管楽器の練習場所に困っている…他人に迷惑をかけないためにはどうやって練習すれば良いのか?
今回は、管楽器の練習を考えた時、近隣の方に迷惑をかけないようにするためにはどうすれば良いのかについて考えていきたいと思います。
楽器の上達は、とにかくその楽器を演奏して練習するのが最も重要と言われています。実際に、テレビなどに登場する世界的な演奏家の話を聞いてみると、1日に10時間以上は練習していたという話をしていますし、将来は何らかの楽器のプロを目指しているという場合、どれだけの時間その楽器に触れていたのかが非常に重要になるのです。
とはいえ、1日に10時間以上楽器の演奏をする…となると、当然自宅でも楽器の演奏をする必要があるのですが、マンションなどの集合住宅に住んでいる方であれば、近隣住民に迷惑になるし夜は楽器の演奏を控えなければならない…なんてことが普通です。したがって、音大などに通っている学生さんなどは、カラオケボックスに楽器を持ち込んで、そこで演奏の練習をするというのがメジャーな方法になるわけです。
しかし、長引く新型コロナウイルス問題のこともあり、今まで毎日のように通っていたカラオケボックスが時短営業を始めた…もしくは潰れてしまって演奏する事ができない…なんて状況になってしまっている人も増えているそうです。
こうなってしまうと、自由に楽器の演奏が出来なくて、なかなか思うように上達しなくなり、夢を諦めてしまおうかと考えてしまう方もいるでしょう。そこでこの記事では、「どこで楽器の演奏をすれば良いの?」と困っている方に向け、隣家に迷惑をかけないようにするための対策をご紹介します。ちなみに、今回は、管楽器をメインに考えていきます。
そもそも管楽器の音量って?
それではまず、管楽器を演奏した時の音量が、いったいどれほどの大きさなのかをご紹介しておきましょう。管楽器については、オーケストラなどでも、ひときわ存在感を放っていますし、野球の応援などにもよく利用されるような楽器です。つまり、楽器の中でも大きな音が出るタイプのものと考えておきましょう。以下に、一般的な生活音と混ぜて管楽器の音量をご紹介しておきます。
- 【105~130dB】・・・聴覚機能に障害が出るレベル
ジェット機、コンクリート工事、オーケストラ、サックス、トランペット - 【85~105dB】・・・とてもうるさいと感じるレベル
地下鉄、滝の近く、フルート、クラリネット - 【65~85dB】・・・うるさいと感じるレベル
パチンコ店、ボーリング場、新幹線車内、蝉の鳴き声 - 【45~65dB】・・・日常生活でよくあるレベル
テレビ、水洗トイレ、都心の住宅地 - 【25~45dB】・・・気にならないぐらいしずか
郊外の住宅地、囁き声、衣服が擦れる音、鉛筆の音 - 【10~25dB】・・・とてもしずか
小さな寝息、雪の降る音
このように、日常生活の中にある騒音と混ぜてみるとよくわかるのですが、管楽器から出る音は、非常に大きな音と言えるもので、何の対策もせずにトランペットやサックスを家の中で演奏するとなると、家の中にジェット機が飛び交っているようなものなのです。
当然、それほど大きな音が生じているのであれば、自分の家の中だけの問題ではなく、近隣住宅に音が漏れ出てしまっていきますので、多少の音の減退はあるものの、お隣の家でも地下鉄の中にいるようなうるささを感じてしまっている危険があるのです。このような状況になれば、当然クレームを入れられるのが普通ですし、何の対策もなしに家の中で管楽器を演奏するわけにはいきませんよね!
管楽器を自宅で演奏するには?
