気になるマンション騒音の基礎知識!トラブルを防ぐための一般的なルールについて

近年、都市部では土地が高騰していることもあり、マンション暮らしを選択する方が増えています。もちろん、マンションで生活することが戸建に比べて問題が生じてしまうということではないのですが、さまざまなご家族がひとつ屋根の下で生活することになりますので、近隣住民に対する配慮はしっかりとして行かなければいけません。

特に、ここ数年、マンションで生活するご家庭同士が、騒音トラブルに巻き込まれてしまう…という事例が急増していると言われています。というのも、マンションというものは、壁1枚、床1枚で他のご家庭との生活空間を隔てているだけですので、ちょっとした生活音が気になってしまい、トラブルに発展してしまう訳です。さらに、新型コロナウイルスの影響で、在宅時間が増えてきたことから、今まで気にならなかったような音の問題も生じており、マンションでの生活に不便を感じてしまう方も多くなっています。

そこでこの記事では、マンションで生活する方が、音の問題でご近所に迷惑をかけないよう、おさえておきたい暮らしの工夫などをご紹介していきたいと思います。現在では、生活騒音によって、裁判沙汰にまで発展してしまう…なんてことが増えていると言われますので、以下でご紹介する内容は是非頭に入れておきましょう。

マンションでの生活!おさえておきたい騒音の基礎知識

それでは、マンションで生活をする際、ご近所さんに配慮するため、おさえておきたい基礎知識についてご紹介していきたいと思います。

騒音は2種類存在する

一般の方であれば、どのような音も「音であることは間違いない!」と考えているでしょう。しかし、『騒音対策』を考える場合には、この認識ではダメなのです。例えば、外から聞こえてくる車の音や学校のチャイム、子供の声など、空気を伝わってくる『空気音』というものが一つです。そして、壁や天井など、建物の構造物を伝わってくる『個体音』というものがあり、マンションでの騒音対策は、空気音・個体音ともに対策が必要になるわけです。

さらに、床に関連した音で考えても、子供が室内を走り回る、高い場所から飛び降りる時に生じる低くて鈍い音は『重量床衝撃音』と言われます。この音は、マンションの床コンクリートの厚さなどによって、下の階に伝わる音の大きさが変わります。
また、スプーンなど軽量なものを落とすコツンと言った音や、スリッパなどで歩くときに生じる軽めの高い音は『軽量床衝撃音』と呼ばれます。マンションで生活する場合には、このようなさまざまな音が生じてしまうことになるため、防音対策が非常に難しいという面もあるのです。

騒音基準値はあるが音の感じ方は人それぞれ

それでは、一般的に『騒音』と呼ばれるものは、どのような大きさの音を指しているのでしょうか?これについては、環境省が「騒音の環境基準」というものを定めており、これによると住宅地の騒音基準は昼間で55デシベル以下、夜間で45デシベル以下となっています。つまり、これ以上の音に関しては『騒音』と呼べるわけです。

ちなみに、私たちが日常生活を進めるうえで使用する洗濯機に関しては約64~72デシベルの音が生じると言われています。また、日常的な人の話し声に関しても約50~61デシベルあると言われており、上述の騒音基準値はかなり厳しい基準に感じてしまいます。さらに難しいのが、音の問題は、こういった数値だけで判断できないという面があるという点です。

どういうことかというと、同じ音を聞いたとしても、その音をどう感じるかは人によって大きく異なります。例えば、夏の風物詩である風鈴などは、つけた人は涼を呼ぶ音と好ましく感じますが、ご近所の方にとっては、ただうるさい…と感じてしまう音になる可能性もあるのです。つまり、その音を必要とするかどうかによって、騒音と感じるかそうでないかが変わってしまう訳です。もちろん、同じ音でも、聞いている時間帯によっても感じ方が変わります。昼間は特に気にならないような音でも、寝る時になれば同じ音が気になり始める…なんてことも珍しくありません。

このように、人や状況によって音の感じ方が変わってしまうということをしっかりと認識しておかなければ、ご家庭ごとの生活空間が非常に近くなるマンションなどでは、騒音トラブルに発展してしまう恐れがあるのです。

マンションでの騒音トラブルを防ぐには?

