏のための防音室を作りたい…という依頼以外に、「近くに学校があって子供の声で仕事に集中できない…」「電車の音を何とかできないか?」といったものが急増しています。
元々防音工事というものは、一般のリフォームよりも専門性が高い工事となりますので、施工にかかる費用が割高になってしまうというデメリットが存在します。そのため、防音工事の依頼の多くは、楽器演奏が仕事という方や、ホームシアターを設置したいなど、お金をかけてでも音の問題を解消したいという方のみが行うといったものでした。それが、昨年ごろより、周辺の生活音を何とかするため、ピンポイントで防音工事をしたいという依頼が急増しているのです。

特に、昼間に自宅で仕事をするため、外から聞こえてくる騒音を抑える目的の防音工事の依頼が非常に多く、窓の防音性能向上が大きなポイントになっているのです。

窓の遮音性について

皆さんは、「窓の遮音性」と聞いてどのようなものをイメージするでしょうか?一般の窓であっても、閉めておけば外からの音をある程度小さくすることは可能ですよね。

そもそも『遮音性』というものは、室外から室内へ侵入する音、室内から室外へ漏れる音をどれだけ遮れるかを示す性能を表しています。こう聞くと、一般的な窓でも音を遮ることができていると思うかもしれませんが、防音窓というものは、きちんと基準が設けられているのです。

窓の遮音性能に関しては、JIS規格によって定められており、「T-1 ⇒ T-4」までの4つの規格があり、数値が高いほど性能が高くなります。したがって、窓の遮音性能を高めたいというのであれば、遮音性能の防音窓に入れ替えするという手法が考えられます。
なお、以下で日本サッシ協会が公表している窓の遮音性能に関する資料を紹介しておきますの、詳しくはそちらをご確認ください。

> 窓の性能とJIS基準について

窓の防音リフォームのポイント

それでは、窓の遮音性を向上させるためのポイントについてご紹介しておきましょう。窓の遮音性能を向上させるためには、窓部分の『機密性』と窓ガラスの遮音性がとても大切になります。それぞれのポイントを以下でもう少し詳しくご紹介しておきます。

窓の気密性について

まずは、窓の気密性についてです。上述したように、窓を閉めていれば、音が侵入してくるような隙間などなく、気密性の高い状態を保てると考えてしまう物でしょう。しかし、一般住宅に良く採用されているアルミサッシなどであれば、窓を閉めていたとしても、小さな隙間がたくさん生じてしまい、そこから音が侵入してしまうのです。また、あまり気にしたことがないと思うのですが、窓の開閉形式によっても、気密性が変わります。

例えば、日本の住宅では、昔から『引違い窓』が多く採用されていたのですが、実は、多点ロック機構をもつ「縦すべり出し窓」の方が、圧倒的に気密性が高くなり、防音性能が高いと言えるのです。そして、冬場の寒さが厳しい地域などでは、サッシも樹脂サッシが採用されています。これは、高い機密性を保たなければ、外の冷気が侵入してしまうからです。つまり。樹脂サッシというものは、非常に密着度が高く、フレーム部分にもほとんど隙間が生じないため、高気密で防音性の高い窓になるということです。

窓の防音性を高めたいと考えるのであれば、サッシごと交換してしまう方が良いかもしれませんよ。

窓ガラスについて

サッシ部分の気密性で遮音性能が大きく変わるのですが、窓ガラス自体の性能も重要です。一般住宅では『単板ガラス』などと呼ばれる、1枚の薄い板状のガラスが主に採用されていますよね。しかし、この単板ガラスに関しては、決して高い遮音性を持っているわけではないのです。そのため、窓をきちんと閉めていたとしても、外からの音はそれなりに侵入してしまい、「うるさい…」と感じてしまう訳です。

ガラスの遮音性については、厚みが大きいものほど高くなり、さらに単板ガラスよりも複層ガラスの方が遮音効果が高くなります。ただし、ガラスの厚さに応じて、特定の周波数域で遮音効果が低下してしまう(コインシデンス効果)ので注意してください。これを防ぐためには、異なる厚みのガラスを組み合わせた複層ガラス「異厚ガラス」を採用することで、特定の周波数域で性能低下してしまうのを防ぐことができます。

窓部分の遮音性を高めるためには、サッシ部分だけでなく、窓ガラスの性能自体にも注目する必要があると考えておきましょう。

まとめ

今回は、新型コロナウイルスの影響で急増している、生活音を防ぐためのプチ防音リフォームについてご紹介してきました。テレワークなどが導入された方であれば、今まで気づくことが無かった昼間の騒音問題でストレスを感じてしまう…という方も多いようです。例えば、家の前を通る自動車の音や、近くの公園から聞こえる話し声、学校のチャイムなど、さまざまな音の問題に悩まされてしまうということが多いようです。

こういった外から侵入する音に関しては、窓の防音性能に注目するのが非常に重要で、実際に窓に防音工事を施すという方が増えているのです。この記事でご紹介したように、一口に窓と言っても、サッシの素材や窓ガラスの構造など、得られる遮音性能が全く異なるモノなのです。築年数が経過した建物であれば、昔ながらのアルミサッシで単板ガラスを採用した窓なんて場合がありますが、こういった窓は閉めていても隙間が多く生じてしまうことから、遮音性能の低さが問題となり、音に悩んでしまう…という可能性が高くなると考えましょう。

なお、窓サッシごと交換するとなると、かなり大掛かりなリフォーム工事となり、費用も掛かってしまうことでしょう。したがって、窓の防音性を向上させる方法としては、窓の内側にもう一つ窓を設置して、二重窓にするのがオススメです。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

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