それでは、自宅で管楽器の練習をしたいと思った場合に考えられる対策をご紹介していきましょう。もちろん、住んでいる場所が、戸建てなのか集合住宅なのか、また集合住宅でも分譲なのか賃貸なのかによって取れる対策が大きく異なってくるでしょう。ここでは、いくつかの楽器の種類に分けて、有効だと言われている対策をご紹介しておきます。
全ての楽器に有効な対策
まず最初に上げられるのは、自宅に防音工事を施すという方法です。なお、この方法に関しては、賃貸住宅は少し難しい方法です。
戸建てや分譲マンションなどに住んでいる方であれば、自宅の中にある一室に本格的な防音対策を施すと良いでしょう。最近でこそ、生活音を軽減するために防音工事を依頼するという方が増えてきましたが、もともと防音工事というものは、自宅でも24時間楽器の演奏がしたいと考えるようなプロの演奏家の方が行うような特殊な工事です。
上述したように、管楽器は、非常に大きな音が生じる楽器ですが、ドラムなどのように振動音が無いため、比較的容易に防音室を作成する事が可能です。まずは、専門の防音工事業者に連絡し、どういった楽器の演奏を考えているのか、使用頻度はどの程度なのかを伝えて、必要な防音対策の提案をしてもらいましょう。
なお、賃貸住宅に住んでいる方の場合、防音室が備え付けられた防音物件などがありますので、そういった物件に引っ越すことを検討してみてはいかがでしょうか?家賃は割高になってしまいますが、楽器の練習のためにカラオケボックスやスタジオをレンタルすることを考えると安いものだと思いますよ。
サックスの対策
次はサックス単体の防音対策についてです。サックスの場合は、「ベルの中にタオルを入れる」という消音方法が有名です。しかし、この方法は、低音が吹きにくくなるという可能性がありますので注意しましょう。これ以外には、床に毛布を敷いたりベルの前に毛布や布を置くなどの対策で、多少は吸音してくれるようになりますが、演奏の練習となるとあまり現実的な方法ではないかもしれませんね。
そこでオススメなのが『e-SAX』と呼ばれる、サックス専用の消音装置です。これは、楽器丸ごと覆うような装置で、これをつけてサックスの演奏をすれば、外に漏れ出る音が小声で話す程度まで小さくなると言われています。なお、アルトサックス用で5万円程度、テナーサックス用で6万円程度と、それなりに高額な装置ですので、その辺りは注意しましょう。
クラリネットの対策
クラリネットの練習を自宅でする場合に利用されるのがサイレントリードと呼ばれるアイテムです。ちなみに、サックス用のサイレントリードもあります。
なお、サイレントリードは、防音や消音対策をして楽器の音で迷惑をかけない…と言ったタイプのアイテムではなく、完全に音が出なくなるアイテムです。このアイテムは、先端に息を通す穴があいていて、息の量や口の形が実際の楽器を吹いている時とほぼ同じになるといったものです。つまり、音は出ないけれど、通常の練習と近い状態で練習ができるといったアイテムになります。
トランペットの対策
トランペットの防音・消音対策アイテムとして人気なのが『サイレントブラス』と呼ばれるアイテムです。これはベル部分取り付けることで、音を打ち消すといったアイテムになっています。非常に軽量化されていますので、この機器を取り付けていても普段通りの吹き心地で、自宅での練習もはかどると言われています。公式サイトなどで、サイレントブラスを取り付けた際の動画なども紹介されていますし、一度確認してみてください。
なお、似たようなアイテムで『イーブラスⅢ』というものもあります。
> サイレントブラス
まとめ
今回は、管楽器の練習などを考えた時、自宅でも可能な防音・消音対策についてご紹介してきました。この記事でもご紹介したように、管楽器の練習に関しては、カラオケボックスなどに行って行うという方が非常に多かったのですが、コロナ禍の現在、外出自粛を求められていることや、カラオケボックス自体が休業しているなんて状態になってしまい、思うように楽器の練習時間が取れない…と悩んでしまう方が増えていると言われています。
これが、分譲マンションや戸建て住宅など、持ち家の場合、専門業者による防音工事など、いくつかの対策を検討することも可能なのですが、賃貸住宅に住んでいる方であれば、防音物件に引っ越す以外、建物に防音対策を施すというのはなかなか現実的ではないのです。とはいっても、防音物件は非常に数が少ないことから、大阪や東京などの都会でも空いている部屋を見つけることが難しい…と言われます。
そこで、管楽器の練習が思うようにできない…と悩んでいる方は、この記事でご紹介したようなサイレンサーを利用してみてはいかがでしょうか?小さなアイテムの割に高額なものですが、賃貸住宅などでも楽器の練習が可能になるのであれば、安いものだと思いますよ。