それでは、騒音の基礎知識が理解できたところで、騒音トラブルを防ぐためには、どういった工夫が必要なのかを考えてみましょう。どのような方でも、生活をしている以上は、一定の音が生じてしまうのは致し方ありません。しかし、それを「仕方ないものだから」と考えるのではなく、「ご近所さんに対する細やかな配慮もする」ということが重要になるわけで。

もちろん、あまり神経質になって、生活が不便になるのはあまり良くありませんし、自分が可能な範囲で騒音対策をすれば良いと思います。以下で、具体的な騒音対策の工夫をご紹介しておきますので、頭に入れておきましょう。

洗濯機の置き方

まずは、どの家庭でも使用する洗濯機です。何も考えずに使用する方が多いのですが、洗濯機は音も振動も大きな住宅設備です。したがって、タイマー機能などを活用して早朝や深夜の使用を避けるなど、使う時間は注意しましょう。

また、洗濯機を使用中に「運転音が大きい…」と感じる場合、洗濯機自体の置き方に問題が考えられます。例えば、水平に置かれていない場合には、振動音が大きくなってしまう恐れがあります。他には、洗濯物を詰め込み過ぎてしまうのも、大きな振動音の原因となるので小まめに洗濯をするのがオススメです。
なお、洗濯機の振動音については、設置時に防振マットを下に敷くことで抑えることが可能です。こういった振動対策をしておくこともオススメですよ。

掃除機の使い方も工夫が必要

掃除機の音は、生活騒音の中でも、原因となることが多いです。それなりに大きな音が生じてしまいますので、早朝や深夜に使用するのは避けた方が良いでしょう。どうしても早朝や深夜に掃除が必要な場合、お掃除用のワイパーやコロコロを使用するのがオススメです。

また、掃除機のノズルやコードなどがフローリングに当たる音も階下に響いてしまいますので、掃除機の使い方には注意しましょう。

テレビやステレオの置き方も注意

テレビやステレオなどは、壁にピッタリとくっつけて置いている方も多いです。しかし、この置き方をしてしまうと、壁を伝わって他の部屋まで音が響いてしまうことになります。したがって、隣家との境界壁にテレビやステレオを配置する場合は、壁から少し離して設置するようにしましょう。

可能であれば、隣家との境界壁にはテレビを配置しないようにするのがオススメです。どうしても境界壁に設置する場合、テレビの後ろに遮音シートを貼ったり、テレビボードの下に吸音マットを敷くなどの対策がオススメです。

お子様がいるご家庭はしつけが大切

お子様がいるご家庭は、子供が室内を走り回ったり飛び跳ねたりする時の、重量床衝撃音対策が必要です。このような対策としては防音マットなどが有効と言われていますが、それだけでは防ぐことができないと考えておいた方が良いです。何より重要なのは、お子様が室内を走り回る、ふざけて飛び跳ねるなんてことをしないようにする『しつけ』が大事です。そのため、少し不便かもしれませんが、お子様が走り回れないような家具の配置にするなどもオススメです。

なお、こういった対策では不安…という場合には、床面の防音工事がオススメです。遮音効果の高い床材に変更することや、床材の下に吸音材を充填するなどしておけば、階下の人に迷惑をかける心配が少なくなります。

楽器演奏をお考えなら防音室を

仕事の関係などで自宅でも楽器の演奏をしたい、お子様にピアノを習わせたいなど、マンションで楽器の演奏をお考えであれば、本格的な防音室を作るのが理想です。楽器の簡易的な防音対策方法もいろいろとあるのですが、時間を問わず楽器の演奏がしたいと考える方にとっては、簡易防音では近所の方に迷惑をかけてしまう可能性がどうしても残ります。

どの時間帯に楽器を演奏したいのか、どういった楽器を演奏するのか、長時間、楽器演奏をするのかなどを考えて、必要であれば、専門業者による防音工事を行いましょう。

まとめ

今回は、マンションでの騒音トラブルを防止するためにおさえておきたい、マンション騒音の基礎知識をご紹介してきました。近年のマンションは、構造もしっかりしていますし、騒音トラブルの心配はないと考えている方も多いです。しかし、生活空間が非常に近い事や、ライフスタイルが異なることから、どうしても生じてしまう生活音でトラブルになってしまうということは珍しくないのです。

生活音は、お互い様と言えるものですが、際限なく音を出しても良いとは決して言えませんよね。したがって、近隣住民との関係を悪化させないためにも、この記事でご紹介したような生活上の工夫を取り入れてみると良いでしょう。
ただし、ちょっとした工夫だけでは対処できない音というものもありますので、そのような場合は費用をかけて防音工事をしなければならないと考えましょう。

スタッフ A

大阪で20年間にわたって防音工事に携わってきました。
防音工事に関しての事、音に関する豆知識などを配信しております。

[trustindex no-registration=google]

古民家再生ショールーム防音工事の匠はショールームがあります

ピアノ防音室

実際に防音工事の匠が施工した防音室で防音性能を体験することで、当社の防音室の機能・音響などを体感していただけます。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建物にショールームがある会社さんが多い中、特に施工後にショールームと性能や音の反響がちがうといったトラブルが戸建てのお客様に多い業界ですが、町家再生事業として難易度の高い防音室を防音性能が最も出にくいとされる木造町家のショールームをご用意いたしました。

このページの先頭へ